第79話 サークル

「あ、新入生?ウチの説明会に参加する?」


「はい、お願いします」

「お願いしま〜す!」


新入生向けのガイダンスに参加した後、渚と2人で投資研究会という名のサークルの説明会に来ている。

美咲達もそれぞれ気になったサークルの見学に行くようだ。


「2人は経済学部?投資に興味あるの?」


声をかけてくれた女の子の先輩は、経済学部の3年生らしい。

いきなり当たりを引けたみたいだ、あとで授業のことを聞いてみよう。


「そうですね、投資は特にこっちの子が勉強中なんです」

隣にいる渚を指差しながら答える。


「そうなんだ!ウチのサークルは経済学の勉強をしながら、FX投資を実践しようっていうサークルなんだけど、FXは興味ある?」


FXか、まあそりゃそうだよな、株なんて纏まったお金がないとまともに投資なんかできないし。


「俺は始めて4ヶ月くらいです」

「私はまだやってないです〜、興味はあるんですけどね〜」


「もうやってるんだ!?どんな感じ?」


「そこそこって感じですかねー、先輩方はやってるんですか?」


「うん!やってる人は半分くらいかな?私も始めたばっかりなんだけどね」


「経済学の勉強ってどんなことするんですか〜?」


「まだサークルが始まって半年もたってないんだけど、順番に先生役になって講義するって感じかな。元々同じ学部の友達同士で、授業の勉強会しようってなったのが始まりなんだー。学んだことを活かせるかもって始めたのがFXなの」


なるほど、思ったより真面目なサークルだな。


「へ〜!浩介どう思う?」


「勉強にもなりそうだしいいんじゃない?」

渚も遊び程度にFXやる分には問題ないだろう。


「ほんと?来週木曜日から活動始まるから!その後歓迎会とかもする予定だし!今3年生しかいないから来てくれると嬉しいな!」


「サークルのメンバーってここにいる人達だけですか?」


「そうだよ!まだ人数も少ないけどねー」


この部屋にいるのは15人くらいで、女の子の方が少し多い。

結構可愛い子も多いし、ここはあたりかもしれない。


「渚どう?入ってみる?」


「そうだね〜、来週来てみよっか〜!あ、そうだ!先輩、授業の相談とか乗ってくれますか〜?」


「いいよ!楽に単位が取れる授業とか教授とか色々知ってるから、まだ時間あるなら今教えるよ!」


「あ、じゃあお願いします!」


よかった、これで履修登録もなんとかなるかな?

説明会一発目で当たりを引けてよかった。


その後、2つほど説明会に参加して、美咲達と合流して帰宅した。


「みんなどうだった?」


「私は由依と一緒に英会話部と、ダンスサークル見てきたよ!同じ学科の先輩も見つけたし、楽しそうだった!」


「へー!なんのダンスするのー?」


「なんか色々できるみたい!女子しかいないから安心だよ!」


「えー、聖奈もそこ気になるなー!」


「次一緒に来てみる?」


「うん!そうする!」


「聖奈達はどこ見てきたの?」


「聖奈は、杏奈と一緒に色々見てきたんだけどー、どこにするかは悩み中かなー?」


「そうだね。結構見てきたけど、私はお仕事との兼ね合いもあるしね」


「みんなで予定表共有しとこうか、家でご飯とか食べれない日も出るかもだし」


「あ、それいいね〜!そうしよ〜!」


「浩介達はどうだったの?」


「いい感じだったよ、先輩におすすめの授業とかも聞けたし。来週から参加してみるよ」


「そうなんだ!楽しみだね!」


改めて見ると、うまい具合に2人ずつ学部が別れたな。

美咲と由依ちゃんは文学部、聖奈と杏奈は教育学部、俺たちは経済学部だ。

1人になる人が出なくてよかった。




4月12日


今日からいよいよ授業が始まる。

履修登録は、先輩に教えてもらった授業を無事に取ることができた。


通学は出来るだけ時間を合わせて一緒に車で行くことにしている。

どうしても合わない日はそれぞれで運転していくことになるかな?

