第13話 戦が跡
息を切らして非常階段を駆け上がって40階に着いた一馬は大声で叫んだ。
「天姫!天姫!大丈夫でしたか?天姫!」
暗闇の中を手で探るようにして姿を探した。やがて足に布のようなものが絡まった。薄灯りの中にぼんやり浮かび上がったのは、倒れて動かない童女の姿だった。抱き起こそうとしゃがみ込みふと辺りを見渡すと、他にも大勢の腰元や童達が倒れ横たわりピクリともしない。呆然と目で追うと、奥の部屋で天姫も死んだように倒れている。
その光景は後北条家が渋田家の居城を討ち果たして、その姫君らも自決したと言う言い伝えを連想させた。
一馬は駆け寄り天姫を揺すりながら、叫んだ。
「天姫!天姫!」
天姫は目を開けて天を仰いだまま、まったく動く事は無かった。
一馬は揺すりながら天姫を抱きしめた。
「天姫、死なないで」
しかしそのあと、彼は何か言い知れぬ違和感を感じて全身が震え血の気が引く思いを感じて、天姫を抱く手をほどいた。
「これは…」
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