第10話
さて、ついにこの日を迎えた。多くの貴族を巻き込んだ、社交パーティーだ。さっきからユリの周りには変わるがわる色々な貴族男が群がって、ユリの体を見ては下品にニヤニヤしている。どうやらユリも満更ではなさそうだ。群がっていた人達が離れたところで私はユリに近づき、言葉をかける。
「大人気ね」
「あら、お姉さまもそんな地味な格好ではなく、派手な服を着さえすれば大人気間違いなしでしてよ」
と、彼女は誇らしげに自身の胸を見せつけてくる。その余裕がいつまで持つのか楽しみでならない。
「では、私は準備がございますので」
ユリがそう言い、背を向けた時だった。すかさず私は懐に隠し持っていた発情の宝札を取り出し、彼女の背中めがけて放り投げた。宝札は一瞬にして光となり、彼女の体に溶け込んだようだ。よし、準備は整った。
リュウゲンの話では、効果の発現時間はこちらでコントロールできるらしい。私は最適な時間が訪れるのを待った。
そしてパーティーが始まり数時間後、その時は訪れた。集まった皆の前で、ユリが挨拶する時が来たのだ。これを使わない手はない。ここに大勢いる彼女のファンに、彼女の新たな一面を拝ませてやろうではないか。
彼女が壇上に立ち、第一声をあげようとした時、私は宝札の効力を発動させた。
「っ!?、み、皆さま、ほ、ほんじつは、ま、まことにひゃうっ/////」
やや会場がざわつき始める。私はというと、笑いを堪えるのが精一杯だった。想像以上だ。まさかここまでの効力があろうとは。
「ほ、本日は、特別な日ですわ…ですのにょにゃうっ/////」
ユリは太ももをがぐがくと振るわせ、見るに絶頂寸前だ。あの状態で耐えられるとは、流石の精神力といって良い。
…自分でも性格の悪い事をやっているのは承知の上なのだけれど、正直これは楽しくて仕方がない。
ユリはいよいよ限界なのか、股を右手で覆い、全身がビクビクと震えていて、頬もピンクに染まっている。…っていうか、あの子ってあんなに可愛かったっけ?
そんな彼女を見ている多くの男性貴族もまた、S心を刺激されて興奮している様子だ。このまま放っておけば彼女の望み通り、乱交パーティーが幕を開ける事だろう。
私はそんなものに興味はないので、そそくさと会場を後にし、自室に戻ることにした。帰る途中の廊下で、会場の方からユリの悲鳴と喘ぎ声っぽい音が聞こえた気がしたけれど、私は振り返らず進んだ。
自室に戻った私は、これまでにないくらいに清々しい思いだった。あのユリにあれほど屈辱的な思いをさせてやれたのだ。悪い気がするはずもない。今度きちんと、リュウゲンにお礼の品でも贈らないと。私は完全に、勝利者気分だった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます