第2話 アスール クラロ町とヴィオラ町 ブチウサギのお母さん

 ヴィオラ町からの分離によって新しく出来たばかりのアスール クラロ町。

大きな川があり、川の街とも呼ばれている。

元々住んでいる人にとっては、住所と新しい町長になったくらいで、生活が変わったわけではない。

この町で暮らす「ブチウサギ」という種族は、白い短毛種で目の所に黒い大きなブチがある種族であり、あまりこの国に居ない種族である。

そんなブチウサギの獣人女性、オータムは妹と娘の三人暮らしである。

仕事はヴィオラ町の海辺の広場で、フルーツジュースなどの売店で働いている。

彼女の妹は水泳選手として活動しているが、無名の選手で、それだけでは生活が出来ない為、プールの監視員などのバイトでしのいでいる。

娘は小学校四年生である。

彼女は、いつも妹や娘に美味しいジュースを作って振舞っている。

オータムは姉、または母として生活しているが、はたから見れば特に何もない様に見え、それこそ平凡で幸せな生活しているが、本人からしてみればその平穏な生活こそ、つまらない世界だった。

妹は昔から水泳で成績を収め、色んな人から誉められていた。

自分もそれなりに頑張って来たのだが、それでも妹のようにはいかなかった。

妹にはその気持ちを隠し、「おめでとう」と「すごいね」とだけ言い続けた。

そんな妹に対して、応援しながらも羨ましさと憎らしさが心の奥に潜んでいる。

妹は未婚ではあるが、結婚に関しても考えていないらしい。

自分は結婚し子供も生まれたが離婚に至った。

売店で働いていても収入が良いわけではない。

妹のバイトの収入と合わせて生活している。

家族三人、生活はギリギリだ。

オータムは現状に不満ばかりで、いつもため息ばかりついている。




今日も売店で店番していると、妹と娘がやってきた。

「姉さん、ジュースくれる?」

「良いよ、何にする?」

妹はミックスジュース、娘はリンゴジュースを選んだ。

「分かった、ちょっと待っててね」

オータムは果物を手に取り、ジュースを作る作業を始めた。

店がある海辺の広場はヴィオラ町の端にある。

目と鼻の先は、海の街と言われるアズーロ町である。

この場所は海が近く、波の音が少しだけだが聞こえてくる。

アズーロ町は民家や店は少なく、代わりに海水浴場と砂浜がある。

海水浴シーズンは店も繁盛するが、今はそのシーズンではない。

シーズンではなくても、散歩や遊びに来る人はいるが、人は疎らである。

オータムは、遠くに聞こえる波の音を聞きながらジュースを作り、どこか旅行にでも行きたい、と考えていた。

しかし現状、旅行に行くとなると、お金や時間が必要になってくる。

娘や妹の問題も出てくる。

宝くじやらなにやら当たったりすれば、どうにかなるかもしれないが、そんな上手くはいかない。

ジュースが出来ると、妹と娘に手渡した。

「そういえば、南国をイメージにした所が出来るらしいけど、私、出来たらそこで働こうかな」

妹がそう口にしだした。

「そんなに職を転々として、大丈夫なの?」

「なによ、ほとんど私のお金で暮らしてるくせに口出ししないでよ。それに、そこが給料高いらしいの。だから良いと思ったのよ」

そう言われると、何も言う事が出来ない。

確かにそこは間違っていない。

生活はギリギリだ。

妹の稼ぎは自分達にも影響が出る。

口を出す事が出来ないのは分かっているが、姉として心配してしまうのだ。

その辺は妹には理解してほしいが。




 家に帰るとポストにチラシが入っていた。

キャンペーンという言葉が大きく書かれている、今なら旅行が安い!と書いてあり、その言葉に目が反応するが、値段を見ればどこが安いのだろう?と思うような値段だった。

旅行に行く人から見れば、確かに安いのかもしれないが、オータムからすれば、どこが安くて何がお得なの?といった感じだった。

妹と娘と暮らすこのアパートは、ボロアパートである。

このアパートに住んでいる以上、旅行なんて夢のまた夢だ。

部屋に入っても家事をする気にはなれず、オータムはリビングで横になった。

何もしないと妹の事ばかり考えてしまう。

無名といっても水泳選手で、水泳が得意である事を仕事に生かしている。

一方、自分は何もとりえもなく、結婚はしても離婚という結果になり、娘一人まともに育てられていない気がする。

