第7話
「まあとりあえず、また何かあったらきてきて!」
「ええ。来れたら来る」
宝札の効力はともかく、もうこの男には会いたくたいないというのが正直なところだ。今回は胸だったけど、一体次は何をされるか…本当に残念なイケメンだ。
私は花摘みの宝札を握りしめ、不気味な屋敷を後にした。これから、作戦会議をしなければ。
屋敷に戻り、私はすぐに自室にメリアを呼び出した。彼女には色々と確認しておきたいこともある。そもそもリュウゲンを紹介してきたのも、メリアだし。
そんな事を考えていると、扉がノックされる。私は返事をして、扉の前の客人を部屋の中へ招き入れた。
「ミラ様、ご苦労様です」
「全くもう…」
彼女は少し笑っているようだ。…楽しんでいるな?この女。私は早速、疑問をメリアに投げる。
「ねえメリア、リュウゲンって一体なんなの?どういう知り合い?」
メリアは一旦呼吸を整え、説明を始めた。
「はい。リュウゲンとは古い知り合いで、よく助けてもらっておりました。私が貧しかった時も、積極的に力になってくれましたわ」
…リュウゲンはいまいち信用できないけれど、メリアが言うんだからそうなんだろう。
「でもひどくない??私いきなり胸触られたんだけど…」
「ああ…」
メリアはやっぱりな、と言った表情を浮かべる。そしてすこし明る気に、言葉を返した。
「まあまあ、胸の一つや二つ関係ないですって」
「は?」
おっとすごいこと言い始めたよこの人。もしかしてリュウゲンと波長が合うタイプか?メリアは。
「正直で、可愛らしいじゃありませんか。関係を強要してくるのではなく、ただただ触ってみたいだけって」
メリアは笑いながら話していて、はたからみればもはやバカ親のようだ。正直私は男性経験が疎いから分からないんだけど、あれが普通…なの?
「彼をご紹介したのはもちろん、彼の持つ力がミラ様のお役に立つと思ったからですわ」
…確かにリュウゲンがどれだけ変態であろうとも、あの力は間違いなく強力だ。…効力は地味すぎるけど。
「それだけではありませんわ。私には、お二人がお似合いのように思えますの」
「え??え??」
メリアはなんと言った今?お似合いといった?私と?あの変態が?
「いやいやいやいやいやいやいや、」
「??」
「ないでしょ!ありえないでしょ!」
そもそも私、夫がいるし!
「ですが私には、お二人が愛し合っておられるようには見えないのですが…」
「…」
図星をつかれる。確かに、私たちの間に愛情は一切ない。ユージも私なんて別に好きじゃないだろうし、私も全く好きではない。でもだからといっても…
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