第28話 中学2年生

2007年4月、春休みが明け今日から2年生に進級する。



「渚、ちょっと元気ないけど・・・大丈夫?」


「うん大丈夫〜、クラス替えの時はいつもちょっと不安でね〜」


「渚もこうすけもクラス一緒だったらいいね!」

今日はクラス替えがある。学年で全部で5クラスあるため、一緒になる確率はかなり低い。


クラス分けが出ている掲示板前には人だかりができている。


「あ・・・」


あー、まあずっと同じクラスっていうのは無理だよな・・・美咲は別のクラスだった。


ちょっと心配ではあるが、まあ美咲は部活でも家でも会えるから大丈夫だろう・・・多分。美咲の性格からしても浮気とかはしないだろうし、そんな簡単に心変わりされるような付き合い方はしていないはずだ。


「初めて美咲と別のクラスになっちゃったね・・・寂しい」


「うん・・・でも渚は、こうすけと聖奈と由依も一緒だし寂しくないでしょ?私も休み時間、渚のクラスに遊びに行くから!元気出して!」


「うん・・・絶対だよ?美咲は寂しくない?」


「渚とこうすけと離れるのは寂しいけど、杏奈もいるからなんとか!」


クラスは、渚、聖奈、由依ちゃん、俺の4人が1組、美咲と杏奈ちゃんの2人が2組になった。

5クラスもあるのに2つに分かれただけで済んだのはいい方だろう。


「それに1組と2組なら体育の授業とかは一緒だし!」


「それもそうだけどね〜、うん、頑張ってみるー」


美咲に励まされ、渚は少しだけ元気になった。


しかし、渚って結構寂しがり屋なんだな・・・いつも3人でいる時の元気な姿しか見たことなかった。確かに美咲とは学校でも放課後でもずっと一緒だったから、そのせいもあるのかな?


「そういえば渚と美咲っていつから仲良いの?」

そういえば昔の話はあんまり聞いたことなかったな。


「んー、私が小3のときに美咲の家の隣に引っ越してきてからかな〜、私の親って共働きでいつも忙しいでしょ?引っ越してくる前は、学童保育で過ごしてたんだけど・・・引っ越してからは美咲の家に行けるようになったから、ずーっと一緒だったんだー」


「そうそう、それから毎日うちに入り浸ってるもんね!」


「そんな前から仲良かったんだ〜」


「美咲すごく優しくてね、私が寂しくて泣いてる時いつも励ましてくれたんだー」


確かに渚の家に行く時いつも両親はいなかったな。美咲に対する感情って依存に近いのかな?子供の頃寂しい思いをした子って何かに依存しやすくなるらしいし。


・・・俺が美咲と付き合った時も寂しかったのかな?人をおちょくるような性格だが根は優しい子だから、友達を別れさせるよりも自分も付き合うという選択をしたのかもしれない。実際そうなのかはわからないが、ずっと謎だった渚の行動原理が少しわかった気がしてスッキリした。


この状況、うまいこと利用したらハーレム増やせそうだな・・・ゲスな考えだが。


「そうだったんだ、でも登下校は一緒だし家に帰ってから遊べるから!俺もずっと一緒にいるからね!」


「・・・ありがと」


「あ!こうすけ、渚!今年も一緒だね!」


先に教室にいた聖奈がこちらを見つけ、駆け寄ってくる。なんか主人を見つけた犬みたいで可愛い。


「3人がいてよかったー、杏奈と離れてどうしようかと思った」

由依ちゃんも教室に入ってくるなりこちらに来る。


「聖奈も由依ちゃんも今年1年間よろしくね!」


「あれー?渚、元気ない?」


「ううん、大丈夫ー!今年もよろしくねー!」


「何か悩み事あったら聖奈聞くからね〜!いつでも言ってね!」


「ありがとー!聖奈も何かあったら言ってねー!」


「こうすけもねー、悩みがあったら聞くよー?恋愛のこととかねー!」

意味深な目線をこちらに向けながら言ってくる。渚もいつもの調子を取り戻したようでよかった。そういえば聖奈のことも一目見て気に入ってたな。


「お、こうすけまた一緒やね、よろしく」

どうでもいいことだが、オタク友達も同じクラスだ、というか前世ではなぜか6年間一緒だったので今回もそうなのかもしれない。




始業式やホームルームが終わった後、今年も健康診断がある。


「こうすけ結果どうだったー?」


「156センチになってた!」

順調に背は伸び続けている。来年にはほぼ平均身長になるだろう。


「もう私と身長変わらないもんねー!ちっちゃいこうすけかわいかったのにー」


「渚・・・人の気にしてたことを言うんじゃないよ」


「あれー?気にしてたのー?かわいーねー」

うるせえ・・・


「こうすけはいいなー身長伸びてて、聖奈全然伸びてないやー」


「何センチだった?」


「148センチー」


「聖奈はそのままの方がかわいいよ、渚もそう思うよな?」


「うん!かわいー!」


「ほんとー?ありがと!」


学校が終わると、帰りは今まで通り揃って帰った。

渚は美咲を見て少しテンションが高い。俺も美咲に会う時間が減るのは少し寂しかった。


その日は3人で渚の家にいき夕方まで過ごした。

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