第73話 高校卒業


『以上を持ちまして、平成24年度卒業証書授与式を終了いたします』



「うぅぅ、卒業しちゃったね・・・楽しかったなー」

美咲は大きな目から大粒の涙をこぼしている。


「そうだね〜、なんか寂しいね〜」

渚も目がちょっと赤くなっている。


「卒業したくないよー・・・」

聖奈もいつもと違い、元気がない。


「そうだね・・・寂しいけど、多分大学はもっと楽しいよ!俺たちは一緒だし」

今日で美咲達の制服姿ともお別れなのは悲しい。

もっと見たかったな、まあ制服は捨てずに新居に持ってくるように頼むけど。



2度目の高校生活が終わった。

ここまでの人生は、大成功と言ってもいいんじゃないだろうか?


彼女は美咲、渚、聖奈、愛美の4人も作ることができた。とっくにハーレムができている。

杏奈はどうなるかわからないけど、まだ返事待ちの状態だ。

是非ともいい返事が欲しい。


前世とは違う大学に通うことになるので、これからどんな人と出会うのかは分からない。

正直前世で通った所にも可愛い子はいたし、惜しい気持ちもある。


ただ、4月から通う大学は、前世よりもよっぽど規模も大きく、学生数も多い。

かなり期待できるかもしれない、これ以上増やせるかどうかは分からないが。



「そうだね、私たちはみんな一緒だもんね」

杏奈の綺麗な顔も少し暗い。


「大学、楽しみだね!」

由依ちゃんは結構平気そうな顔をしている。


「ね!その前にも卒業旅行もあるし」



金持ちになる、という目標も順調そのもの。

1月に買ったユーロはまだ一部を除いて保有中だが、含み益がとんでもないことになっているし、以前から持っている株式もかなりの金額で、もう間もなく完成する不動産まで所有している。


まあ、こんな数百億程度じゃ満足できないけどな。

これまではまだ前哨戦、これからが本番だ。

政権交代による株高と、円安でかなり稼げるはず。


目指すは日本一、いや世界の富裕層ランキング上位レベルには稼ぎたい。

夢は大きく、だよな。



「せんぱ〜い、寂しいよ〜・・・」

講堂を出ると、花束を持って、目を腫らした愛美が外で待っていた。


今日は、3月3日の日曜日なのだが、見送りに来てくれたらしい。

人数が多いため、卒業式に在校生は参加できない。


「お花ありがとう、愛美とはいつでも会えるから大丈夫だよ、家も学校に近いし」


「・・・毎日家に行くから、彩華と一緒にお泊まりとかしに行くからね!」


「いつでもおいで、親御さんに怒られない程度にね?」


「愛美ー!寂しいねーううぅぅ」

聖奈が泣きながら愛美に抱きついている。


「聖奈落ち着いて、愛美が苦しそうだから」


「ふぅ〜、もう聖奈先輩!涙も引っ込んじゃったじゃん!」


「愛美、大学で待ってるからね〜!落ちないように勉強頑張ってね〜!」

渚も愛美のことを軽く抱きしめている。


「勉強とかもいつでも教えてあげるからね!」

そう言って美咲もハグをする。


「も〜、渚先輩、美咲先輩まで〜」

満更でもなさそうな顔で呟く。


愛美と少し会いづらくなるのは寂しいな。

振られたりしないように気をつけないと。



話は前後するが、2月にはユーロの一部を決済して納税している。

2011年の利益総額は105億7100万円、なかなかの額だな。


納税額はその20%の21億1420万円で、口座に残っていた15億4171万円と、1万2398ロット分の売却益6億4469万円の中から納税した。

口座には7220万円残り、残っているポジション(外貨の持ち高)は16万9000ロットになった。


大学入試の結果は、2月下旬に送られてきた。

問題なく全員合格した、もちろん聖奈も含めて。


前世では全く勉強せずに、落ちた大学だったから本当に安心した。

聖奈も直前は特に頑張っていたし、ご褒美にお盆か年の瀬に東京連れてってやらないと。



卒業式が終わり、春休みに入るとまずは予約していた、免許合宿に行く。

普通に通って免許を取るより、圧倒的に早く取れるので楽だ。

入学前には車が欲しいしな。


「運転って結構楽しいね!」


「私には結構難しいかも〜」


「なんで受験終わったのにまた勉強しなきゃいけないんだろー、聖奈勉強やだー!」


「まあ、確かに受験終わったあとまで勉強するのは面倒だね。でも免許は取ってたほうが便利だから、ね?」


「む〜、運転するのは面白いんだけどなー」


「旅行だと思って楽しもうよ」

合宿中は教習所のすぐ近くにあるホテルに宿泊している。

それぞれ1人部屋だが、交代で一緒に寝ている。


「こうやって夜もずっと一緒に居られるのはいいよね!」


「これからは一緒に住むんだけどね」


「もうすぐ完成するんでしょ〜?引越しは合宿終わった後でいいんだよね〜?」


「うん、予定通りで大丈夫みたい」


「杏奈も由依も一緒に住めたら楽しいのにねー!」

ほんとにな、返事が気になりすぎる。


「それは杏奈と浩介次第だね〜!由依はわかんないけど〜!」


「浩介、ファイト!応援してるからね!」


「ありがと、頑張るよ」


イタリア旅行は楽しみでもあるが、少し怖くもある。

せっかくの旅行だし、あまり気にしないようにはするけど。



2週間後合宿は4人全員卒業検定に合格し無事に終わった。

流石に、大学受験を受けたばかりの若い脳みそだと、すぐに覚えられる。

その次の日の朝には免許センターで試験を受け、免許を取得することができた。


「早速、車見にいこうか」

車庫証明などの必要書類は、親に協力してもらい、事前に用意しておいた。


「もう車買っちゃうの?」


「うん、大学に行くのも車があったほうが楽でしょ?」


「それもそっか!」


「聖奈おっきい車に乗りたいなー!」


「何台か買うつもりだから、みんなも選ぶの手伝ってよ」


「え!?何台もって、そんなに使うの?」


「通学用とか、遊びに行く用とか、みんなが使える車もあったほうが便利かなって。美咲も買い物に車があった方がいいでしょ?」


「それは、そうかもだけどー、なんか勿体無いねー?」


「大丈夫だよ〜、ちゃんと使えば勿体なくないでしょ〜?」


みんなでいくつかのディーラーを巡り、その日のうちに契約を結ぶ。

今買っても、特に外車なんかは納車までには3週間以上かかったりする。


「なんとか入学式にはギリギリ間に合いそうだね」


「もー、6台は買いすぎ!でもちょっと楽しみだね!」


「ね〜!浩介気をつけて運転してね〜?」


「聖奈も運転してもいいのー?」


「もちろん!みんなも事故だけはしないようにね?傷つけるくらいは全然いいから」


「はーい!」

聖奈は返事だけはいいんだよな〜、一番心配なんだけど。


今日購入した車は、ドイツの某高級車メーカーの車4台と、イタリアの某馬のマークのスポーツカー1台、あとは日本のLのマークのついた高級ブランド1台の計6台。

ドイツ車は、SUVやセダンなど4種類購入している。


明後日には振り込みしないといけないので、FXの決済をしないといけない。

今の時点でも109円を超えているので、かなりの利益は出るはずだ。


流石に今すぐ決済するのはもったいないので、ギリギリまで粘ってみよう。

明後日の朝までに110円を超えてくれるとありがたいんだけど。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る