お弁当の話

明日は私の可愛い妹が遠足だ。妹が今通っている私の母校でもあるその中学では新しいクラスになってからもうすぐ二ヶ月ちうこのタイミングで遠足に行く。

場所は美術館が併設された公園。県内だから日帰りで行って帰ってこれる。ただ流石にお昼は必要だからお弁当が必要。そしてそのお弁当を作るのはこの私。世の諸君、うらやましかろう。最高に可愛い女の子のためにお弁当を作るという仕事は私のものだ。テンションを上げて準備を始める。最近は暑いから傷みにくいものを考えおかずを選んでいく。


今日は僕の遠足の日。今日のお弁当は最高で天使のように可愛い姉に作ってもらった。何が入っているのか楽しみに来ているので今日の僕の最大の目標はこのお弁当だといっても過言じゃい。むしろそれしか考えてない。お弁当って中身がわからないからかいつものご飯よりワクワクする。まだ出発したばかりなのでご飯の時間はあと四時間ぐらい先。今日も一日お弁当の為に頑張るぞー。


時計を見ると私の可愛い妹はご飯の時間ぐらいになっていた。今、私はよく分からない英語の確認テスト中。…これコミュ英だったけ?英語表現だっけ?まあそんなこと、可愛い妹が私の作ったお弁当で満足してくれることに比べたら何でもないことか。


ようやく待ちに待ったお弁当の時間。一応この後の時間を確認して可能な限り、ゆっくり味わって食べる。予定表をだして確認をする。今まではクラス単位で行動で植物園を軽く見て回ったけどこれからは事前に組んだ班での行動。まあ仲のいい人と班を組めたから気が楽だ。これで話したことない人とかだったら気まずくてご飯が美味しくなくなるところだった。まあ予定の確認はこのくらいにしてお弁当を開ける。


私は今日早く起きた。当然私の可愛い妹のお弁当を作るため。今回は年に何回あるか分からないぐらい貴重な天使な妹がお弁当の日だから。ついでだから私の分もなんか豪華になってる。友達と一緒にご飯を食べるために席を移動する。

「よ。ご飯今日も教室で食べる?」軽く声をかけてきたのが私の唯一にして最高の親友、気仙沼けせんぬま里穂。珍しい気がする名字に180cmという高身長。モデル体型。顔はかっこいい。まあ、どんなんでも私が浮気することはないけど。まあ私のことは置いておいて話を戻すとこいつはモテていた。過去形なのは私がこいつと一緒にご飯を食べてる理由と共通点があるから。

それは好きだけどいつまでも手を出せない人がいること。私の場合は天使な妹だしこいつの場合は近所のお姉さんだったかな。そんな感じでどんな感じでアピールしたらどうだったとかをよく話す。それも教室で。だからクラスが一緒のクラスになってから一週間もすればもう誰も告白してこなくなったらしい。まあ私達の身の上話はここまでにしてお弁当を広げる。


僕はお弁当を広げて感動した。まず色とりどりお弁当の中。サイズは一般的な一段のお弁当。お弁当の三分の一ぐらいにご飯。これもただの白米じゃなくて桜でんぷんのピンク色でハートが作ってあった。周りに錦糸卵の黄色でピンク色が映えてる。ご飯だけでなくおかずも定番の玉子焼き。薄い飴色の味玉、しかもよく見ると少し色が違う。…卵ばかりかと思ったらコロッケ、水分のない野菜炒め。ちゃんと栄養も偏らないようになってる。ご飯の方は可愛くて崩したくないから後で食べる事にしておかずから食べる。初めに玉子焼きを食べる。この卵焼き平らな所を斜めに切って向きを逆にしてハート型になってる。このお弁当ハートだらけで新婚さんみたいで楽しいな。この細かい気づかいに興奮しながらハートの上の方を口に運ぶ。中にそぼろが入っていてほろほろ崩れる。断面とかから見えてたけどやっぱり味わってみると感動する。もう一つの方は何か緑色の物が見える。これは楽しみにして次はコロッケを食べる。確かさっき広げたときに袋の醬油を見付けたからこれにかけよう。


コロッケは私が作った今回のお弁当の中で自信作。それを気仙沼に自慢しつつ食べる。味見はしてるけどそれは出来立ての時、冷めてからどうなるとかはまだわかんないから心配。…そんな心配はいらないかったらしい。出来立てのホクホクはなくなってたけどその分ジャガイモの甘さをはっきり感じられるようになった。次は何を食べようか。このお弁当の中で私が一番楽しみにしてた味玉にしようか。


僕は次に味玉を食べる。箸でつまむとぐにっと形を変えることから半熟であることが伺える。二種類の味玉の中薄い方から食べる。一口目は小さく上の方を食べる。この時黄身がこぼれてしまうのは予想済み。だから卵焼きの残りの上で食べる。一口食べると醬油の味と濃厚な卵の味がする。これはご飯と会う味がする。…ご飯を、ハートの桜でんぷんを崩すか。取り敢えず、間をとってハートに形に関係ないところからちょっとずつとって食べる。濃厚な卵かけご飯を食べてる気分。気づいたらもう一つ食べ終わってた。次の色の濃い方を食べる。これもさっきのやつと同じでぐにっと形が変わる。口に運ぶとこっちはみそ仕立てだった。醬油味のは卵かけごはんって感じだったけどこれは何とも言えない美味しさがある。普段食べない味なんだけど懐かしい様な感じ。さて残りはご飯と玉子焼き、野菜炒めだけ。ご飯はまだハートを崩す覚悟が出来ない。だからおかずを先に食べ終えてしまう。緑色のものが入った玉子焼きはネギが入っていた。しかもこのネギ醬油に漬かってっていたらしくネギの美味しさと卵の旨味が別々の美味しさを作っている。最後に残ったおかず、野菜炒め。これは私の好きな料理。だから私の期待度合が他のおかずたちより高い。一口食べると…文句のつけようのないほどの美味しさだった。他のに文句をつけられるのかと言ったらつけられないほどだったけどこれは別格。味付けは醬油と七味唐辛子。野菜はキャベツ、薄切りの人参、コーン。それと薄切りの豚肉。コーンと人参の甘さに七味のアクセント。キャベツはしなっとしてはいるけどちゃんとキャベツの味がする。辛くてしっかり味のついたお肉が不味いわけがない。


今は私は昼休みが終わって5時間目。寝ている頭で可愛い妹の事を思い出す。お弁当は美味しく食べてくれたかな。可愛い妹のこと考えてると頬が緩んできた。

「東大、もうお前に関しては起こすのは諦めた。ただ寝るんだったら周りの人に迷惑にならないように笑いながら寝るな。」先生がなんか言ってる。…まあいいか。


お弁当を食べ終わって余韻に浸りながら班行動してたらいつの間にかバスの中。帰ったらいつも以上にしっかりお礼を言おう。


~後書き・次回予告~

今回の話は色々ボリュームが大きかった話かと思いますがここまでお付き合いいただいた方、ありがとうございます。次の~の話シリーズは四人でパーティー回です。

最後になりますが最良を尽くしますので今後も読んでいただけると幸いです。

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