第四章 大学生編

第78話 大学入学

2012年4月1日


仕立てたばかりのスーツに身を包んで、入学式に参加する。

美咲達のスーツ姿も新鮮だ。

もちろん大学までは、買ったばかりの車で移動する。


「サークルとかどうしよっか?」


「悩むね〜、どんなのがあるんだろうね〜?」


「聖奈、もしマンガサークルとかあれば入りたいなー!」

オタサーの姫になりそう、あればだけど。


「私は、同じ学部の人がいそうなところは入っておきたいな!一緒に授業受ける友達作らなきゃだし!」


「それ大事だよね。あと、先輩と仲良くなって良い授業教えてもらわないと」


「あ、確かに!それもあるね!」


「投資サークルとかないかな〜?もしあるならいいかも〜!」


「どうなんだろう、あったら面白そうだよね」


「浩介は何かやりたいことあるの〜?」


「とりあえず入れるだけ入ってみようかなって、それから合うところ合わないところ取捨選択すればいいし」


「そっか、サークルは何個でも入れるんだね!」


「でもやめちゃったら迷惑にならないかなー?」


「部活じゃないからね、そこはあんまり気にしなくて良いと思うけど」

実際前世でも最初はとりあえず大量に入っていた、大半はすぐやめたけど。


車内で話していると、大学が見えてきた。車で7分ちょっとで到着する。

駐車場に車を止め杏奈達と合流し、会場に向かう。


「杏奈、入学式終わったらうち来てみる?」


「あ、行きたい。車って乗れる?」


「うん、5人までなら乗れるから」


「わかった、楽しみにしてるね」


会場になっている講堂に着くと、目が回りそうなほどのたくさんの人間がいた。

スーツを着た新入生や、保護者の人達、お揃いのTシャツやパーカーを着てサークルのチラシを配っている上級生もいる。


新入生もチラシを渡す上級生も人が多すぎて誰が誰に渡しているかもわからない状況だ。

受付で案内が入った袋を貰い、大量のチラシを受け取りながら会場に入った。


「すごいね、ほとんど手ぶらできたのに荷物でいっぱい」


「ね〜、これおんなじチラシ3枚も貰っちゃった〜」


「いろんなサークルがあるんだね!楽しそう!」


「マンガサークルみたいなのはなさそうだねー?」


「それは残念だね、聖奈は他に興味あるサークルないの?」


「んー、テニスサークルとか楽しそうかもー!やったことないしー!」


「あー、それはちょっと上級生に話聞いてからの方がいいかも、もし飲みサーとかだったら危ないから」


この大学のサークルもそうなのかはまだわからないけど、チャラそうな人の多いサークルは事前に情報を集めないと危ない。


「そうなんだー?」


「大学公認とかだったら大丈夫だと思うけどね、非公認だとわからないから」


「浩介詳しいね〜?どこで調べたの〜?」


「ん、まあ、ネットでね。色々調べてみた」


前世情報とは流石に言えない。

サークルで色々事件になったのはもう少し先だったかな?

まだこの時代はニュースとかでは見てない気がする。


「ふ〜ん?じゃあ、慎重に選ばないとだね〜」


「女の子は特にね、入ったら飲み会とかに誘われるだろうし」


「じゃあ、そう言うのは気をつけるね!」


入学式は無事終わり、両親と来ていた由依ちゃんとは分かれて駐車場に向かう。


「え、この車なの?」

杏奈に見せるのは初めてだ。


「うんそうだよ、いい車でしょ?」


「いい車っていうか、これすごく高いんじゃないの?」


「いやそうでもないよ?むしろ結構安かったから」


「杏奈、浩介の安かったは信用しちゃダメだからね!」


「うん美咲、それはもう知ってる」


「いやいや、そんなことないよ?」


「浩介稼ぎすぎて金銭感覚おかしいからね〜」


まあ、確かにそれはあるかもしれない。

車の代金を振り込む直前にかなり稼いでいたから、安いイメージしかなかった。


「杏奈今日泊まるー?」


「あ、いいね。もし泊まるなら杏奈の家に荷物取りに行こっか?場所教えて?」


「じゃあ、そうしよっかな」


杏奈のアパートは大学からすぐのところにあった。

まだ新しくて綺麗だな、ちゃんとオートロックもあるみたいだ。

大学に近いし、授業始まったら空き時間潰すのに良さそう・・・迷惑かな?


杏奈の荷物を積んで、途中で晩御飯の食材を買いつつ帰宅した。


「え、え、ここ!?」

杏奈には珍しく感情を表に出して驚いている。


「そんな一々驚いてたら大変だよ〜?」


「え、いやでも、ほんとに?」


「中もすごいよー!早く入ろー!こっちだよー!」


「あ、ちょっと荷物があるから」


「俺が持ってくよ、杏奈は先に入ってていいから」


「聖奈っていつまで経っても子供っぽいよね〜、可愛いくていいけど〜」


「いるだけで場が明るくなるからいいよね」


「ふふ、そうだね〜!それが聖奈のいいところだよね〜」


杏奈の荷物を持って家に入る。

先に杏奈の部屋、になる予定の部屋に置いてリビングに戻った。


「どう?この家、気に入った?」


「凄過ぎてよく分かんない、でも住みやすそうだね」


「よかった、もし住むんだったら服とかもっと持っておいでよ」


「うん、そうだね。旅行から帰ってきてから思ったけど、一人暮らしって結構寂しいかも」


杏奈も一緒に住んでくれると嬉しい。

アパートに女の子1人で住むよりも安全だろうし。


「うまっ」


「美味しいー!」


「こっちは杏奈が作ってくれたんだよ!」


この日は、美咲と杏奈が晩御飯を作ってくれた。

彼女達の作ってくれた美味しい料理を毎日食べられるのは凄く幸せを感じる。

幸せ太りとかしないように気をつけないと。


「そうなんだ〜!杏奈が作ったのも美味しいね〜!」


「美咲に教えてもらいながら作ったんだけど、上手く出来てよかった」


「聖奈より全然上手だねー!」


「そんなことないよ、もっと美咲に料理教えてもらいたいな」


「なんでも聞いてね!」


今日はみんなで一緒に寝る、愛美がいればもっとよかったんだけどな。

まあ、ないものねだりをしてもしょうがない。


「えへへ、杏奈〜!」


「あ、ちょっと渚落ち着いて」


「だって杏奈と浩介が付き合って初めて一緒に寝るんだよ〜?一緒に寝るの楽しみにしてたんだ〜!」

渚の目がギラついている。


「ほら、杏奈が困ってるでしょ?」


「は〜い!」

テンション高いな〜。



次の日からは、大学の新入生向けオリエンテーションが始まる。

キャンパスツアーがあったり、色々な説明会があったり。


履修登録があるのは7日で、それまでに手頃な上級生を見つけて、楽な授業を探さないといけない。

ということは、まずはサークル探しからだな。


明日はもらったチラシとサークル案内のパンフレットと睨めっこだ。

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