第32話 修羅場?
8月下旬
「おはよー」
「おはよ!浩介!」
「おはよー!夏休み終わるの早いね〜!」
「ねー、もうちょっと他の学校見習って伸ばしてほしいよなー」
「それはしょうがないよ〜、そういえば去年もこんな感じのこと話した気がするね!」
「確かに」
もうとっくに現世での生活になれたと思っていたが、やはりニート時代の記憶があると、休みの少ない学生生活というのは辛い。
「今年は文化祭何しよっかー?」
「美咲と一緒じゃないからなあ、同じことやっても売り上げ下がるだろうしなあ」
「なんでよー、私がいるじゃん!」
「渚も可愛いけどね!でも去年は5人可愛い子がいたけど、今年は3人だからなー」
「それは確かにー」
「浩介と渚と、一緒にいたいし自由な時間が増えるやつがいいなあ!」
「そうだね!」
東京旅行から帰った後、部活の6人で遊ぶ時以外、ほぼ毎日3人で一緒にいた。
特に渚の家に行くときは両親がいないこともあり、まあ、若いということもあって・・・そういうことである。基本的に渚か俺から誘うことが多い、美咲は恥ずかしそうにしながらもイヤではないらしく、素直に応じる。いつも3人一緒だ。
学校が始まると、一緒に過ごせる時間が減るのは残念だ。
その日の放課後の話し合いで、俺たちのクラスは縁日の出店をすることになった。輪投げや、ダーツのようなゲームで、成功したら景品を渡すだけ、というもので渚が提案したら賛成多数で可決された。
美咲達のクラスはステージでダンスを踊ることになったらしい、美咲は練習に時間をとられるのを嫌がったらしいが、多数決で決まったようだ。
9月1日
「お父さん、9月分の返済、証券口座の方から送金したから!」
「あぁ、あとで確認しておくよ」
今月から父親に借りた借金の返済をしなくてはならない。返済額は利子も含めて月に20万弱、まあなんとかなる額だ。夏の旅行で総額70万ほどかかったので、自由に使える資金は証券口座と銀行口座合わせ、46万しかない。流石に豪遊しすぎたと少し反省する。・・・後悔はしていない、必要経費だ。
そうそう、りんごの会社からは今年の6月、無事にスマートフォンが発売された。この初代のスマホは日本では発売されておらず、日本に入ってくるのは新型のものが来年発売されるのを待つしかない。出先でのネットがやりやすくなるので、早く手に入れたい。
文化祭当日
前日に教室を片付け装飾をし、当日は交代で接客をするだけだ。ただそれだけじゃ楽しくないので、浴衣を着て接客することになっていた。
「渚、浴衣ほんと似合うよね」
渚は長い黒髪をまとめ上げ、真新しい黄色い柄の浴衣をきていた。
「そこは何着ても似合うって褒めるとこでしょー?」
「はいはい、渚さんは何を着ても可愛いです。」
いや、普通に何を着ても可愛いのだが、なんか癪だったので棒読みで返す。
「聖奈はー?」
「聖奈もすっごく可愛い!」
そう言って頭を撫でると嬉しそうにする。
「ひどーい、なんか私と態度違う!」
そう言いながら渚も、聖奈の頭を撫で回していた。
接客担当は受付、ゲームの案内、景品を渡す係で5人もいればこと足りるため、ほとんどは休憩時間になる。
「やっぱそれ美咲にあってるね〜!」
「ありがとー!浩介に去年買ってもらったやつ、まだ着れてよかった!」
美咲はダンスのための衣装を着ている。
「練習頑張ってたもんね!」
「んー、今月あんまり一緒に帰れてなかったから寂しかった!」
美咲は放課後にダンスの練習があったため、帰りの電車は聖奈と渚と3人で乗ることが多かった。
「でもそれも今日までだし、俺、美咲のステージ楽しみだから、頑張ってね!」
「うん!ちゃんと見ててね!」
そうこうしてるうちに時間になり、講堂に向かう。
美咲達のダンスは、男子も女子もチア衣装に身を包み、チアダンスを踊るというものだった。
美咲はセンターで踊っていて、めちゃくちゃ可愛らしかった。男子がいなければもっと目の保養になったのに。
ダンスも終わりかけの頃、渚が話を振って来た。
「聖奈って浩介のこと好きだよねー、多分」
「え?」
「1年の頃から聖奈見てるけどさ、多分そうだよ。それに嫌いな男から頭撫でられて喜ぶ女子っていないと思うんだ〜」
「それは・・・あるかもしれないけど・・・」
「私のせいで付き合ってること言えてないから・・・ちょっと罪悪感あるんだよねー・・・」
「浩介ってさ、聖奈のこと好きなのー?」
「いや、美咲と渚が一番だから!」
「ふーん、そう?まあ一番なのは知ってるけどねー、でも好きじゃないとは言わないんだね」
・・・察しがいいな、嘘をついてもすぐにバレそうだったから、話を逸らしたのに。
「でも去年の文化祭の時からちょっと思ってたんだよねー、ぬいぐるみあげたりしてたでしょー?今年の体育祭のあと、2人で買い物に行ったりしてたし」
「ぬいぐるみはいらないからあげたのと、買い物は聖奈の妹のことであって・・・」
「別に責めてないから大丈夫だよー、美咲との間に割って入った私が文句言えることじゃないし」
「私だけが浩介の彼女だったら、全然ありなんだけどなー聖奈可愛いし」
「それはいいのか・・・」
「少なくとも私はもう浩介と美咲とは離れたくないし、聖奈とも仲良くなっちゃったし、機会作って聖奈と美咲と話してみるねー」
「え、それ大丈夫?てか、ほんとに聖奈が俺のこと好きかどうかわかんないのに」
「大丈夫ー!悪いようにはしないから!」
ほんとかなあ・・・
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りんごの会社のスマートフォン→iPh○ne
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