その結果が娘の態度で良く分かる。

娘は妹に懐いていて、「オーレリアさん」と呼び妹の周りをウロチョロしている。

昔からそうだ。今日もジュースを受け取り二人で美味しそうに飲んでいた。

飲み終われば二人はまた、どこかへ行った。

多分、スポーツセンターのプールなどにいるのだろうが…。

しばらくして娘は帰ってきたが妹は一緒ではなかった、妹は今日、夕方からバイトと言っていた為、夜遅くに帰ってくるだろう。

一人の時間は唯一、心が休まる反面、寂しくも感じた。




翌日

オータムが店にいると、「マロンイヌ」という種族の獣人女性が声をかけてきた。

種族名同様、栗色の毛が特徴であるが、顔はハチワレで、耳から目元は栗色、ハチワレ特有の顔の毛は目の下から八の字になっており、鼻と口元の毛は薄いベージュ色である。

「こんにちは、ジュースが欲しいのだけど」

「こんにちは、何にします?」

「えーっと、あっ、バナナでお願いします」

「バナナね。それにしても、今日もパン屋に行ってきたの?良い匂いだわ」

「えぇ、そうなの、息子がこの近くのパン屋さんのパンが好きだから、つい買いに来ちゃうのよ」

「なるほどね」

オータムがバナナを手にし、ジュースを作り始める。

二人は同じアパートに住む者同士だ。

初めは知らなかったが、よく会うたびに同じアパートの隣同士である事に気付いた。

マロンイヌの獣人女性は、「オリヴィア」という名で夫を亡くし、息子と二人で暮らしている。

息子はまだ幼いようで、保育園に預け、その間に働いているらしい。

職場はオータムの店のある海辺周辺で、ここから近い所にある個人経営の雑貨屋さんらしく、毎週決まった日が休みなようで、お休みの日はのんびりサイクリングがてら、海辺に来てそのままパン屋へ行き、この店に立ち寄ってくれる。

今日もそのサイクリング中らしい。

出来上がったジュースを渡すと、女性から料金を受け取った。

「今日も自転車、ここに停めといても良いかしら?」

「大丈夫よ」

「じゃあ、このベンチと店の隙間に置かせてもらうわね」

「どうぞ」

オリヴィアは、言った通りの場所に自転車を止め、子供を自転車から降ろし、ベンチへ座らせた。パンの入っている紙袋も取り出し、彼女もベンチに座った。

子供にジュースを差し出し、子供は受け取って、早速飲み始めた。

一息ついた女性は「オータムさん」と話し始めた。

オータムは呼ばれた方へ行き「どうしたの?」と声をかけた。

「あなた、仕事どう?」

「そうね、上手く行く時もあれば、上手く行かない時もあって、大変ね」

「そう、実は私も今、結構大変で、今が息抜き時間なのよ、子供もいるし、一人は何かと大変ね」

「そうね」

お互い、離婚や死別で夫がいない為、生活が苦しいのはお互い様だった。

「そういえば、なんかこの広場でお祭りみたいな事を開催するのね」

「えぇ、うちも出店するのよ、稼がなくっちゃ!」

「お知らせ見たら、結構、手作りの店とかも出せるのね」

「そうよ、ハンドメイド作品とか、家にあるいらない物を売ったりする「フリーマーケット」なんかもあるわよ」

「参加って、誰でもOKで、あの、まだ募集しているのかしら?」

「それならまだ、大丈夫だったはずよ。あっ、でも、もう少しで募集期間終わっちゃうから、なにかあるなら早めにね」

「そう、それなら私もちょっと、お店を出したいんだけど、実はハンドメイドで色々と作ってて、それがどんな評価を得られるのか分からないから、大きな店にはしたくないんだけど…」

「それなら、どんな物かによるけど、私の店を手伝ってくれない?あの、店の横に、そのハンドメイド作品を置くってのはどう?」

「それなら大丈夫だと思う。作ってるのはコースターや小さい人形なの。数も多く作れないし、それで、あの、気になってはいたんだけど、店を出すほどの勇気が無くって…」

「それならじゃあ、二人で出店しましょう。私はいつも通り、このジュースを販売するから、あなたは、自分のハンドメイド作品を隣に置いて、欲しい人に売れば良いわ。それなら沢山作れなくても大丈夫だし、何より良い客寄せになるわ!最近そういう店が増えてるから、私もなんか売り上げを上げる為に何か工夫しなきゃと思っていたの。あなたとこういう話が出来て良かった」

