第61話 文化祭2

「浩介これどう?」

美咲は和風のメイド服を着ている。


「メッッッチャ可愛い!」


「ご主人様、私は〜?可愛いでしょ〜?」

渚はピンク色のメイド服だ。


「すっごく似合ってる!」


「聖奈はどーお?似合ってるかなー?」

聖奈は、天使風のコスプレ衣装で、背中に白い羽がついている。


「本物の天使かと思った!」


「浩介先輩、私はー?」

愛美は小悪魔風のコスプレ衣装だ。こちらには黒い羽がついている。


「やばい」

語彙力がなくなる。


小悪魔風は渚の方が似合うんじゃ無いかと思ったが、これはこれでいいな。


なぜこんなファッションショーをしているかというと、文化祭でコスプレ喫茶をすることになったからだ。


中1の時にやって以来4年ぶりだ。愛美たちのクラスも同じくコスプレ喫茶をするらしい。

今年からは女子の多いクラスだし、かなり華やかになりそうだ。


「じゃあ、勉強会しよっかー」


えー・・・もう少し色々な衣装を見たかった、まあしょうがないけど。

そもそも勉強会目的で集まって、コスプレは主目的じゃ無いからなぁ。


「え〜、もう?もうちょっと美咲のコスプレ見たかったな〜」

渚も同じことを思ったらしい。


「私たちも来年は受験生なんだから、ちゃんとしないとねー!」


「聖奈勉強したく無いなー!みんなでアニメ見ようよー!」


「聖奈はもう少し頑張って勉強したほうがいいと思うよ〜?」

これに関しては渚の言う通りだ。


模試の結果を見る限り、聖奈だけはギリギリ合格するかどうかというレベルだ。

俺もちょくちょく美咲や渚に勉強を教えてもらっている。

前世と頭の作りが変わったわけでもないし、少し頑張らないと受からないかもしれない。


「えーなんでよー!」


「聖奈も一緒の大学行きたいでしょー?がんばろー?」


「美咲先輩、これ授業でやったところなんだけど、ちょっとわからなかったから教えてー!」


「愛美は偉いねー、渚とは大違いだね!」


「むむむ、わかったよ〜、ちゃんとやるから〜!でも、着替えるのは勉強会が終わった後ね〜」

いくつになってもここの2人の力関係は変わらないみたいだ、渚は美咲には弱い。


「えー、もう着替えようと思ったのにー」


「美咲が着替えたらやる気が出ないな〜、浩介もそう思うでしょ〜?」


「うん、そうだね」

それはそうだ、美咲達が可愛いコスプレを着ていた方がやる気がでる。


「もー、しょうがないなー・・・じゃあこのまましよっかー」


いや〜、目の保養になるなあ〜。やる気は出るけど、集中はできないなこれ。

当日は杏奈達のコスプレも楽しみだ。





文化祭当日


俺たちのクラスは大盛況だ。

俺も中1の時と同じく会計を担当しているが、目が回るように忙しい。


そりゃあ、これだけ可愛い子がいたらそうなるか。客層を見ると男性率が高い。

この分だと打ち上げもかなり豪勢にできそうだ。


美咲達は、試着した時と同じ服を身に纏っていて、すごく可愛い。

他の男に見せるのも勿体ないくらいだ。

杏奈は、ミリタリー風のコスプレで、ショートパンツから伸びる網タイツが素晴らしい。


「浩介〜、私たち休憩時間だって〜!」

メイド服姿の渚が声をかけてくる。ミニスカートとニーソックスの間の絶対領域はいつみても素晴らしい。


「おっけー、じゃあ行こっか。どっか行きたいとこある?」


「ん〜、もう文化祭も慣れちゃったからな〜、話しながらゆっくり廻ろ〜?」


「おっけー!そいうえば、学部選びの話どうなったの?」


「パパはね〜やっぱり法学部に行って欲しいみたい。いつもは私のしたいことは尊重してくれるんだけどね〜」


渚の両親はどちらも弁護士をしている。やっぱり娘にも弁護士になってほしいのかな?


