第14話 消息不明
「じゃあ、その後も何の手掛かりもないの」
「うん、警察にも届けて、全館くまなく探したんだけど、消息はさっぱり。会社の作業途中のものも置きっぱなしだし、一馬のアパートにも行ってみたんだけど出勤したそのままの状態で。あの地震の日から急に消えるようにいなくなって、誰も見ていないんだ。ぷつっと姿が消えてしまったんだよ」
麗奈の問いに有住は答えた。
「心配でしかないよ。なんか事件に巻き込まれたとか。そうだ、最近おかしなこと言い出して・・最上階にお姫様がいるとか。会って話したとか変な話してた。あの最上階は調べたの。」
「警察立ち合いの上調べたんだよ。それがさ、40階には天守閣があって幽霊が出るって噂だったんだけど、空けてみたら何にもなくて全くのがらんとした倉庫で、人の気配も全く無し。都市伝説だったんだなあと思って愕然とした。」
「一馬、いったいどこに!?無事でいてよ。また一緒に飲みたいよ」
麗奈は泣き崩れた。
地震のあった日、自家発電で電気が付いたときに一馬の姿は消えていた。どこかへ避難したのかと思い有住も連絡をとろうとしたが携帯も切れていて消息も掴めない。地震の被害かと思い警察に届け捜索したのだが何の手掛かりも掴めていない。まさに神隠しのように忽然と姿を消したのである。同僚の有住と飲み友達の麗奈はあらゆる手掛かりを探したが一馬は見つからない。
二人は言いようの無い喪失感と不安に囚われていた。
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