「私も!作るのは良いけど、楽しくって、つい作りすぎて家に沢山あって、私の作った物でも売れるなら売りたいと思ってたのよ。丁度良かった」

「あっ、その日は仕事大丈夫なの?」

「大丈夫、休みなの」

「そう、うちは娘にも手伝わせるつもりなんだけど、あなたは息子さんどうするの?」

「連れてきても良いかしら?」

「私は大丈夫よ」

「よかった」

「結構、子連れで店を出す人多いのよ。だから心配しないで」

「ありがとう、何もかも助かります」

「良いのよ、お互い様だから」

オリヴィアは話をしていた時より、朗らかな顔をしていた。

それを見ていたオータム自身も、なんだか話が出来て良かったと思えた。

同じアパートに住み、隣同士とはいえ、挨拶や店で会った所で、世間話程度は話していたが、ここまで話をするのは初めてだった。

お互い、どこか遠慮していたのかもしれないが、心の奥底では、どこか寂しく、こういった話が出来る相手を探していたのかも知れない。

良い友人に巡り合えた気がしたのは、オータムだけでは無かったようだ。

どうやら相手もそう思ったようで、その後も少し話をして、親子は帰って行った。




その日の夜、オータムの家にオリヴィアが訪ねてきた。

女性は「これが昼間言った私が作っている物なんだけど」と、自分が作った物を持ってきて見せてくれた。

「すごいわね、これ。素敵だわ」

「誉めてもらえるとは思ってなかったから、なんだか褒めてもらって嬉しいわ」

「これ、あなたが作ったのよね?」

「えぇ、趣味で作ってるの」

「なんか、そういうの良いわね。私、そういうの何も無くって、妹はそれなりに趣味や才能を持っていても、私には何も無くって…そういう才能みたいなの、すごく羨ましいわ」

「才能だなんてそんな。こういうのって好きな人は一杯いるし、何より才能とか無くても作れるのよ、もしなら一個作ってみない?簡単なのもあるから」

「そうなの?私にも出来るのかしら?」

「初心者向けのもあるから、今度挑戦してみたら?私が教えるわよ」

「初心者向けのもの…あなたが教えてくれるんなら、少し挑戦してみようかしら?」

「じゃあ、今度うちに来ない?あなたの都合と私の都合が合う日に教えるわ」

「ありがとう」

「じゃあ、また今度ね」

「えぇ」

オリヴィアが帰ると、オータムは部屋の中に戻った。

見せられた物を思い出していると、本当に良く出来たものだった。

自分でもあんなものが作れるか不安になったが、彼女が教えてくれるならと、やる気が出てきた。

ただの隣人で、たまに店の客として来てくれるだけの関係だったが、彼女のような人に教われば、これで少しでも自分だって趣味を持てるかも知れない。そうすれば少しは違う自分になれるかも知れないと、そう思えた。

「凄い」という言葉は、主に妹ばかり言われてきた。

それが羨ましく、また妬ましかった。

そんなオータムにとって、その趣味さえ出来るようになれば、妹ばかり羨ましがる事は無くなるかも知れない。

そうすれば、何もない自分からおさらばだ。




数日後

約束通り、オータムは隣の家に来ていた。

隣に住むオリヴィアの家で、初心者向けの小物を作るのを教わっていた。

編み物を教わる事になったのだが、片手に編み棒を持ち、片手には指に毛糸をひっかけ、その編み棒でくるくると指にひっかけてある毛糸を操り、丸い形のコースターを作っていく過程を見せられた。

見るだけなら簡単そうだが、いざ自分がやってみると結構難しかった。

慣れの問題だろうが、慣れるまでは皆、難しく感じるものだと言われても、オータムからしてみれば、やはりこれも合わないのか…と投げやりになりそうだった。

しかし、オリヴィアの指導の仕方が上手かったのか、少しずつ時間をかければ、出来上がっていく小物を見て、オータムはまだ諦める必要は無いと気付いた。

しばらく作業に集中すると、無意識に余計な事を考える事無く作業が出来たことに気付いた。

そして、あっという間に時間が過ぎていた。

手元にある小物は不格好ながらも出来上がっていた。

「これ、とても楽しいわね。時間を忘れて集中していたわ」

「そうね、私も同じ気持ちよ」

「手先を動かすのがこんなに楽しいなんて思わなかった」

「そういえば、どうしてジュース屋さんを始めたの?」

「それは、その、妹がいつもジュースっても、スポーツする為に色々と気を使わなくてはいけなくって、それでフルーツジュースを作って飲ませたのが最初。その頃まだ、私達は学生だったの、私は特になにもしてなかったけど、妹はずっと水泳をしてて、それで、その、妹の為になるならと思って、まぁ、ただ単純に甘い物欲しさに、ジュースを飲んでいただけらしいけどね、妹には手作りのが、美味しいみたいで」

