第75話 新居での生活


「おはよ〜」


「おはよ、もう起きてたんだ?」


次の日、目を覚ますと隣でもう起きていた渚がくっついてきた。

反対側には聖奈がまだ寝ている。


「えへへ、さっき目が覚めて〜、浩介かっこいいな〜ってずっと見てた〜」


「美咲は?」


「朝ごはん作ってくるって言って先に出てったよ〜」


「じゃあ、さっさと起きようか」


「そうだね〜、聖奈も起きて〜!」


「ん〜」

聖奈の体を揺すっても全然起きる気配がない。


「こりゃだめだね〜、昨日夜遅くまでだったもんね〜」


「もう少し寝かせてあげよっか」


ベッドから出て、寝室と繋がっている洗面所で渚と2人、身支度を整える。

洗面台はみんなで同時に使えるように複数用意している。

ちなみにベッドはダブルベッドを3つ並べていて6人で寝ても余裕があるくらいだ。


「一緒に使えるって便利だね〜」


「いっぱいあってよかったでしょ?」


「最初は絶対こんなにいらないと思ったんだけどね〜」


「大学始まると余計に使う時間被ったりするだろうしね」


「確かに〜!」


「先にリビング行くね」


「あ、待って〜私もすぐ行く〜!」


置いて行くのも可哀想なので、髪をセットしている渚を少し待つ。

いつ見ても綺麗な長い黒髪だ。

2人でリビングに行くと、キッチンの方から甘い匂いが漂ってくる。


「おはよー、何作ってるの?」


「あ、浩介おはよー!フレンチトースト作ってるんだけど、浩介もそれでいい?」


「わ、めっちゃ美味しそう!ありがとう!」


「お腹すいた〜!美咲ありがと〜!」


「聖奈はまだ寝てるの?」


「うん、起こしたんだけど、全然起きなかった」


「まー、しょうがないねー、荷物が届く前には起こさないとね!」


「愛美もお昼前には来るんでしょ〜?」


「うん、そう言ってたはず」


「可愛がってあげてね〜?昨日1人だけかわいそうだったし〜」

みんな一緒に住んでいて、1人だけ帰るって寂しいよな。


「そうだね、そうするよ」


「はい、できたよー!どうぞ!」


「任せてごめんね、次は手伝うから!」


「ううん、浩介にはいつもお世話になってるし!これくらいやらせて?役割分担だから!」


「そうだよ〜?浩介はお金を稼いでるんだから〜、家事とか家のことは私たちでやるよ〜」


「そっか、ありがとう!でもやれるときは手伝うからね!」


こう言ってくれるのはありがたい。

掃除とかは家事代行業者に頼めばいいか、いずれ早いうちにメイドさん雇いたいな。


誰かいないかな、由依ちゃんとかバイト探さないかな?今度聞いてみるか?

でも雇ったら他のみんなと差がついちゃうかな?ん〜、悩むな。

来年あたりに受験に失敗した後輩とか誰かに紹介してもらえないかな?


「おはよー、起きたらみんないなくてびっくりしちゃったー」


朝食を食べ終え3人でテレビを見ていると、まだ眠いのか目を擦りながら聖奈が起きてきた。

キャミソールの肩紐が片方垂れていて、セクシーな格好になっている。


「おはよ!朝ごはん作るからちょっと待ってね!着替えておいで?」


「わーありがとー!わかったー!」


聖奈が食べ終わった頃に荷物が届き始め、それぞれの荷物を片付ける。

お昼前、愛美が来るまでには全ての荷物が揃った。


「お邪魔しまーす!」


「いらっしゃい、まだみんな片付け中だから俺と遊ぼっか」

俺もまだ全部は終わって無いけど、まあ良いだろう。


「はーい!」


愛美と1時間ほど遊んだ後、身だしなみを整えてからリビングに戻る。

3人とも揃ってソファーでくつろいでいた。


「もう片付け終わったの?」


「私は終わったよ!」

「私はもうちょっとかな〜?」

「聖奈はまだ全然!疲れたから休んでるんだー!」


「お腹すいてる?お昼作ろうと思うんだけど、何がいいかな?」


「あ!美咲先輩の手料理?食べたーい!なんでもいいよー!」


多分作る側からしたら、なんでもいいっていうのが一番困るんだろうな。

今はまだ気にしないだろうけど、今後こういう細かいことに気をつけないと。


「俺パスタとかがいいな〜、確か食材あったよね?」

保存の効く食材は他の小物類と同時に注文していて、今日届いている。


「わかった!じゃあ作ってくるね!」


「聖奈も手伝うー!」

聖奈偉いな、3人で家事の分担とか決めたのかな?


「あ、じゃあ私も!」


「愛美は休んでていいよ!今は疲れてるでしょ?」


「いいの〜?じゃ〜、そうする!」


「愛美は旅行の準備進んでる〜?」


「うん!もうバッチリ!」


「いよいよ明後日だね」


「楽しみ!」


「そういえば浩介、前言ってたおすすめの株ってどうなったの?」


「あー、それね。もう少し値下がりしてからかな〜、あと1、2ヶ月くらい待ってみようかなって」


「わかった〜!楽しみにしてる〜!」


「そっか、渚先輩も株やってるんだよね?すごいな〜!私将来なにしようかな?」


「好きなことやりなよ、今やりたいことはないの?」


「んー、あんまりわかんないけど、浩介先輩の役に立ちたい!美咲先輩は料理が得意だし、渚先輩は株が得意だし!」


「別に、愛美がいてくれてるだけでありがたいけどね、あんまり気にしなくていいよ?」


「聖奈もいるしね〜、あの子は浩介と趣味が合うみたいだけど〜」


「聖奈は声優に成りたいっていってるし、やりたい仕事とか趣味でも見つけたら応援するから!」


「そっかー・・・ちょっと考えてみる!」


愛美はまだ高校一年生にもなっていないんだから、ゆっくり考えて欲しい。

別に仕事とかしなくてもいいけど。



お昼を食べた後、片付けの終わった美咲と3人で遊び、夕方には愛美は帰った。

まだ一緒に住めないのは寂しいが、実家と違って何も気にせず遊べるのは良い。


明後日からはいよいよイタリア旅行に向かう。

杏奈や由依ちゃんとも久しぶりに会えるし、何よりも告白の返事が気になる。


「全然おわんなーい!美咲助けてー!」

夜寝る頃になっても、聖奈は片付けが終わる気配がなかった。

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