佐々木幸とテスト勉強

 テスト期間中、図書室は混雑して席が取れなかったので、空き教室であたしと美奈子は試験勉強をしている。


 机につっぷして「あ〜もう手疲れた〜」と文句をはいた。

 あたしは正直言って、テスト勉強がするのが苦手で、机でじっとしているのがなかなか出来ないのだ。


「はぁ、まだ10分も経ってないわよ。あなたが

勉強教えて欲しいって頼んできたのだから、しっかりしなさい」

 

 なんだか、美奈子って、決めた事や約束事はしっかり守るし、勉強やスポーツも妥協しないから

熱心な教育ママみたいな所あるんだよね。


 席をくっつけて、あたしの正面にいる美奈子は数学の問題集を解きながら、あたしの勉強(理系中心)を見てくれてる。


「うぅ、そうだよね。あたし頑張るよ」


「そう、なら再開するわね」


 元々一人だと勉強できないから美奈子に頼んだのに。気を取り直して頑張ろう。


***


「美奈子って、凄いな勉強も出来て、運動も出来てるなんて」


 美奈子とはAB合同のバレー授業の時はバシバシサーブを決めるし、クラスでも「桜井さんって頭良いよね」と噂になる。


 美奈子は問題集を解きながら「日々の積み重よ。大したことではないわ」と簡潔に答えた。


「そうだよね、はは」 

 

 空笑いとシャーペンがはしる音だけがこだまる。


 美奈子はきっと小さいから勉強や運動を怠らず

コツコツと努力をしてきたのだろう。だからそれが

当たり前になっている。


 なんだか、ちょっと差を感じてしまう自分が嫌になる。あたしは美奈子程勉強はしてないのだから

差があるのは仕方ないのに。


「すぐに勉強が出来るようにはなれないけど、、

私に勉強教わりに来てるのだから、佐々木さんも少しは勉強ができるようになるはずよ」


 美奈子が不器用ながらも優しく微笑む。落ち込むあたしを励まそうしてるのがなんだか嬉しくなった。


「それに勉強で努力を学んだ方がいいわよ。矢島くんにみたいに将来性根が腐るから」


「それは言い過ぎかもだよ美奈子。さっきの良いこと言ってたのに台無し〜。というか美奈子ってやじまーに対して結構言うよね。いつも口喧嘩してない?」


「売り言葉に買い言葉よ。それに仮にひどい事言っても気にしないでしょ、彼」

 

 二人のやり取り見てると仲が良いのか悪いのか

わかんない事がある。でも美奈子もやじまーを信頼してるから言えてるのかも。

 

 どっちも意地っ張りだなと思うと少しおかしくて

笑みが溢れた。





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