第4話 冒険の終わり、新たな始まり

GM:では、遺跡から帰還後。あなたたちの所属する冒険者ギルド『酔いどれ狼亭ドランクウルフ』でのシーン。

GM:ギルドマスターであるルイナが、あなたたちやマーシャから話を聞いた直後です。

ルイナ:「…なるほどね、あんたらもまた、えらい物を遺跡から掘り出したもんだよ」

ラーヴァ:「運が良いやら、宝物でなかったのを落ち込むべきかわからんがな」

ベアトリクス:「ふふ、偉いものというか、偉い人だけどね」

ルイナ:「とりあえず情報をまとめよう。」とルイナが、彼女から聞き出した話をまとめてくれます。


【マーシャについて】

 マーシャは、魔法文明時代の貴族の姫君。強力な未来予知の力を持つことから、”時詠みの巫女”と呼ばれていた。

 現代でも未来予知の力を持つ者は別大陸にて確認されている。しかし彼らが視られる未来は長い物で一日以内のものだが、マーシャは週・月単位での、かなり正確な未来を予知することができる。

 しかし未来予知の能力はただでさえ生命力や精神力を消費して行うものである。その長大な予知範囲ゆえ、彼女が未来予知を使うと、彼女自身の寿命が短くなってしまうというデメリットが存在する。そのため、受動的に予知してしまう分には仕方ないが、能動的に使うことは彼女の親たる魔法王によって禁止されていた。

 彼女が成長したころ、彼女の力の存在を蛮族が知り、その力を狙われる。当時の魔法王やその配下には彼女を守り切れるだけの力がなかったため、彼女を蛮族の立ち入れない遺跡に閉じ込め、召異魔法によって時間の止まった状態で封印した。

 そしておよそ3000年が経過した現在、ミランダによって砂中から遺跡が発見。マーシャはPCたちによって封印を解かれ、助け出されたのだった。


グラヴィア:「ぐーちゃん、難しい話わかんなーい。皆に任せるのー」と言ってぐーちゃんは我関せずを通しておきます。

ラーヴァ:「トラブルの予感が満載だな!」

ルイナ:「そうだね、トラブルがありそうだ。そうでなくとも、これだけ別嬪だと変な虫がついたりもするかもしれないね」

ベアトリクス:「うん、よし、頑張ってね」とラーヴァの方を見て言いますね。

ラーヴァ:「ただ、まぁ…。死人の最後の願いを無碍にするわけにもいかんから、できるだけ普通の生活をさせてやってくれ」

ルイナ:「本人が望むなら、あと周囲が許すなら、だけどね」と肩をすくめて答えつつ。「ま、とりあえずしばらくはうちのギルドで預かっておこうかい」

ルイナ:「それからミランダ、この帝国の近くで妙な動きがないか調べておいてくれ。特に蛮族関連でね」

ミランダ「ええー…それ探し屋の仕事じゃなくないですかー…」とブーブー言いながら出ていきます。

ルイナ:「ミランダが戻るまで数日くらいはかかるだろう、その間にこの子に色々と現代のことを案内してあげな」とPCたちに向かって話します。

ラーヴァ:「そんなもんは儂には向いてない」と顔をしかめます。

ベアトリクス:「なら私がやろっか、言葉通じるし。」

ラーヴァ:「護衛がてらついていくから好きにしてくれ」

マーシャ:ちょっと戸惑いながら「ええと…よろしくね…?」

ベアトリクス:「ふふ…任せて」

GM:てな感じで、第一章は終了です。セッション終了につき、清算しますねー。


【清算による獲得物】

獲得経験点:3230点+PCごとの1ゾロ回数×50点

名誉点:10点

成長:3回

報酬:一人当たり6450G



GM:さて、第二章に入る前にマスターシーン(NPC同士の会話パート)挟みます。

GM:なお、卓中はひたすらGMの一人芝居ですけど、リプレイでは小説風にやらせてもらいます。また卓中では人物の容姿をぼかしましたが、こちらではそれも明らかにしつつ。


 これは、冒険者たちが遺跡の探索を行った数日後のこと。

「クソッ、先を越されたか」

 遺跡の最深部、封印の間と呼ばれていた部屋。そこに、二人の人影があった。

 一つは背の低い、二足歩行する犬のような姿をしたもの――コボルド。そしてもう一つは、その頭部から黒々とした角が伸び、背には人間には無い、竜に似た皮膜の翼がある。ナイトメアではなく、そしてリルドラケンでもない、上位蛮族と呼ばれる人族の仇敵・ドレイクの物だ。

「一族の古文書に記された、未来を掌握する力を封じた遺跡…侵入口を作り、劣化していた蛮族除けの結界を解除する方法も準備して、あとは内部を調査するだけだったが…」

「先に人族に見つかってしまうとは。しかも真似して人族除けの結界まで張ったのに、解除されて、中に置いた見張りもやられてましたね」

 忌々しげに舌打ちをするドレイクの男に、周囲を調べていたコボルドが応じる。

「しかし、得られた情報もありますよ。

 未来を掌握する力とやらは、どうやら人族のようですね。この部屋に入ってきた人型の足跡は三種類。ですが、足跡は四種類あります」

「一人分増えている、か…追跡はできそうか?」

 ドレイクの問いに、コボルドは少し思案したあと答える。

「遺跡の外は砂漠、一日も経てば足跡は消えてしまいますから…。

 とはいえ、人族の冒険者でしょう?付近の町に寄ってるはずですし、噂くらいは掴めるかもしれません」

 目を閉じて、数瞬思考に耽る。続いて目を開いたとき、ドレイクの意思は決まっていた。

「ここから一番近い人族の町は?」

「ラージャハ帝国ですね。国内には名誉人族の蛮族も多いですし、コボルドの私なら怪しまれずに潜入できるかと」

「よし、ならば諜報を頼む。遺跡に封じられていたよそ者となれば、同じ人族でも目立つはずだ」

「ご主人様はいかがなさいますか?」

「俺は、あの戦争屋に報告をしに戻る。…事が済めば、解読の続きをしておく」

「わかりました。…どうか、お気をつけて」

 主人の難題にも顔色ひとつ変えず、コボルドはうなずく。その目に浮かんでいるのは、自信や諦観ではない、確かな忠誠の色だ。

「俺は、あいつを倒して一族の仇を討つ。そのためなら、なんだってやってやる…」

 ドレイクは目を伏せて独り言ち、効力を失った魔法陣に背を向けた。コボルドも後に続き、封印の間には、永遠の静寂だけが残される。

 やがて砂の風が吹き、遺跡は現れた時と同じように、砂中に埋もれて静かに眠りにつくのだった。

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