第76話 卒業旅行
美咲達彼女4人と杏奈と由依ちゃん、それに妹を加えた8人でイタリアに向かう。
6泊8日の日程で、ローマ、ミラノ、ベネチアの3都市を廻る。
本当はもう少し長く、余裕のある旅にしたかったんだが、この春は忙しかったのでしょうがない。
夏休みにはもっとゆったりした旅行をしよう。
「あ、いたいた!杏奈!由依!こっちだよ!なかなか会えなくて寂しかった!」
「私も寂しかった、久しぶりだね」
「美咲達同棲始めたんでしょ〜?どう?楽しい?」
「うん!すっごく楽しいよ!」
「まだ住み始めて4日くらいだし、片付けとかで忙しいけどね〜!」
「杏奈は引っ越し終わったー?」
「うん、終わったよ。大学のすぐ近くだから今度遊びに来てよ」
「やったー!いくいくー!」
「杏奈達も家に遊びにおいでね〜!」
「良いなー!私も一人暮らししたかったなー」
「由依ちゃんは家が大学に近いもんね」
「私も早くお兄ちゃんの家遊びに行きたいなー!愛美はもう行ったんでしょー?」
「うん、引っ越しの時くればよかったのにー」
「えー、だって片付け大変そうじゃん!旅行終わったらいくね!」
「忙しいからムリ」
「なんでよ!良いじゃん!」
「大学の準備とか、車の納車とかあるし忙しいから、学校始まってからな?」
「けちー!愛美は許す癖にー!」
「そりゃね、ほらそろそろ時間だから行くよ」
まずは飛行機に乗って成田空港に向かい、そこからローマに向かうことになる。
乗り継ぎ時間を含めて20時間ほどかかる結構面倒な移動だ。
直行便があればよかったんだけどな〜。
成田空港で通訳の方と落ち合う。
今回は旅行会社のプライベートツアーを申し込んでおいた。
イタリア語は分からないし、治安も少し不安だからな。
旅行に同行して通訳と案内をしてくれるサービスを頼んだ。
女性の通訳の方と挨拶を交わし、一緒に出発ゲートへ向かう。
「私達普通の料金しか出してないのに、こんないい席に乗るの申し訳ない気がする」
「杏奈、気にしないで。俺がエコノミーじゃきついってだけだから。俺1人で乗るのは寂しいでしょ?」
成田からローマまではファーストクラスに乗る。
今回の旅行は、妹以外みんなそれぞれ最低限の代金は払ってもらっている。
もちろんファーストクラスやホテルのスイートなどの追加料金は俺が負担しているが。
本当は全部出して良いんだけどな、出したいと言われたからしょうがない。
「お兄ちゃんが出したいだけなんだから、気にしなくていいですよ!」
「そうそう、彩華の言う通り、俺が贅沢したいだけだからね」
「じゃあ、あんまり気にしないようにするね、ありがとう」
国際線のファーストクラスには初めて乗るけど、広くて機内食も美味しい、これは快適だ。
エコノミーなんか2度と乗れなくなる。
ただ一つ残念なのが、隣の席と仕切りがあってイチャイチャしづらいことかな?
ローマには夕方に到着した。
「いくらファーストでもそこそこ疲れたね」
「でも修学旅行の時よりずっと楽だったよ!ありがとう!」
「わー!イタリア語ばっかりだよー!?全然わかんないねー!」
「英語も一緒に書いてあるでしょ〜?」
「あ、そうなんだー?イタリア語だけかと思ったー!」
聖奈はよく大学受かったな?受験科目に英語もあったよな?
今日はこのままホテルに向かい、寝るだけ。
機内では少ししか眠れなかったし、程よく疲れている。よく眠れそうだ。
翌日は1日ローマの有名観光地巡りをする。
行くところは事前に決めてあり、車の手配などもしてもらっているため、通訳の人についていくだけの楽な旅行だ。
「あ、聖奈これ知ってるー!コロッセオでしょー?」
「そうそう、ここ来たかったんだよね」
「こっちはなに〜?」
「ここはフォロ・ロマーノって言って、ローマ時代の遺跡だよ」
「へ〜!そんな昔から残ってるんだ〜!」
他にもバチカンや、スペイン広場など有名な観光地を慌ただしく巡ってホテルに戻った。
ローマの観光は今日だけで、明日は朝からミラノに移動する。
ローマからミラノへは飛行機での移動だ。
「浩介、杏奈とはいつ話すの?」
機内では、美咲の隣に座る。
「んー、明日ベネチアに着いて、その夜ホテルで話そうって杏奈に言われたんだけど、いいかな?」
断られた場合残りの日程が結構きつい気もするけど、結果が気になって観光に集中できないのも嫌だし。
早く答えを聞いてスッキリしたい。
「わかった、じゃあみんなにも言っておくから、夕食後に2人きりにするね?」
「うん、ありがとう」
「頑張ってね!」
ミラノでは美咲が見たがっていたレオナルドダビンチの最後の晩餐を見たり、本場のミラノ風カツレツを食べた。
最後の晩餐は感動したが、カツレツはまあ普通だった。
イタリア滞在4日目
朝、ミラノからベネチアまで電車で2時間半ほど移動する。
今日から3日間滞在する、ここが今回の旅行のメインだ。
「うわー!綺麗!」
「駅の目の前が運河だよ〜!」
「すごい!すごーい!」
「写真撮ろうよ!」
「まずは荷物置きに行こうか」
一通り写真を撮った後、1日貸切のタクシーでホテルに向かう。
ホテルは、サンマルコ広場近くの有名ホテルで、アニメや映画の舞台にもなったことがある場所だ。
「船で移動するって面白いね!」
「なんか優雅だね〜!」
「3日間これで自由に移動できるからね」
「ゴンドラはいつのるのー?」
「一応今日の夕方に予約してるよ」
「やったー!夕日綺麗に見えるといいねー!」
「それまでは、ちょっと街歩いて時間潰そっか」
「そうだね〜!」
サンマルコ広場は人が多く、移動するのも大変だ。
「聖奈あのカフェ行きたいなー!」
あのカフェとは、この広場にある世界最古のカフェで、聖奈が好きなアニメにも登場する。
意外にカフェメニューだけでなく、お酒もあったりする。まだ飲まないけど。
「カフェラテはここが発祥らしいよ」
「へ〜!そうなんだ〜!」
「結構いい値段するね」
「まあ、観光地価格だからね、場所も超一等地だし」
「ここでお昼食べて、大聖堂に入ってみようか」
「はーい!」
夕方、ホテル周辺の観光を済ませ、予約していたゴンドラに乗る。
もちろん漕ぐのは男性で、白い制服を着た女の子はいない。
「きれいだね!」
「聖奈これが見たかったんだー!」
夕日が沈んでいき、海に伸びるオレンジ色の筋が美しい。
なんか景色だけで感動できるってすごいな。
「なんか涙出そう」
杏奈も景色に釘付けになっている。
1時間半ほどの船旅は一瞬で終わり、ホテルで夕食をとる。
「すごかったね!」
「これはまた乗りたくなるね〜」
「明日もお昼に乗るけど、最終日にもう一度この時間乗ろうか」
「いいの〜?」
「やったー!」
夕食が終わればいよいよだ。
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