第80話 妹

4月末、大学生活にも慣れてきた頃。


「先輩!来てくれたんだー!」


「もちろんだよ、愛美が頑張ってる所、ちゃんと見ないとね」


今日は母校の体育祭がある。

愛美がいるからな、ちゃんと見ておかないと。


「卒業してそんなに経ってないのに、なんか懐かしいね!」


「ね〜!みんな若いな〜!」

渚もまだ花のJDだぞ、卒業してそんなに経ってないし。


「彩華ー!お兄さん来てるよー!」

愛美が少し離れた場所にいた妹を呼ぶ。


「わ、ほんとだー!ねー、今日こそ終わった後遊びに行ってもいい?私まだいった事ないのに、いつも愛美だけずるい!」


「んー、じゃあちょっとだけね」

妹がいるとあんな事やこんな事ができないからな。


「あれ?彩華、愛美、その人達誰ー?」

金髪碧眼の美少女が2人に話しかけてきた。


「あ!アリサだー!」

あ、聖奈の妹か?


「あ、お姉ちゃん!てことは、彩華のお兄ちゃんですか?」


「そう!この人がいつも話してる浩介だよー!」


「よろしくね。妹と仲良くしてくれてるのかな?ありがとう」


「クラスは違うけど、彩華達が優しくしてくれてるんです!こちらこそありがとうございます!」

聖奈と違って結構しっかりした子だな?

妹とは思えない。まあ義妹なんだけど。


「あれ、なんか雰囲気いつもと違うねー?」


「あ〜、もー!お姉ちゃんそれは黙っててよ〜!せっかくしっかりした感じ出してたのに〜」


ん?猫かぶってたのか?


「えへへ、こうすけセンパイって呼んでもいいですか〜?」


「うん、いいよ。アリサちゃんって呼んでもいい?」


「うん!そういえば、彩華達は次の時間大丈夫〜?」


「あ、時間やばい!そろそろ次の競技行かないと、愛美いこ!」


「ほんとだ!先輩達また後でね!」

愛美と妹は走って行ってしまった。


「せんぱ〜い!お姉ちゃんと一緒に住んでるんですよね〜?家に遊びに行ってもいいですか〜?」


上目遣いで、顔を覗き込んでくる。猫撫で声であざといな〜。

まあ、可愛い子がやると様になるんだけどな。


「もちろん、今日愛美も妹も来るらしいし、一緒に来る?」


「やった〜!楽しみにしてますね〜!」


「浩介に迷惑かけないようにねー?」


「お姉ちゃんじゃないんだから〜!わかってるよー!ねー、センパイ?」


「もー!聖奈は迷惑なんてかけてないよー!」


「じゃー、またあとでねー!」


なんか小悪魔っぽい所は昔の渚に似てるかな?昔と比べて最近の渚は結構落ち着いてきた気もするけど。

元気の良いところはやっぱり聖奈にもちょっと似てるかな?


「アリサちゃん可愛いね〜!天使みたいだね〜!」


渚の言う通り天使が現実にいたらあんな感じだろう。絹のような金髪が綺麗だったな〜。

頭撫でてみたい、触り心地良さそう。肌も白くて綺麗だった。


「ね!可愛かった!」


「・・・」


「杏奈大丈夫〜?」


「あ、うん、体育祭懐かしいなって見てた」


・・・ん〜、杏奈って別に人見知りではないよな。アリサちゃんとは喋ってなかったけど。

アリサちゃんのことをちょっと警戒してる?とかあるかな?

まあ、本当に懐かしく思ってただけってのもあるかもしれないけど。





「え、ここ!?お兄ちゃん何か犯罪でもした!?こんなの聞いてないよ!」

「ええぇぇぇ!?センパイやばっ!」


「失礼な、真っ当に稼いでるよ」

ある意味インサイダーのようなものだけど。誰も証明できず、逮捕もされないなら犯罪ではない。


体育祭が終わり、愛美達と一緒に家まで歩いて帰ってきた。

家を見せるとそれぞれの妹達から、大体の人がするような反応が帰ってきた。


「ただいまー!」

愛美はもう慣れた様子で家に入る。


「ところでせんぱ〜い!愛美との関係って〜どうなんですか〜?」


「愛美から聞いてない?」


「あー、言っても良いのか分かんなくて言ってなかったー!」


良い子だ。アリサちゃんって口軽そうな雰囲気あるけど大丈夫かな〜?

聖奈の妹だから大丈夫だとは思うけど・・・。


「アリサ、みんなに言っちゃダメだよ?私も含めてみんな浩介の彼女なんだー!」


あ、言っちゃった。まあいいか、もし親達にバレてももうどうにもできないだろうし。


「えぇぇぇー!?ってまあ、お姉ちゃんが付き合ってるのはなんとなく分かってたけどね〜!」


「え、そうなのー!?」


「だって、ずーっと昔からこうすけセンパイの話しかしないし〜、お姉ちゃんの様子みてたらわかるよ〜!めっちゃ分かりやすいし〜!」


「聖奈先輩わかりやすいもんねー、すぐに顔に出るし!」


「あと愛美もお姉ちゃんと同じような話ばっかだし〜、帰りにしょっちゅう寄り道してるし何となく察してたけどね〜!」


「愛美もわかりやすいね〜?」

渚がニヤニヤしながら愛美をからかっている。


「むー、バレてたかー」


「だからセンパイのこと気になってたんだ〜!ねぇ〜家の中見てきても良い〜?」


「あ、私も見たい!」


「聖奈案内してやりなよ〜!」


「こうすけセンパイがい〜な〜!」


「だーめ!浩介は忙しいんだから!ほら、行くよー!」


「は〜い!」


アリサちゃん将来たくさんの男を泣かせそうだなぁ。

ぜひその男達を救ってあげたい、先に俺が貰うことで。


まあ、今すぐっていうわけにもいかないけど。

杏奈の様子も気になるし。





母校の体育祭が終わるとゴールデンウィークに入る。

この休みは、大阪に行くことになった。


アリサちゃんも旅行のことを聞いて、一緒に行きたいと言っていたが、流石に直前すぎてダメだった。

次は連れて行ければ良いけど。


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