第74話 新居

3月19日


朝起きてからずっとチャートを眺めていると、ようやく1ユーロ110円を超えたので、ポジションを全て決済する。

利益額は、216億3200万円になった。


FXは本当に株式取引とは桁違いで、2005年4月から初めて2011年の8月までの6年と少しをかけて稼いだ金額とほぼ同じ額をわずか2ヶ月で稼いだ。


利益のうち16億3200万円を銀行口座に移し、残った200億円を使ってまた取引をする。

1ユーロ109.7円で、40万ロットの売り注文を出すと、証拠金は176億円になった。




銀行口座に移した約16億のうち1億9000万円を車6台分の代金として振り込む。

ちょっとお金使わなさすぎたかな?

稼いだ額を考えると誤差レベルで安く感じる。


前世も含めて初めて車を買ったから、これだけしか買わなかったけど。

すぐに乗り換えてもいいかな?他にも何台か買ってもいいかも。


「うわー、負けた」


「えへへ、浩介弱くなったー?」


「聖奈ゲーム強くなったね、昔は余裕で勝てたんだけど」

久しぶりに聖奈と2人でテレビゲームで遊んでいる。


「家でもずっと妹とゲームしてたもん!受験中はできなくてキツかったんだよー?」


「聖奈受験頑張ったもんね、妹ちゃんは元気?」


「うん!そういえば、ウチの高校受かったみたいだから、愛美と同級生になるんだよー!」


「え、そうなの?初めて聞いた。てか受験してたんだ?」


「そう!自分のことでいっぱいで、言うの忘れてたー!」


「今年はクラスとか違うだろうけど、愛美と仲良くしてくれたらいいね」


「そうだねー!入学したら新しい家に遊びに連れてきてもいい?」


「大丈夫だよ、楽しみにしてる」

聖奈の妹か、まだ見たことないけど可愛いんだろうな〜、会うのが楽しみだ。

確かお父さんの連れ子なんだよな。


「やったー!あ、また勝ったー!浩介って実はレースゲーム苦手なのー?」

妹ちゃんの事考えていたらいつの間にか負けていた。


「つ、次は勝つから!」

次こそ絶対に負けない!



全然勝てなかった。いや2回くらいは勝てたんだけどな。

夕方頃には聖奈も自分の家に帰り、代わりに待ち望んでいたものも届いた。

クレジットカードだ。ようやくこれを持てる年齢になった。


高校を卒業してすぐ申し込みをしていたものが、審査が終わり、無事に手に入れることができた。

できるだけ早く信用情報を貯めて、ブラックカードとか上位のカードが欲しい。

今のままじゃ、確実に限度額が足りない。





3月20日


ようやく家が完成し、引き渡しが行われる。

この春休みは忙しいな。ゆっくりする暇が全然ない。


「こんな家に住めるんだね!外観もすごいオシャレ!」

「これはすごいね〜!マンションって言われてもわかんないね〜!」

「すごいすごーい!でっかーい!」

「先輩達はいいな〜!私も早く住みたい!」


「実物見るとやばいね、家具とかは今日と明日で全部届くはずだから」


実際周りに経っているマンションと大きさに遜色がない。

といっても高級住宅地らしく、周りのマンションも4階建てくらいの低層なのだが。


敷地が広い分むしろこちらの方が大きいかも。

一緒に手伝いに来てくれた愛美以外の彼女の親御さん達も驚いている。


「片付けが大変だね!キッチンとか水回りは私に任せて!」


「じゃ〜私達は他の所やるね〜!」


「うわー、片付け大変そうー!聖奈はみんなの応援するねー?」


「ほら聖奈行くよ〜」


「あ、ちょっと引っ張らないでー!」


家に入って中を見て行く、北側は道を挟んで大きな池のある公園で、2階にあるリビングからの眺めがいい。

それぞれの部屋も広くて日当たりもいい。庭にはプールまでついている。


問題はないようなので書類にサインをして、引き渡しは完了だ。

新品の家は気持ちがいい。綺麗に使わないと、前世はすぐゴミが溜まっていたし。


「あ、荷物来たみたいだよ!」

そうこうしているうちに、チャイムがなり家具などが届き始める。


「みんなで手分けして案内しようか、みんな頑張って!」


「は〜い!がんばろ〜!」


「おー!」


搬入のトラックがひっきりなしにやって来ては、それぞれの部屋に案内する。

引越しって大変だな〜、荷物を運んでくれる人はもっと大変だろう。



「は〜、疲れた〜、でも大体のものは揃ったね〜!」


今日届く物は片付けが終わり、親御さん達も帰ったので、みんなでゆったりしている。

帰り際、親御さん達には一緒に住むことのお礼は言われたが、渚のお父さんの目が少し怖かった。


以前家賃のことも話し合いをしたが、俺が丁寧にお断りしている。

受け取るほうが税金とか面倒だし、小銭を稼いでもな。


「ワクワクするね!キッチンも大きいから、料理のしがいがあるし!」


「書斎も凄いよね〜!画面がいっぱいあって取引も捗りそ〜!」


「渚のデスクも用意しておいてよかったね」


「ほんとありがと〜!私はまだ使いきれないかもだけどね〜」


「渚ならすぐに使いこなせるよ、要領いいし」


「ゲーム専用の部屋もあるし、漫画がいっぱいおける部屋もあるし、凄いよー!?天国だよー!」


「明日家から送ったものとか、細々としたものが届いたら完了だね!」


「ゆっくりできるのは旅行から帰ってからになるけどね」


今週末にはもうイタリアで観光を楽しんでるはずだ。

卒業旅行なのに卒業してから結構経っているが。

車の納車にかかる時間とかを考えると、どうしても免許合宿が先で、旅行は後回しになってしまった。


「イタリア楽しみだなー!聖奈ベネチアが一番楽しみー!」


「あのアニメ好きだもんね」


「そう!あれ見ると落ち着くんだー!ゴンドラに乗りたくなるよねー!」


「実際はゴツい男ばっかりだと思うけどね。でも分かる、めちゃくちゃ好き」


「私はミラノが楽しみ!最後の晩餐を生でみれるんだよ!」


「それも楽しみだね」


「杏奈達にも久しぶりに会えるしね〜!」


「卒業旅行なのに私も一緒でいいのかな?」


「もちろん、愛美も彼女なんだから、それに中学校は卒業したでしょ?」


「確かに、一貫だからあんまり実感なかったけどそうだね!」


あんなに小さくて可愛かった愛美がもう高校生なんて早いな〜。

今世で初めて会った時は小学3年生だった。

身長も聖奈より小さくて、年齢よりも幼く感じるけど。


「じゃあ、そろそろ愛美は家に帰る時間だよ」


「えー、帰りたくないなー!私の部屋もあるんだし、泊まっちゃだめ?」


「親御さんが心配するでしょ?またすぐにきていいから、ね?」


「む〜、しょうがないなー」


「また明日もおいで〜!今日はもうこの時間になっちゃったけど、明日ならイロイロできるからね〜!」

「明日は私が料理作ってあげるから!」

「聖奈の荷物が届いたら、一緒にゲームしようねー!」


「ありがとう!じゃあまた明日来るね!」

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