第8話 ファースト
大人と子供では時間の感じ方が違うらしい。
60歳生きた人の1年は自分の人生の60分の1に過ぎないが、12歳の子供から見れば1年は人生の12分の1。
同じ時間でも子供は時間を長く感じ、年齢を重ねるごとに時間の感覚が短くなる。
ちなみに感覚的には20歳前後で人生の半分を迎えるのだとか。
じゃあ、27歳の男が12歳の子供に戻ったらどうなる?
2005年7月中旬
「夏休みだー!」
早く感じるようだ。
前の話は6月中旬だった気がするが、一瞬で1ヶ月たったらしい。
決して話が飛んだわけではない。
早く感じただけだ。
体は12歳でも中身は27歳の人間で、前世で過ごした記憶もしっかり残っている。
小学生最後の夏休みだしせっかくだから楽しまないと。
「遊びに行ってくるー!」
今日は美咲ちゃんと渚ちゃんと三人で遊ぶ行く日だ。
まあ、都会と違って、地方都市のベッドタウンだ、遊ぶと言っても公園や学校で遊ぶか、お互いの家に行くくらいしかない。
「お邪魔しまーす」
と言って渚ちゃんの家に入る。
三人で遊ぶときは大抵美咲ちゃんの家か渚ちゃんの家になる。
特に渚ちゃんの家は日中両親はいないので騒いでも怒られたりしないのがいい。
「はい、どうぞ、今日は何するー?」
渚ちゃんが冷たいお茶を持って部屋に戻ってくる。
「ゲームしよう!」
「いーよー、アリオパーティーにしよっか!」
美咲ちゃんも渚ちゃんも元々あまりゲームはしないようだったが、流石に小学6年生女子の遊びはわからない。
なので、渚ちゃんのお父さんの持っていたゲーム機を借りて遊ぶようになったのだ。
「普通にやっても面白くないから、負けたら罰ゲームね!」
渚ちゃんが提案してくる。
「オッケー、罰ゲームなんにする?」
「へっへっへ、一番勝った人のいうことを聞くってのはどーお?」
「えーやだー!」
美咲ちゃんが抗議するが渚ちゃんはゲームを開始する。
こういうのは勝てばいいんだ。流石に女の子には負けない。
・・・と思ったんだけどなあ。
勝ったのは渚ちゃんだった。
「2人に何してもらおっかなー?」
「優しいのにしてね〜」
「じゃあ、2人でチューしてね」
「「え・・・?」」
ナイスだ渚ちゃん!とは言えないので困惑したふりをする。
最初に協力するって言っていたのは嘘じゃなかったらしい。
「ほらほら、チュー!」
「美咲ちゃんはいや?」
「いや・・・じゃないけど、恥ずかしい」
しょうがない、ここは攻めるか。
「ほら美咲ちゃんチュッ」
小学生なので舌を入れたりはしない。
恥ずかしそうな美咲ちゃんが可愛い。
「ファーストキスだったのに〜!まあこうすけくんだし・・・」
あんまりいやそう顔でもないな。
結構好感度はあがってたみたいでよかった。
ギャルゲーしてる気分になるなあ。
もう一回戦して今度は勝てたので、2人にキスをさせたところで帰る時間になる。
美咲ちゃんの方が門限が早いので急いで帰った後、渚ちゃんに話しかけられる。
「私ともしてみるー?」
ニヤニヤしながら挑発してきたので、軽くキスをして帰る。
渚ちゃんの頬がちょっと赤くなってることには触れない。
「またねー!」
「またね!」色んな意味を込めて返す
帰って株価をチェックするとハイボウズ株は少しだけ値上がりしていた。
今日もいい日だった。
夏休みには家族で旅行にも行く。
仕事が忙しい父と高2で受験勉強に忙しい兄を残して、母と妹の三人でだ。
「ネズミー楽しみー!」
妹がいつも以上にウキウキしている。
元々母親がネズミーが好きで、小さい頃から毎年のように連れていかれていたので俺もネズミーは好きだ。
大学時代の彼女とも何度か行ったしな。
「ほら、離れないでね」
母が妹の手を握り空港を歩く。
「お兄ちゃんはシーとランドどっちが好き?」
ネズミーにはネズミーシーとネズミーランドの二つのテーマパークがある。
「んーシーの方かなー」
「えーランドの方が絶対楽しいよー!シーは乗り物少ないじゃん!」
こちらの意見を聞く気はなかったらしい。
旅行、楽しいのは楽しいんだけど、日課の株価のチェックができないのがどうもむず痒い。
早くスマートフォンが欲しい。
スマートフォンと言わないまでもネットも見れる携帯が欲しい。
塾があるため、携帯自体は持っているが電話とメールくらいしかできない。
スマートフォンといえばりんごのマークのあの会社。
確か携帯を出すのが2007年とかだったな。
そこからあの会社の快進撃が始まるから、なんとかしたいな。
「ほら、ぼーっとしてたら置いてくよー」
「はーい」
まあ先のことは後でいいか。
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りんごのマークの会社→アッ○ル
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