「そう、あなたは良いお姉さんなのね」

「べつに、私はそこまで良い姉じゃないのよ」

「そうかしら?でも全て妹さんの為でしょ?すごいじゃない、そういうの」

「そうかしら?」

「そうよ、私はそう思うわ。誰かの為に何かできるってすごいわよ。妹さんもきっとそれを分かってるのね」

「いえ、あの子はそんな事思って無いと思うわ」

「そう?でも、今でも妹さんと一緒に暮らしてるんでしょ?」

「そうだけど、あの子も私も生活が大変だから一緒にいるだけよ」

「それでも、イヤならとっくにお金貯めたりして出て行ってるんじゃない?」

「めんどくさいだけよ、あの子の事だもの」

「…あなた、結構自分の事知らなすぎるんじゃない?ごめんなさい、こんな事言って。でも、私はあなただから、妹さんはそばにいるんだと思うわ」

「私だから?」

「そう、あなただから。優しくて妹思いだから、きっと妹さん、あなたにいつまでも甘えていたいのね。大好きだから」

「そんなことって、あるのかしら?」

「私はそう思うわ。あなたと一緒にいると、あぁ、この人は優しい人なんだって感じるから、とても魅力的な人だと思うわ」

「そんな事、言われたの初めて」

「そうなの?もっといろんな人に言われていると思ったけど」

「いいえ、言われたのなんて今回が初めてだわ。いつも周りの人は、妹ばかり誉めるから」

「そう…」

「えぇ、だからなんか、私にも何かあれば良いと思っていたの。誰かに褒めてもらえるような、そんな特技や趣味が、私も欲しかったのよ」

「そうだったのね」

「だったら、やっぱりこれを続けてみたら?楽しめたり時間が早く進むってことは、あなたに合っているのよ。是非とも今後もこれを続けてみて」

「ありがとう、そうしてみるわ」

オータムは彼女の言葉の全てが嬉しかった。

普段はそんな事、全く言われない言葉ばかりだった。

今回はこれで帰る事にしたが、実に充実した時間を過ごせて、オータムはとっても満足だった。

家に帰れば帰ったで、妹と娘から色々と頼まれ、なんだかどっと疲れてしまった。




翌日

オータムは仕事の合間に、昨日習った事を練習していた。

そこに、「姉さん、いつものって・・・、あれ、何やってるの?」

「えっ、あぁ、編み物でコースター作ってるの」

「編み物?それで?もっと長い棒とか使うんじゃないの?それに姉さん、そんな事できたっけ?」

「昨日、隣の人に教えてもらったのよ」

「あぁ、そういえば、昨日出かけてたっけ」

「そう、あの時にこれを教えてもらったの。私のこの店の常連さんでもあるのよ。それでなんとなく、アパートの隣同士ってのもあって、仲良くなったの」

「へぇ、でも姉さん、そういうの得意そうよね?昔から料理やらなんやら得意だったじゃない。姉さんの昔の男も、別れた旦那も、姉さんの男はみんな、姉さんのそういう家庭的な所が魅力って言ってたもんね」

「でも、上手く行かない事ばかりだし」

「姉さん、あまりマイナスに考えない方が良いわよ。ねぇ、それより早く飲み物くれない?」

「あぁ、ごめんなさい、ちょっと待ってて」

バックの中に編みかけの物をしまい、ジュースを作る準備をした。

「姉さん、ジュース作る時、楽しそうに作るわよね」

「そう?自分では何も思わないけど」

「なんか、好きな事を簡単に手に入れてることが多いよね。私も自分で好きに料理出来たらって思ったけど、めんどくさくて無理だったわ」

「そんなことって、あるのかしら?」

「あるでしょ。誰だって得意不得意が」

「そうなのかしら?」

「だからジュース売ってるんじゃないの?」

「これは、なんていうか…」

「まっ、とにかく姉さんがジュース屋さんで助かってるわ」

「…そう、はい、いつもの」

「ありがとう」

飲み物を受け取ると、その場でストローに口づけた。

一口飲んで、「うん、やっぱり美味しい」というと、隣のベンチに向かった。

珍しく妹が自分を誉めてくれて、オータムは嬉しく思った。

同時にこういう作業を楽しそうにしていると言われ、なんだか妙な気分になった。

そんなつもりはないのだが初めてそう言われて、オータムは少しだけ自分というものが見えた。

“そっか、こういう事するのが、私は好きだったんだ。誰かに認めてもらいたいから、やってるのだとばかり思ってたけど、違うのかな…?”

その時、男性の声がして、そちらに目を向けると、マロンイヌの獣人男性と男の子が立っていた。

「えっと、こちらはジュース屋さんで間違いないですか?」

「はい」

「そうですか、ではジュースを頂きたいんですが、メニューを見せてもらえませんか?」

「はい、こちらになります」

オータムがメニューを取って男性に見せると、男性は男の子に向かって「見えるか」と言い、メニューを見せた。

二人はよく似ていて親子に見える。

実際、男の子は「お父さん」と男性の事を呼んだ。

注文が決まったらしく、男性はオータムに向かって、メニューを見ながら商品を二つ注文した。

その分の料金を受け取り、オータムはジュースを作り始めた。

その時、「オータムさん!助けてくれない?」という声が響いた。

オータムが声の聞こえた方を向くと、自転車に乗ったオリヴィアがこちらに向かって来ていた。

自転車から降りて、オータムの店の近くに立つと、「息子が保育園で熱出しちゃって、今から行くのよ。後で息子の好きなバナナジュース持ってきてくれないかしら?お金はその時払うわ」と慌てながら話しかけた。

