十 二ノ死合い

-明転する舞台。

-沖田が富岡と書状を持った糸泉を対峙している。


富 岡「掃除郎!このご時世に決闘状とはな。ほんと時代遅れな奴らだぜ」

沖 田「富岡。お主もその一人だったはずじゃ。なぜ裏切った!?」

富 岡「決まってるだろ。殺し屋横丁なんて、先のない業界で燻ってることに嫌気が

   差しただけさ」

沖 田「貴様~」

糸 泉「ははは!その通りだね。先の無い業界には、とっとと消えてもらおうね!」


-書状を捨て、背後から富岡を殺そうとする糸泉。


沖 田「富岡!」

富 岡「うわっ!」


-間一髪で躱す富岡。


沖 田「大丈夫か?」

糸 泉「おやおや、裏切り者の心配かい?せっかくのお芝居が台無しじゃないのさ」

富 岡「どういうことだ!?」

沖 田「やはり、お主には見抜かれたか」

糸 泉「当然よ。意外な手を使ってきたから、ちょっと様子見したかったのさ。で

   も、それも必要なくなったわ」

富 岡「必要ないだと?」

沖 田「待て富岡。アルコール本田はどこじゃ?全員を呼びつけたはずじゃぞ」

富 岡「あれ?ここに向かうまでは確かに…」

糸 泉「あいつには別の仕事ができたんでね。今頃着いた頃かもしれないね。

   んのところにさ!」

富 岡「てめぇ!何で?!」

沖 田「富岡!お前は急いで戻れ!」

富 岡「はい!」

糸 泉「行かせるか!」


-糸泉の合図で、仮面をつけたザンが現れ、マッスル富丘の行く手を阻む。


富 岡「ザン・リー!お前は、確かに殺したはず…」

糸 泉「こいつはもうザン・リーじゃないよ。傀儡子であるあたしの武器さ」

富 岡「傀儡子?」

沖 田「お主が目にするのは初めてじゃったな。しかしまさか、仲間だったザン・リ

   ーの死体を使うとはの」

糸 泉「仲間だったからさ。結果のためなら死すらも活かせ。あんたもそう言ってた

   じゃないか」

沖 田「それは、わしの師匠の言葉じゃ」

糸 泉「…」

沖 田「富岡。ここは二人がかりで行くぞ」

富 岡「はい!」


-沖田・富岡 対 ザン。

-しかし、沖田の様子がおかしく、うまく連携ができない。


富 岡「ちょっと、掃除郎さん。何やってんですか!?」

沖 田「いやほら、あそこにゴミがあるじゃろ。わしはあのゴミが気になって、どう

   にもこうにも戦いに集中できんのじゃあ」


-糸泉が捨てた書状を指す沖田。


富 岡「掃除郎さん。その潔癖症何とかなんないですか?」

糸 泉「まったく。こんな手に引っかかるなんて、伝説の殺し屋が聞いて呆れるね」

富 岡「思いっきり利用されてますよ!」

沖 田「富岡。すまんがまずは、あのゴミに集中させてくれ」

富 岡「しょうがないですね」


-連携した動きでなんとかゴミを捨てることに成功する沖田。


糸 泉「くそ!」

沖 田「こうなればこっちのものじゃ」


-見違える動きでザンの動きを封じる沖田。


沖 田「ここは任せろ!行け」

富 岡「はい!」


-その隙に鈴木の元へ急ぐ舞台をハケる富岡。


糸 泉「まぁいいわ。時間は稼げたし。後は、あんたを殺すだけよ」

沖 田「…忘れることはできんか?」

糸 泉「当たり前よ!殺し屋横丁は…、いやあんたは、恩人であり師匠だったあたし

   のパパを殺したんだ!」

沖 田「前も話したじゃろ。あれは罠だったんじゃ」

糸 泉「自分も被害者だとでも言いたいの?ふざけないでよ。パパを殺したのはあん

   たよ。だからあたしは、あんたを殺す」

沖 田「…もし、わしを殺す者がいるとすれば、それはお前さんじゃろうと思ってお

   った。だが、今は殺しの途中じゃ。簡単に命を取れると思うでないぞ!」

掃&糸『はあああああああああ!!!!!!』


-ぶつかりあう両者。

-暗転する舞台。

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