「渚は前も言ってたとおり経済に行きたい?」


「大学の授業とかでも浩介と一緒にいたいし〜、投資の勉強にもなるしね〜。将来は弁護士じゃなくて、浩介と一緒に投資家になりたいし」


「一緒にいたいのは嬉しいけど、なんで投資家になりたいの?お金のため?」


「まあ、お金のためかな〜」


「欲望に忠実だなー!?」

正直で素晴らしいことだ。


「お金のためって言っても、浩介を含めてみんなを養うためっていう方が正しいかな〜。今までずっと浩介に頼りっぱなしでしょ〜?だから私も稼ぐの」


ほう?


「そこまで考えてたんだ?」


「それはそうだよ〜、最初に投資のことを教えてもらう時にも言ったでしょ〜?浩介に頼りきりになるのはダメだと思うって〜」


「確かに言ってた気がする」


「だから、これからも私がちゃんとした投資家になれるまではよろしくね〜?」


「おう、それまでは全力で俺に頼って良いからね」

渚の成長は早いし、もうある程度のことは自分でできている。俺に頼ってくれるのもそう長くはないかもしれない。


「じゃ〜あ〜・・・一緒にパパの説得手伝って!お願い!」


「えーやだよ、渚のお父さん怖そうだもん、それにほとんど家にいないじゃん」


あんまり話したことはないけど、体育祭の昼食の時にあったことがある。

弁護士らしく、厳格そうなお父さんだ。

なぜあの両親からこんな娘が生まれたのかがわからない。


「今言ったことは嘘だったの〜?全力で頼ってって、自分で言ったんだからね〜!」

金銭的な意味で行ったんだけどな〜。


「あ、はい・・・でも、娘の男友達が説得しに行ったら逆効果じゃない?」


「それは大丈夫じゃないかな〜?いつもパパに浩介の話してるけど、いつもニコニコ聞いてくれるよ〜?」

あの父親がニコニコしてるのは逆にこえぇ。てか家で俺の話とかしてるのか。


「そ、そっか〜、じゃあ今度ね!」


「頼りにしてるよ〜?」

そう言って俺の腕を掴んでひっついてくる。





「みんなお疲れ様!かんぱーい!」


文化祭は2日間大盛況で終わった。次の日の今日はその打ち上げだ。

クラス委員長の号令で乾杯をする。もちろんみんなソフトドリンクだ。


「もー、くったくただよー、でも楽しかったねー!」

「疲れたね〜」

「聖奈、足がいたーい」


「女の子は特に大変だったね」


「そうだよー、来年は男子も接客してねー!女装とかしたら面白いかもー!」

聖奈が怖いことを言い出した。


「え、それは売り上げ落ちそう」


「そうだよ〜、可愛い女の子が可愛い服を着て接客するから良いんだよ〜?」

渚が援護射撃をしてくれる。それにしてもなぜちょっと男子目線なのだろうか?


「えー、でも聖奈、浩介の女装とかみてみたいけどな〜」

全力で拒否させてもらおう。


「ほらほら、男子は男子で大変だったんだからー、文句言わないの〜!」


「美咲は優しいなぁ」


「・・・でも私も浩介の女装はちょっとみてみたいかも!」

全然優しくなかった。


「俺は美咲の可愛い姿、もっとみたいな〜」

これで誤魔化せないかな?


「も〜そんな言葉で誤魔化せると思わないでよー?」


そう言いながらも美咲は嬉しそうにしている。

美咲には是非渚みたいにならずに、このまま純粋なままでいてほしい。


「次のおっきなイベントは修学旅行だねー!聖奈もう荷物の準備終わっちゃった!」

それは早すぎる。あと1ヶ月くらいあるぞ?


「そうだね〜、1ヶ月なんてすぐだもんね〜!」


「楽しみだね!」


でも美咲の言う通り本当に楽しみだ。

俺は俺で色々と準備してるしな。


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