「大丈夫?大変じゃない!分かった、後でね」

「えぇ、お願い。あの子、あれが大好きで、食欲無くっても、それだけは欲しがるのよ、私、料理へたっぴで、作っても飲んでくれなくて、市販のを探し回ってやっと、飲んでくれそうなやつ飲ませてるのよ。もう毎回大変で、困ってたの。助かるわ、じゃあ」

そう言ってまた、自転車に乗ろうとして、彼女は慌てたせいか、足が自転車にぶつかり、転んでしまった。

自転車まで倒してしまい、自転車の持ち主である彼女は、すぐ横で、倒れた時に痛めた所を手でさすっている。

騒ぎを聞き、オータムの妹も駆けつけ、倒れた自転車を起こしてくれた。

それを近くで見ていたマロンイヌ親子は、男性が手を貸し、彼女を立たせ、「大丈夫ですか?怪我はどの程度ですか?」と聞いた。

「幸い、自転車に足をぶつけて、バランス崩して倒れただけで、大丈夫そうです」

「もし、急いでいるなら、私の車、といってもキャンパーも付いてるんですが、それに乗って行きませんか?」

「でも、その、近くですから」

その時、オータムの妹が「ぶつけただけとはいえ、痛い足で自転車漕ぐのは危ないわよ。そうしてもらったら?自転車はうちの店で預かっておくから」と言った、オータムもそれを聞き、「そうよ、そうしたら?」と説得した。

それで納得したが、今度はマロンイヌの男の子が、「お父さん、どこ行くの?ジュースは?」と父に聞いた。

「ジュースは後だ。小さい子が熱を出してるんだ。後で必ずここへ戻ってくるから」

「でも」と言った男の子に対し、オータムが、料金は頂いてますからあなたはここでジュースでも飲んで、お父さんが戻ってくるの待ってたら?今、あなたのを急いで作るわ。どっちを頼んでくれたの?」

オータムの言葉に、男の子は納得して、自分が頼んだ商品名を口にした。

そんな男の子を見て男性は、子供に声をかけた。

「じゃあ、お父さん直ぐ戻るから、良い子にしてるんだぞ」

「わかった、早く戻って来てね」

「大丈夫だ。お父さんも早くジュース飲みたいからな。早く戻るよ。では、行きましょうか」

そう言われオリヴィアはうなずき、男性と一緒に駐車場へ向かって行った。




 マロンイヌの獣人男性がこの場所に戻って来た時、すでに彼の息子はジュースを飲み終わり、待ちくたびれた様子だった。

小学生の子らしく、時折、早く帰って遊びたい、もっとジュースを飲みたいと思っているようだった。父親がいない為、言葉に出さなかったが、チラチラと色々な方を見ては、気になっているようなそぶりを見せた。オータムはなんとなく子供の気持ちに気付いた。

妹はここにはいない。

二人が駐車場へ行った背中を見送り、その後、「仕事がある」と言い訳して、この場を離れてった。

その顔には“これ以上の面倒ごとに巻き込まれたくない”という気持ちが表れていた。

彼女は面倒ごとから離れてどこかに行っている。

戻って来たマロンイヌの獣人男性は、まず息子に話をして、オータムに改めて息子の事を感謝した。そして自分の先程頼んでおいたジュースと、再度、大人しく待っていてくれた息子の分のジュースを頼んだ。

オータムは息子分の料金を受け取り、先程作る予定だった父親分のジュースと、再度作る事になった息子分のジュースを作り、出来たものを父親に渡した。

二人はベンチに並んで座り、ストローを口に含んだ。

父親の方から「この場所で今度、小さいお祭りがあるんですね」と質問され、オータムは「えぇ、そうなんです」と答えた。

息子は「お祭り」と聞き、目が輝きはじめた。

「どんなお祭りなんですか?」

「ささやかな、収穫祭ですよ。と言っても収穫物を扱う食べ物屋さんと、ちょっとした屋台、私も出店しますし、今日、あなたが助けてくれたあの女性も小さいですけど私と一緒に出店するんです。彼女は編み物で小物を作って、売りたいそうで」

「へぇ、そういう物も売られるんですか?」

「はい、手作り品を置く店もありますよ。フリーマーケットなんかも」

「へぇ!なんか、小規模でも、楽しそうですね、なんかこう、お祭りってより、学園祭のような感じがしますね」

「そうね、そんな感じが近いかも」

「うわぁ、なんだか、そう聞くと余計ワクワクしますね。私も学生の頃は学園祭がとても楽しみでしたよ、めんどくさい部分の方が多かったんですけどね、なんだか普段の学校とは違って、楽しかった思い出の方が強く印象に残ってますよ!そうか、じゃあ、今度のお祭りの日は、またここまで来たいな」

