第8話 竜の約束

GM:一行は、都市国家ダイケホーンの酒場に移動します。

ルイナ:「さて、みんな無事に護衛完了したみたいだね。報酬だ、受け取りな」

GM:とまずは清算タイム。


【清算による獲得物】

獲得経験点:5840点+PCごとの1ゾロ回数×50点

名誉点:50点

成長:5回

報酬:一人当たり8933G


GM:成長ダイスどうぞー

ラーヴァ:ころころー。生命精神かその他か、ってのばかり出たなぁ

グラヴィア:ぺいっ。器用度or敏捷以外のと精神力オンリーのと。最後の精神以外全部器用度かな

ベアトリクス:(ダイスロール)…!?生命力or器用度、筋力or器用度、筋力or生命力3回…

ベアトリクス:え、笑う。ゴリラじゃん

GM:魔法系一個も伸びてないww

ベアトリクス:フェンサー伸ばしたろかな。



GM:さて、清算を終えると、ギルマスは自分の用事を済ませに行きまして不在。

GM:酒場にはPCたちと、人型形態のドラゴンと、マーシャ、テテが残されてます。

ドラゴン:「さて、改めて。よくぞ、この貴き御方を守り抜いてくれた。重ねて礼を言うぞ」

ラーヴァ:「お前さんと姫さんとの関係がよくわからんが、礼を言われるなら受け取っておこう」

ベアトリクス:微笑んどこ。

グラヴィア:酒のんどく。

ドラゴン:「我が名はグレイシア。マーシャ様の母上たる魔法王様より賜りし名だ」

ラーヴァ:「どらごんってのは長生きなんだなあ」

ドラゴン→グレイシア:「積もり積もった話はあるのだが…ひとまず置いておこう」

グレイシア:「我は、とある使命を担っている。その解決のためには、マーシャ様の御力が必要不可欠なのだ」

グレイシア:「故に、マーシャ様が目覚めるのを我は待っていた…マーシャ様と、そなたらの力も借りたい」

ラーヴァ:「乗り掛かった舟だからな、続けてくれ」

ベアトリクス:黙って聞いてます

グレイシア:「我が担う使命。かの魔法王より拝命せし宿命…それは――」

マーシャ:「魔王の、討伐。でしょう?」

GM:マーシャの言葉に、グレイシアは深くうなずきますね。

グレイシア:「ご存知であられましたか」

マーシャ:「知らなかった。でも、今視えたの。…私に、力を使えと言うのね」

GM:グレイシアは何も答えず、マーシャから少し目を背けてあなたたちに問いかけます。

グレイシア:「…そなたたちは、魔王という存在を知っているか?」

GM:見識判定の達成値12を得られたら知ってることにします。

ベアトリクス:おっけー。…出目10で18、成功。

GM:では、魔王とは何かについてベアトリクスは思い出します。

GM:ドレイクが「蛮王」と呼ばれるのと同様に、尋常ではない強さを誇るディアボロを、そう呼称することがある、と。

グレイシア:「我が討つべきその魔王は、厄介な力を有していてな。古の秘術により、魔神と契約を果たした奴は、恐るべき再生能力を得た。いかなる方法をもっても破壊できぬ、不死身の肉体を」

