第2話 説得
「お母さん、株がやりたい!」
「なに?急にどうしたの?」
家に帰るなり母親に向かって投資をしたいことを伝えたが、当然の反応が帰ってきた。
「株式の投資がしたいんだよ、将来のために」
「株の取引ってあんたまだ小学生でしょう」
これまた当然の反応、これはちょっと頑張って説得するしかないか・・・
「小学生から株はやってた方がいいんだよ、株は経済の動きの勉強になるし絶対将来のためになるって!」
「自分の小遣いの範囲でやるから!」
「どう将来のためになるの?小遣いってったって失敗したら大変なことになるでしょ?」
「将来、年金とかもちゃんともらえるかどうかわからないし、大人になった時に経済の流れが分かってた方がいいでしょ?」
「株って今経済がどんな動きをしてるかとか、会社がどう利益を出してるかとか、ちゃんと調べないと行けないから勉強になるし」
「それにどんな失敗しても投資した分の小遣いがなくなるだけで、借金とかにはならないから!」
どうせまだ信用取引もできないしな
「んーでも小学生は取引できないでしょ?」
「株は年齢制限ないからできるよ」
「とりあえずお父さんに相談してみるから勉強でもしなさい」
「はーい」
ひとまずなんとかなりそうかな?両親とも優しいし基本やりたいって言ったことはなんでもさせてくれてたし
ひとまず勉強道具には触れずリビングにあるパソコンをつけて今後伸びそうな株を探してみる。
ほんとは最初はボラティリティー(価格変動の度合い、価格変動が大きいと損をするリスクも高いが儲けもしやすい)の大きいFxとかやりたいんだけど、あれは18歳にならないとできないしなあ
確かディーエヌベーとかは2005年上場だっけ?2000年あたりに転生してたらITバブルとか経験できたのに。
確か2006年の年初にかけて結構高騰した株が多かったはずだから、IT系中心にみるか。
柔らかそうな銀行の名前の会社やっす、まじかよ今投資すれば2021年には10倍どころじゃないぞ。
今資金があればなあ、てか今貯金してるお金確認しないと。小学生時代小遣いとかお年玉とかは全部使わずに部屋に置いてたはず。
自分の部屋に行って貯金を確認したところ40万円強あった。とりあえず高校卒業までにある程度増やしたい。
そうこうしてるうちに高校生の兄や友達と遊んでいた妹、父も帰ってきた。
「お父さん、浩介が株やりたいんだって」母が父に向けて話しかける。
「お父さんおかえり、株の取引したいんだけど、いいかな?小遣いの範囲でやるから」
「ふーん、お母さんがいいっていうならまあいいんじゃないか?」
そうだった、父は仕事ばかりで、無関心ではないがあまり家族のことに関与してこないんだった。
「私は株とかよくわからないし、ちょっと怖いんだけど」
「浩介は将来のためになるって言ってるけど」
「まあ、株やれば経済の勉強にもなるし、レバレッジ(証券会社にお金を借りて自己資金以上の投資をすること)かけないならそこまでリスクもないしなあ」
「とりあえずやらせてみたらどうだ?」
会社経営してる父はある程度知識もある。
「お父さんこう言ってるけど浩祐どうする?」
「やる!今から証券会社の口座開設してみるから!」
とパソコンを開こうとしたがご飯が先ととめられた。
晩御飯を食べ、一息ついたところで早速口座開設をする。未成年の場合親権者も口座開設が必要みたいなので父に頼んで開設してもらう。
「投資もいいけど学校の勉強も習い事もちゃんとしなさいよ?」母に念を押される。
資金を入れるために明日銀行行って銀行口座も開設しなきゃ
忙しくなるぞ!
次の日、早速銀行に行きたいところだが、悲しいことに小学生だ。学校に行かなくてはならない。
「おはよー」というと友達も挨拶を返してくれる。
人生2度目の小学校の授業・・・つまらん・・・
てかなんで小学生ってこんなに元気なんだ・・・
でも休み時間に久しぶりの鬼ごっことかやってみると意外に楽しい。
バブルの時代に丘を切り崩して新しくできた住宅地に立つこの学校では、周りの親の年収も一定以上で、年代も似たような世帯ばかりでいじめも聞いたことない恵まれた環境なんだと改めて思う。
今日の掃除の時間から早速放送委員会の仕事で、美咲ちゃんと二人で過ごす事になる。
卒業までになんとか付き合うまで行きたいな。
「委員会は楽でいいよね!暇だしお話ししよ!」
放送室について美咲ちゃんが話しかけてくる。
「いいよ!」「美咲ちゃんって好きな人とかいるの?」
いそぎすぎたかな?自慢じゃないが大学卒業して以来2年以上女の子と親しく話していない。
「えー秘密!」
恥ずかしそうに笑顔を向けてくる、かわいい。語彙力無くなりそうだ。
しかし秘密ってことはいるってことかな?
「えー教えてよー」
ここは畳み掛けてみるか
「じゃあこうすけくんは好きな人いるの?」
質問に質問で返してくるなよ・・・まあ定番の流れか。
「いるよー、でもまだ秘密!」
「え、誰々ー?気になるー!聞いてきたくせに秘密にするのずるい!」
どうすべきかな、小学生だし恋愛に慣れてない今なら押していけばいけるかな?
「じゃあ、ヒントだけね!スタイル良くて、髪が綺麗で笑顔が可愛い子!」
「誰だろー渚(なぎさ)ちゃん?」
渚ちゃんとは美咲ちゃんと仲が良くていつも一緒にいるこれまた可愛い子だ。
掃除の時間が終わるチャイムがなる。
「どうだろう、違うかな〜」
「もう戻らなきゃね!答えはまた次ね!」
「えー答え教えてよー」
教室に戻り、小学生時代仲の良かった友達と駄弁りながら下校する。
「ただいまー銀行連れてって!」母親に向けて言う。
「はいはい彩華がもうすぐ帰ってくるはずだから、帰ってきてからね」
彩華とは3歳下の妹の名前だ。
早く帰ってこないかなと思いつつ、パソコンを開き株価をチェックする。
証券会社の審査に1週間くらいかかるはずだから、それまでに良さそうな株を見つけなきゃ行けない。
「ただいまー」
妹が帰ってきた。
「じゃあ銀行行こうか」
まだ小学生の妹は家に一人にしてくわけには行かないので、妹も連れて銀行に行き無事口座開設できた。キャッシュカードはまだかかるが、口座自体はすぐに開けるから銀行は楽でいい。
楽しくなってきた!
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佐藤渚さとう なぎさ
黒髪ロングの美少女
美咲ちゃんと家が隣同士で、中の良い友達。
主人公や美咲ちゃんとは違うクラス
前世では中学受験をして主人公と同じ中高一貫校に行くが、小中高と同じクラスにならなかったこともあり、そこまで親しくはなかった。
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中村彩華なかむら あやか
主人公の3歳下の妹。小さい頃はよく遊んでいたが、最近は友達と遊ぶことの方が多い。
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