「えぇ、ぜひ、いらして下さい」

息子の顔は、ものすごく嬉しそうな顔をしている。

言葉は発しなくても、ワクワクしている気分というのが目に見えて分かる。

「それじゃあ」と父親が空の容器を持って立ち上がると、息子も同じように立ち上がったが、息子はまだ、ジュースが残っている。

「まだ、飲んでる」と息子が言うと、父親は「車で飲めばいいから」と言った。

「わかった」と息子が言うと、「あの、またジュース飲みに来ます。ごちそうさまでした」とオータムに向かって行ってくれた。

「えぇ、ぜひ、お待ちしてます。またね」

オータムも会釈し、二人を見送った。

オータムは再び一人になり、バッグから作りかけの物を出して、続きからまた作り始めた。




 その日の夜、仕事が終わって帰宅する前、預かっていた自転車と、頼まれたバナナジュースを持って隣人を訪ね、ジュースの料金を受け取り、全てを渡してから家に入った。

家の中で、昼間に作った物をテーブルに置き、眺めた。

不格好な丸いコースターが一枚。

初心者は目が疲れない物で編むと良い、と疲れない色で、初心者にお勧めの毛の太さである中太~やや太めの毛糸を貰い、それに合った編み棒も借り、それを使って作ったのだが、結構目と指が疲れた。

編み棒は、かぎ針という編み棒で、一本を片手で持ち、もう片方の手で糸を指にひっかけ、長さを調節して編んでいく。

魔法使いの杖をだいぶ短くしたようなかぎ針は、毛糸をひっかける部分があり、そこを使って毛糸をひっかけ、編み目を作っていく。

単純作業に見えて結構神経を使うが、編みあがっていくたびに、丸く丸くなっていく形が作れていく。

前回作ったものも不格好だが、今回作ったものもだいぶ不格好だ。

それでも良い暇つぶしになる。

そしてなにより楽しいし集中する為、余計な事を考える暇が無くなる。

ゆっくりと仕上げるのが良いと言われている為、疲れたら休んだり、仕事の合間にやるには丁度良かった。

店番は店番で大事だが、ふとした瞬間にちょっとだけ出来るのがなんだか良かった。

“私のこれは、売るなんて出来ないけど、綺麗に出来てるものはとても素敵だし、可愛らしいし、ちょっと売るのには丁度良いわね。ホント、学園祭と言われれば、それもそうね。似てるかも。

今年はなんだか色々と私にも楽しいお祭りとなりそうだわ“

オータムは、近々開催される【ヴィオラ町 収穫祭】がとても楽しみになった。

住んでいる町には、まだそんな祭りは無いが、店があるヴィオラ町のこの祭りは、毎年開催されるが、主に収穫祭というより、食のお祭り感があり、ジュースを売るにはとっておきのお祭りだが、皆楽しそうにしている中、オータムだけがあまり楽しくない気分だった。

それが、ただの仕事だったからだろう。でも今回は、仲良くなった隣人と一緒に店を出す。

ジュースを楽しみにしている子供も来てくれたらとても嬉しい。

ただ、販売しているだけじゃなく、この店に来るのが楽しみと思ってもらえるなら、オータム自身も嬉しかった。




あれから何日か過ぎ、オータムのジュースを売る売店がある広場には、様々な人で溢れかえっていた。

広場の出入り口付近に建てられている【ヴィオラ町 海辺の広場 インフォメーション】と書かれた看板の所に、この広場で開催されるイベントの告知ポスターが何枚か張られている。

その中の一枚に【ヴィオラ町 収穫祭】という文字が大きく書かれたポスターが貼ってあり【~海に近い場所で食べられる海産物祭り~】とも書いてあるのが、実に食欲をそそられる文字である。

さらに、【その他出店やフリーマーケットなど、実に様々なお店を巡りませんか?】とも書いてある。

マロンイヌの父と息子は、今回、トラムとバスを乗り継いでこの場所まで来た。

普段はヴィオラ町とルージュ市の境目にあるおもちゃ屋さんとして働き、その店の二階から三階が自宅である。

妻を亡くし、自家用車に自身の所有しているキャンパーを付け、その車で傷心旅行からの帰宅中、オータムのジュース屋さんに立ち寄った所、思わぬ所で、同種のマロンイヌの獣人女性と出会った。

彼女は子供が熱を出した為、慌てて保育園へ迎えに行く途中だったらしい。

家はこの場所から少し離れた所だが、ヴィオラ町で働き、ビィオラ町の保育園へ預けているという話だった。

あの日は職場から、こちらに足を延ばし寄り道という形になってしまうが、熱を出した息子の為に後で好物を渡してくれと伝えに来た所、慌てて転んでしまったという事だった。

それから二人で保育園へ向かい、彼女の息子を連れ、彼女の家へとキャンパーを付けたままの車を走らせた。

彼女から少し事情を聴いたところ、彼女も夫を亡くし、幼い息子と二人暮らしで色々と大変だが、かわいい息子の為だと言っていた。

自分も同じように妻を亡くし、息子と二人で暮らし、ルージュ市内でおもちゃ屋として働いているが、正直経営の方も大変で、今は手を変え品を変え、何とか生計を立てている。

さらに男二人の家は家事分担が必要である。

息子と失敗した料理を食べ、掃除の行き届かない部屋で過ごしている。

妻が居なくなったことで息子に寂しい思いをさせ、時に母の面影を探す息子を癒したいと思い、傷心旅行として国内を巡っていた。

そんな時の出会いというのは、こんなにも簡単に心が揺らいでしまうのだろうか?

