第62話 修学旅行1

ついにやってきたこの日、修学旅行当日だ。イギリスとフランスの2カ国を廻る。

前世でも高校生活で一番記憶に残っている、と言っても男友達とのむさ苦しい旅だったが。

それでも初めてヨーロッパに来て、違う文化圏を生で体験できたのは感動した。


その前世と今回は一味も二味も違う。なにせ彼女たちと一緒だからな。

自由行動の班も俺と、いつもの5人にクラスの女の子2人を加えた8人だ。


クラスの男女比的に男が圧倒的に少ないため、男女の人数制限などは無い。

もちろん、ホテルの部屋分けは男と一緒になるが。


「1組の人はこっちに集まってくださーい!」


夕方、空港に着くと先生達が声を張り上げていた。

これだけの生徒をまとめるのも大変だろうな。

1学年400人もいる、この人数は一つの飛行機には乗れないので、先行組と後行組に別れて行動する。


「浩介、あっちだってー!」


「おっけー、みんな行こうか」


「この感じ久しぶりだね〜、空港着くとなぜかワクワクするよね〜!」


「聖奈楽しみだなー!愛美にもおみあげ買って帰らないとねー!」


地元の空港から飛行機に乗り、成田空港で乗り換え、ロンドン・ヒースロー空港に向かう。

機内では、3列の座席で、聖奈と渚に挟まれて座る。


「ファーストに乗りたかったね」


「修学旅行だし、しょうがないよ〜」


「聖奈はこうやってくっつけるから、こっちでも良いかなー!」


聖奈は肘置きをあげて、密着してくる。

3人でイチャイチャしていると、いつの間にか寝ていたようで、起きた時にはもう到着間際の朝食の時間だった。


「おぉぉぉ〜英語ばっかだ」

2回目でも感動する。


「聖奈緊張してきたー、英語できるかなー?」


「多分そんなに使う機会ないんじゃないかな〜?ほとんど団体行動だし〜」


「自由行動の時くらいかなー?その時は浩介がなんとかしてくれるよ!」

美咲の期待が重い。


「まあ、任せてよ!」

大学でも英会話の授業とかはあったし、海外旅行も結構行ったから多少ならなんとかなるだろう。


早朝、空港からバスに乗り、バッキンガム宮殿や大英博物館などの定番の観光地に向かう。

ロンドンらしく、霧がかかっていて、風景が見えづらいのが勿体無い。


「そういえばねー、大学生になったら一緒に住むの、ママが許してくれたよー!」


「え、ほんとに!?俺がいることは言ったの?」


「んーん?言ってないよー?美咲達と一緒にって言ったー!」

いや、だめだろそれは。


「それは・・・言ったほうがいいんじゃない?」


「んー大丈夫だと思うけどなー!たぶん!」

多分て、いまいち信用できないなあ・・・。


「あ、みてー!着いたよー!かっこいいー!」


バッキンガム宮殿に着いたようだ、この話はまた後で話すしかないな。

ここでは中に入ることはせずに、門の前で記念写真を撮るだけだ。

旗が立っているから女王がいるんだろうな。


次の目的地に行くためにバスに乗り込む、次は美咲の隣になる。


「ねー浩介ー、私もさ、投資とかやってみた方がいいのかな?」


「ん?なんで?」


「んー、渚は浩介に投資教えてもらって実際にやってるんでしょー?私もそうした方がいいのかなって」


「やりたいなら教えるし、応援するけど、別に無理してやらなくてもいいんじゃない?」


「でもずっと浩介に頼りっぱなしって言うのもな〜、渚になんで投資やってるか聞いたんだー」


「あ〜ね、気にしなくてもいいのに〜。俺は料理のこと全然わからないから、美咲に料理教えてもらってるでしょ?みんな得意なことも苦手なこともあるし、それを補っていけるのが一番だと思うな」


「そうかな〜?それだけじゃ割りに合わない気がするけど」


「俺は美咲に教えてもらって料理の楽しさも知れたし、それに美咲と一緒にいるだけで幸せだから。気づいてないかも知れないけど、美咲にはいっぱい良いところがあるからね」


「そっか〜、ありがとー!私も幸せだよー!」


美咲にはもっと自信を持ってもらいたいな、なにかできないかな?

一緒にいるだけで楽しいし、癒やされるのに。


この後は大英博物館で観光した後、夕方にはホテルに着いた。

飛行機で1泊した後だから、なかなかに疲れた。



2日目はオックスフォードに向かった。


大学が某魔法使いの映画のロケ地になっていて、そこを観光する。

こんなお洒落な校舎で学生生活を送ってみたいものだ、無理だけど。

聖奈が一番はしゃいでたな。映画も何度も見ていたようで、頻りに写真をとっていた。



3日目、今日は1日ロンドン市内で自由行動になる。

メンバーは俺と美咲、渚、聖奈、杏奈、由依ちゃん、他女子2名だ。


「すごーい!きれー!」

聖奈がロンドン塔に飾られている宝石を見て目を輝かせている。


「聖奈〜、良いこと教えてあげよっか〜?」


「なになにー?」


「ロンドン塔って昔処刑場としても使われててね、出るんだって、今も」


「ち、ちょっとー!夜トイレに行けなくなるじゃん!浩介〜」


「ほらほら、こっちにおいで、渚は聖奈をいじめない」


「は〜い!」

返事だけはいいな。



「次はね、アフタヌーンティーに行こうか予約してるから」

ちゃんと事前に日本から予約をしていた。


「おぉー!聖奈が言ってたこと覚えててくれたんだー!」


「もちろん!ちゃんと覚えてるよ」


「さっすが〜!」


本場イギリスのアフタヌーンティーを楽しんだ後、ビッグベンやウェストミンスター寺院などを廻った。


イギリスとは今日でお別れ、明日は電車に乗ってフランスに移動する。

やっぱりこの旅一番の目玉はルーブルやヴェルサイユだし楽しみだ。

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