サルビア 家族愛

めい様が風邪をひいてしまった。最近は暑い日だったり寒い日だったりと気候が安定してなかったのと何かの資格の勉強で根を詰めてたので疲れが一気に出てきた感じの風邪なので多分心配いらない。念のため医者に診てもらっても特に問題なく薬をしっかり飲んで安静にしていれば治るような風邪だそう。

こういう時こそ私の仕事です。いつもめい様がやってしまう仕事もいっぱいできる。

初めに服を畳む仕事。これは最初の方は手伝うという名目で、今は暇つぶしという名目でめい様に取られてしまった仕事の一つ。

慣れてない所為で時間がかかってしまった。めい様は車椅子に座っている時でもスカートの中が見えないように丈の長いスカートをはいているので低身長の私は背伸びをしてないと地面に洗濯物を引きずってしまう。なので頑張って背伸びをしながら物干しまで運びます。家用の短いスカートがかかってる衣文かけを運ぶときが一番気楽だった。

洗濯物はベランダの隣にある部屋で畳む。この部屋は庭側の壁がガラスになっていて色とりどりの花が咲いている庭を見ることが出来るようになってる。ただ外から見ると鏡に見えるというマジックミラーを使っているので外から見られる心配はない。洗濯物を畳んでいると当然めい様の服がでてくる。むしろここはめい様用の洗濯機だからめい様の服以外出てこない。

初めの方は無意識で畳めてた。ただめい様の服だと意識した途端になにか悪いことをしている気分になってる来てしまって最後の方きつかった。使命感と自分の良心が大喧嘩してた。

洗濯物に苦戦して畳み終わったのは11時半過ぎ。そろそろお昼の準備を始めようか。

休まずに厨房に歩いていく。洗濯物を片付けるのは大変だったけど体力は使ってないからまだいける。歩きながら今日の昼食について考える。朝は消化がよさそうなお粥を作って食べてもらった。けしてお粥が美味しくない訳じゃないけど一日二食もお粥なんて食べたくはないです。それにめい様に飽きられないためにも美味しくて、レパートリーのある料理を作らないとです。

厨房の冷蔵庫の中を確認すると冷凍うどんがあった。これ使えば煮込みうどん作れそう。

「鈴花、どうした。」突然話しかけられたので飛び跳ねてしまった。声のした方を見るとめい様のお父さんがいた。この人が優しい事はイチゴを一杯買ってきてくれたから知ってるけどそんなことがちっぽけに見えるぐらい威厳がある。声は落ち着いていてそれでいて力強い、動きも自然に動いているように見えて最良の行動をしてる。そんな感じに威厳がある。なのでこの人の質問にはいつも以上に丁寧に答えるしかない。

「はい、きゅ…今日、めい様が風邪をひいてしまったのでなにか消化のいいものを作ろうと考えていあたところです。」緊張の所為で出だしから嚙んでしまった。

「そうか。何を作るのかはもう決まったのか?」これを表情を変えずにいうからこの人は怖い。怒っているのかどういう感情なのかが分かんない。怒っているなら謝れるしなにか不愉快なことがあるならそれを直せばいいけど分からないは本当に怖い。

「煮込みうどんを作ろうと思ってます。」「私も手伝おう。いつもめいの事を君に任せてたからな。めいにも寂しい思いをさせたし君にも不便をかけてる。こういう時ぐらい手伝わせてくれ。」

「私は不便じゃないです。むしろめい様に会うことが出来たのでこの仕事には感謝しかないです。」思わず即答してしまった。その時お父さんが笑った気がしたのは気のせいだろうか。

色々なネットにのっているレシピを参考にして作った。そしてお父さんにも料理を手伝ってもらった。とても手早いと思いきやしっかり野菜がつながっていた。それでも私一人で作るより早かった。

時計は12時半になったばかりだった。今日だけでお父さんの苦手意識がほぼなくなくった。まだほんの少しだけ残ってるけどもう気にしなくていいくらい。


めい様に煮込みうどんを持っていく、お父さんと一緒に。

「めい様、入ります。」「はーい。ご飯を持ってきてくれたの?」まだけだるさの残る声で話してたのがお父さんを見たとたんに固まってしまった。

「おう。いつも構ってやれなくてすまんな。」今度は私が固まってしまった。家族の会話、私が入れない話。

「まあ、いいや。細かい話は後にして今はご飯を食べたい。鈴ちゃんお昼は何ですか?」


「私とお父さんの自信作、鍋焼きうどんです。」「ん?お父さんと一緒に作ってくれたの?」「はい。なので美味しい自信があります」

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