思わずあのマロンイヌの獣人女性にときめいてしまった。

妻に結構似ていた気がしている。

頑張り屋さんで、だけどちょっぴりあわてんぼうで、料理がちょっとへたっぴで、それでも一生懸命作ってくれて。

彼女に初めて会ったのに、妻に似ていると、思う事が多かった。

一緒の時間は、ごくわずかであったのに、なんだかとても懐かしかった。

妻も息子がまだ小さい頃、熱を出すと慌てて好物の物を買いに出かけていた。

これなら食べられるからと、果物のゼリーを沢山買ってきていた。

そんな妻が亡くなるなんて、しかもこんな早くに…。

あまりにもショックが大きくて、息子の居ない間に涙を流した時もあった。

そんな矢先のこんな出会い…。

妻に申し訳ない気持ちも浮かんでくるが、もう一度彼女に会いたい気持ちも浮かんでくる。

そして、今日はそんな彼女も店を出すらしい。

あのジュース屋さんの所へ行けば、彼女がいる。

インフォメーションの看板を眺めていたが、ようやく足が動いた。

インフォメーションの看板の隣に白い屋根のテント下に長テーブルが置かれている。

そのテーブルの周りにいる、会場スタッフと書かれたジャンパーを着ている人に声をかけ、会場案内と書かれた紙を受け取れば、彼女の居場所まで一直線に目指そう。

そう、男は決心した。




一方、オータムの店では、いつもの売店の横にテーブルが置かれ、可愛い小物が置いてある。

オリヴィアが作った作品が箱に入れられ、箱の前に値段が書かれた紙が置いてある。

全部、子供でも買える値段である。

オータムとオリヴィアは店の所に立って、客の動きを見ていた。

オータムの娘とオリヴィアの息子が、ジュースを片手に二人で親の後ろでレジャーシートがひいてある所で荷物と一緒に座っている。

オリヴィアは今日の朝の出来事をオータムに話した。

「実は今日、ここへ来る前に息子が夫の写真を持って、『パパ、パパ』って言って、私に写真を見せてきたの。なんか悲しくなっちゃって…」

「パパねぇ、そうよね、パパが欲しい年ごろよね」

「もうなんだか、私、どうしたらいいのやら」

「そうね。パパはもういないなんて、とても残酷だものね」

「えぇ、私だって、本当はものすごくショックだわ。そういえば!こないだ会った人も、奥さんを亡くして傷心旅行中だったらしいわよ」

「そうなの?」

「えぇ、息子さんと二人で国内を巡ってたんですって」

「へぇ!そういえば、今日も来てくれるみたいよ」

「そうなの?じゃあ、丁度良かった。お礼が言いたかったの」

「息子さんと一緒に来てくれるって言ってたわ」

「じゃあ、待ってたら会えるのかしら?」

「そうね」

オリヴィアは、少し頬が赤くなった。

とても待ち遠しいといった顔だった。




マロンイヌの獣人男性は、息子の言う通りに動いていた。

『お父さん、お父さん』と呼んでくれる姿は、とても嬉しかった。

妻を亡くし、男二人の家庭になってしまい、母が恋しいだろうに、自分を頼ってくれるのは、とても嬉しかった。

ニコニコと楽しんでくれる姿は久しぶりに見た気がする。

“気晴らしになったのなら良かった”