美咲達もまだ少し心配だが、運転にも慣れているようだ。


「じゃあまた後でね!」


「うん、みんな頑張って」


「お昼休みは食堂で集合だからね〜?」


「はーい!」


駐車場でそれぞれの学部に分かれる。

俺と渚は全部同じ授業を取っているのでずっと一緒だ。



「授業どうだった?」


「まだ簡単だったよ、単位も取れそう」


1年で習うようなマクロ経済とかミクロ経済のようなものは前世でも勉強していた。

まだ記憶には残っていたようでよかった。


「美咲達は〜?」


「英語のクラスだったんだけど、高校の復習みたいな感じかな?多分なんとかなるかなー?」


「聖奈達もこの後英語の授業あるんだよねー、やだなー!」


「私が手伝うから、頑張ろ?」


「んんー、わかったー!」


「俺達は予定通り今日サークル行くんだけど、みんなも行くよね?一旦家に帰った後、歓迎会も行こうと思うんだけど」


「うん!終わったら連絡してね!」


「おっけー、じゃあまた後でね」


食堂を出て、次の授業に向かう。

前世ではあんなに嫌だった大学も彼女と一緒なら全然苦じゃないな。



「お疲れ様です」

「お疲れ様で〜す!」


サークルが終わり、一旦みんなで家に帰った後、歓迎会が開かれるお店に到着した。

美咲達もみんなそれぞれの歓迎会に参加している。


「あ、お疲れ様!じゃあもう一回乾杯しよっか!」


到着した時にはすでに始まっていた、少し遅刻したようだ。

歓迎会に参加した1年生は20人くらいで、どちらかといえば男の方が多い学部では珍しく、女の子が多い。


先輩達に女の子が多いっていうのもあるかな?先輩も含めて可愛い子が多いな。


「2人は仲いいけど、高校から一緒なの?」

「付き合ってるのー?」

「いつから付き合ってるの〜?」


一気に色々と質問される。

先輩達はお酒が入っているようで、すでに顔が赤い。


「小学生の頃からずっと付き合ってるんですよ〜!」


「えー!?そんなに!?」

「長いね!?よく続いたね!?」

「やばー!幼馴染ってやつ?」

「いいなー!もっと色々教えてよー!」


先輩達や、同級生からも興味津々に質問攻めにされる。

まあ、普通に小学生からずっと付き合ってる奴なんかいないよな。

他にも彼女いるって言ったらどういう反応するんだろう?今は言わないけど。


「浩介君はFXやってるんだよね?私たちまだあんまり儲かってないんだけどどう?」

まあ、聞かれるよな、なんて答えようか。


「えーっと、結構利益は出てますよ」

数百億くらい。


「そうなんだ!?始めて4ヶ月なら私たちよりも早いもんね!」


「浩介、私もFXやっていい〜?」


「うん、まあ海外のFX会社なら追証がないからいいよ」


「追証って〜?」


「ん〜、詳しいことは今度説明するけど、FXで借金する主要因かな?これで身を滅ぼす人が多いんだよ。海外ならそれがない所があるから」

税金も高くなるし、儲かった場合確定申告しなきゃならないけど。


「へー!そうなんだ!?全然知らなかった!」

先輩達も知らないか。まあ、海外だと少しハードル高いよな。


「じゃあ、あとで口座作るから教えてね〜!」


「うん、帰ってからね」


「え、もしかして同棲してる!?」

「えー!いいなー!それ詳しく!」


話が戻ったな?

でもまあ、悪い人たちじゃなさそうで安心した。

そんな酷い飲み方もしてないし、酔っても変なことしないし。


「おかえり!どうだった?」

タクシーで家に帰ると、美咲達はもう帰ってきていた。


「楽しかったよ、入会することにした」


「よかった!じゃあとりあえずみんな入るサークル、1つは決まったね!」


為替も順調に円高になってきているし、株価も順調だ。

2回目の大学生活はなんとかなりそうだな。

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