グレイシア:「故に奴を討つためには、その能力を奪わねばならぬ。彼奴の能力は、奴の真名が他者に知られぬ限り持続するのだが…」

グレイシア:「…永き時の流れによって、その真名を知るすべは失われた…ゆえに、マーシャ様の予知の力を用いた占術によって、それを賢星に問うよりほかないのだ」

ラーヴァ:「…?よくわからん。何したらいいんだ?」

グレイシア:「マーシャ様の占術には、時間がかかる。その間、マーシャ様は無防備だ。お前たちには、魔王の妨害を退け、真名を暴くまでの時間稼ぎを頼みたい」

ベアトリクス:「ふーん…」

グラヴィア:「たったの数人でそんなことができるとは思えないのねぇ」

グレイシア:「数は問題ない。儀式の場は狭く、大軍が来ようとも攻め入ることができる数は限っている。それに、幾らかもある」

グレイシア:「だが、彼奴の部下ともなれば、雑兵とて油断はならぬ相手」

グレイシア:少し真剣な目をして。「今一度、問う。マーシャ様のために、その命を投げ捨てる覚悟はあるか?」

ラーヴァ:「命を捨てる覚悟があるかって聞かれるほどの覚悟はないぞ」

ベアトリクス「え?…死ぬつもり、ないけど」

ラーヴァ:「仕事はするし、情のある相手は助けるがな」

グラヴィア:「そなのね」

グレイシア:すこし虚を突かれたようですが、「ははは、豪気だな。だが、面白い返事だ」

ラーヴァ:「なんか勘違いしてるみたいだが、別に儂らは部下でも何でもないからな」

グレイシア:「そうだな。我は人族というものを理解しておらぬようだ」

グレイシア:「では、追って作戦を説明しよう。今宵は休むがよい」

ラーヴァ:「まあいいだろう、疲れてるし休むことにするか」

ベアトリクス:「そうだね、一旦休もう」

GM:ということでこのシナリオはここまでになります。次回に続く。



GM:おまけマスターシーン。


 ダイケホーンの、とある宿屋の一室。

 皆が寝静まったあと、マーシャは一人、窓際に座って空を見上げていた。一年を通して雪の多いダイケホーンだが、この夜は雲一つない快晴で、月が白銀の光を地上に投げかけていた。月神の加護を街中に積もる雪が反射し、街は夜だというのに薄明かりに照らされている。

「良き月の夜ですが…窓際は冷えますゆえ、お体に差し障りましょう」

 ようやく聞き慣れてきた交易共通語の言葉とともに、背中に毛布が掛けられる。振り返ると、外の雪に似た透き通る白の髪をした、美しい女性が立っていた。

「…あなたも、体を冷やしてしまう」

『お気遣い感謝します。ですが、冷気は私には効きませぬゆえ』

 少し話し慣れていない言葉遣いを感じ取ったのか、グレイシアは魔法文明語にて答えた。魔法文明語は、マーシャにとっては母語で、彼女が最も話しやすい言語だ。しかし賢竜エルダードラゴンのその細やかな気遣いが、少し癪に障るのも事実だった。

 吐いたため息が窓に触れると、外気によってたちまち白く結露して窓を曇らせた。

「…彼らにはああ言いましたが…貴方様が望むならば、魔王を討つことを辞めても、私は構わないのです」

 グレイシアが、マーシャの隣に腰を下ろす。その体は本来の彼女の姿とは異なるはずだが、しかしながらその肌下に潜む肉は鍛え上げられており、どこか戦士然とした風格を宿していた。

「私が貴方の母上より仰せつかった使命は二つ…魔王の討伐と、貴方様の守護です。

 国を滅ぼし多くの者たちを弑した彼奴への憎しみは、八つ裂きにしようとも晴れることのない深いもの…されど、貴方様を喪うことに比べれば、取るに足らぬこと」

 竜の鱗を思わせる美しい光沢を帯びた手が、マーシャの小さな手を取る。

「それがもし貴方様が視えた予知とは異なる道を選ぼうとも…私が御供いたします。立ちはだかる障害は、すべて私が排除して見せましょう。

 ですから…どうか、貴方様の決断をお聞かせください」

 グレイシアの双眸が、マーシャをとらえる。その吸い込まれてしまうような深い夜色の瞳の中に、こちらを見つめる自分自身の姿が見えた。

 ――音という音が、外の雪に吸われて消えてしまったような気がした。部屋の中を満たす静寂と、一瞬とも永遠ともとれる時間の中で、マーシャは一度だけ目を閉じて、思考する。

「…今まで生きてきて、いったい、私はいくつ“選択”の場面に出会ってきたかしら。そしてその“選択”の時に、私が自分で選んだことが、いったい何度あったのかしら。

 もしかしたら、これが初めてかもしれないけれど」

 誰かに言われたでもない、グレイシアや他の誰かのためでもない。予知があるからでも、もちろんない。

「私は、私がそうしたいと願うから…そのために、魔王を倒すわ」

 静かな、しかし確かな…自分の言葉だ。

「…そうですか。ならばこのグレイシア、御供いたします」

 グレイシアはそう言って、さながら古代の魔法王に忠義を誓う守護騎士のように、お辞儀をした。

 二人の髪の放つ、金と銀の煌めきの美しさは、きっとそれを照らす月神だけが知っている。

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