「お父さん、ジュース飲みに行こう?」

「おお、そうだな」

「お父さん、ジュース屋さんに行くの楽しみにしてたよね」

「あぁ、ジュース美味しいからな」

「僕も楽しみだったよ、早く行こう」

「そうだな、早く行こう」

マロンイヌの獣人男性は、さっきもらった紙を見て目的の場所を確認し、「さっ、こっちだ」と言い、息子と再び歩き出した。




オータムの店はいつもより少し繁盛した。

その影響で、オリヴィアの作ったハンドメイド作品もチラホラ売れて、そのたびに彼女は喜んだ。

オータムの妹が来ると、二人は後ろで少し休憩する事となった。

客足も少し減った為、今、休憩するのにちょうど良いと判断したからだ。

レジャーシートの上に座り、足を延ばして座ると立っていた時の疲れが少しだけ癒された。

「はぁー、私も普段から雑貨屋の店番してるけど、やっぱり楽じゃないわね」

「そうね、とくに忙しいとね」

「オータムさんよくやるわー。やっぱりすごいわね、あなた」

「そうかしら?」

「そうよ」

「なんか、あなたは素直にそう言ってくれるから、いつも嬉しくなるわ。普段そういう事、言われた事無くって…」

「そうなの?」

「えぇ」

「あら、もっと沢山の人に言われてると思った」

「それはたぶん、私より妹の方が言われていると思う」

そう言い、オータムは妹の背中を見た。

それにならい、オリヴィアもその後ろ姿を見る。

「妹さんもすごいわね。自分の得意なことを仕事に活かせるなんて」

「そうね。あの子はいつもそうだわ」

その時だった。マロンイヌの父子が店に来て店を覗き込んだ。

「えっと、あの時の方は…」

その声を聞いて、オータムは店の方を見た。

「あら、いらっしゃい。あなた達、今日は特別、こちらに来ない?待ってたのよ」

そうオータムが言うと、息子の方が「ジュースのおばちゃん」と言って、店の奥にいるオータムを見た。

オータムは立ち上がり、「ジュース飲むでしょ?今、作るわ。こっち座ってて」と二人に声をかけた。

二人は「じゃあ、お言葉に甘えて」と奥へ入り、靴を脱いでレジャーシートの上へあがった。

その時「ぱぱ?」という小さい子供の声が、男性の耳に届いた。

オリヴィアは慌てて「お客さんよ。この間、熱が出た時にママと一緒に車で迎えに来てくれた人よ」と言った。

母の声に、子供はその男の姿をじっと見つめた。

「こんにちは」

聞きなれない男性の声に、子供は泣きそうになったが、男の手から魔法のようにオモチャが出現すると子供は笑顔を向けた。

「わぁ!ぶーぶだぁ」

「私は実は、サンタさんでね。今日は良い子にしている君にプレゼントを持ってきたんだ。受け取ってくれるかな?」

「しゃんたしゃん!」

手を差し出してきた子供に男は車のおもちゃを差し出した。

「受け取ってくれてありがとう。嬉しいよ、お熱出て大変だったね。元気になれてよかった」

「なんか、すいません」

オリヴィアが間に入り声をかけると、男性は「私はかまいませんよ。大丈夫です。なんせ、おもちゃ屋で働くサンタさんですから」と言い微笑んだ。

オータムが「何のジュースにします?」と聞くと、サンタの息子は、この間と同じやつと答えたが、サンタは「メニューを見せて下さい」といった。

そのやり取りを見て、「ばにゃにゃ!」と大きな声で答えた子供がいた。

オリヴィアの子供だ。

メニューを見て、父と息子はこの間と同じのを見つけ、父親が「この間と同じやつはこれだな、えーっと」と言い、二人分の“この間と同じやつ”を頼んだ。

オータムは、三つのジュースを作り、妹はその間に隣の店番をした。

三つのジュースは手際良く作られ、そんなに待たないうちに運ばれてきた。

三人にジュースを渡すと、三人とも嬉しそうな顔になった。

オータムは、それを見て微笑ましく思えた。

マロンイヌの母子と父子の二組の親子を見ていると、なんだかいずれお互いの傷が癒えた頃、二組の親子が幸せになってくれれば良いと思えた。

パートナーを亡くした悲しみは、そんな簡単に癒えるものではないが新しい形の幸せを手に入れても良いのではないかと思える。

特にその四人は、なんだか昔から家族だったように、すんなりと仲良くなったように見えたのだ。

女性の亡き夫も、男性の亡き妻も、それぞれ似ているような気がした。

オータムの娘も、四人を見て、似たような感情を抱いたらしい。オータムに向かって「なんか幸せな家族って感じがする。良いなぁ幸せそうで」と言った。

そして一言「おかーさんは、再婚とかしないの?するならイケメンにしてね」とも言い放った。

「…お母さんは別に良いわ。もう結婚なんてこりごり」

「ふーん」

娘の冷めた視線を遮り、オータムは再び立ち上がり、妹の隣に立った。

自分は、この店で働くのが性に合っていると思ったからだ。

「おかーさん、わたし、今日はイチゴジュース」

背中から娘の声がして、オータムはいつも通り返事をした。

すると横から、妹の声で「私はミックスね」と聞こえてきた。

「はいはい、今、作るわね」

オータムは果物を手に取った。

人の出来不出来な所は一杯ある。

それは誰だって平等であると気付かされた。

妹がどんなに水泳が得意でも、苦手な事もあるのは、オータムは良く分かっていた。

自分の事は良く分かっていなかったが、今回、自分にだって誰かから褒められるような所があった。

それは、こうやって誰かの為にジュースを作る。

これがオータムの褒められる所である。

その事に改めて気付けたのは、とても大きな進歩だった。


              第二話 終わり

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