第87話 いつでもどこでも参上

「はい、参上しましたよ」


男がニッコリと笑う。


「なんだおっさん!やるってか?」


しかし、男はジルを無視して少女に尋ねる」


「ジルさんはどこです?」


すると少女は首を横に振る。


「いません」


少女がそう言うとジルが怒鳴る。


「俺がジルだ!」


「……そうなのですか?」


「その人は偽物です」


少女が言う。


「ああん?」


「だって貴方は、私のこと知らないでしょ?」


「なにを言っているんだ?」


「私はジルのことを知っている。

 ジルは貴方のようなことをしない」


「……?」


ジルは首を傾げる。

ジルは目を閉じて考える。

なにかを思い出せる。

そんな気がしたから。


でも、それは間違いだった。


顎に強い打撃を受けたからだ。


ジルはそのまま意識を失った。


「はい!先生!

 倒しましたよ」


「源さんって呼んでくれないんですね」


「えー。あれは台本だったから……」


「名演技でしたよ」


「えへへへへー」


少女が照れ笑いを浮かべた。

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