第30話 お姫様プレイ・・・
舞踏会の翌朝。
起床した俺の腕の中には、いつものようにアリスベルがいた。
しかしいつものように裸ではなく昨日のドレスを着たままで、少し寝苦しそうに眉をひそめて眠っていた。
アリスベルの苦悩する寝顔をそれはそれで可愛いなと、なんとはなしに眺めながら俺が幸せな気分に浸っていると、
「んん……あ、おにーさん、おはよ~」
俺が起きて少し身動きしてしまったからか、アリスベルがパチッと目を覚ました。
「悪い、起こしちゃったか」
「いいよー、もう朝だしね。って、ううっ、汗とかいろんな汁とか液でドレスがべとべとだよ……しかもしわくちゃになってるし。絶対これ怒られるんだけど、もう……」
アリスベルが昨晩のプレイでいろいろと汚れてしまったドレスを見てガックリとしながら、涙声で言った。
「ごめん、反省してる」
「だからちゃんと脱がしてねって言ったのに」
「お姫様みたいなドレスを着たアリスベルを見てたら、どうしてもドレスを着たままのお姫様プレイをやりたくなってだな……」
だって髪をアップにしたことで魅力的なうなじが俺を誘惑してきたんだよ?
しかもドレスはぴっちりと身体にフィットしててえっちだし、深いスリットからは綺麗な太ももが見えちゃってたんだよ?
そんなのお姫様プレイしたくなるでしょ!?
「しかもかけるし、顔とかドレスとか好き放題ぶっかけるし。うー、ドレスも身体もどこもガビガビでイカ臭い……」
「綺麗なお姫様なアリスベルを俺の手で汚すという背徳感に、理性がどうしても勝てなかったんだ……」
「ティアラにもなんか白いのがかかっちゃってるんだけど、これほんとどうしよう?」
「どうしよっか……?」
「っていうかおにーさん、途中までアタシにハイヒールまではかせたままだったよね? ドレスもティアラもハイヒールも全部着たままでえっちするとか、さすがに変態過ぎないですかおにーさん?」
昨晩のえっちについて、アリスベルがプンプンしていた。
昨日の夜は『お姫様みたいにきれいだよ』って言ったら『もうおにーさんはしょーがないえっちっちなんだから』とか言って、恥じらいながらもお姫様プレイに応じてくれたのに。
「なんだかんだ言っても、お願いするとアリスベルがオッケーしてくれるから、つい調子に乗ってしまったんだ……」
「ううっ、すっかりおにーさんが変態に染まっちゃったよ」
「あれだな、アリスベル色に染められちゃったんだな」
「さもアタシが変態みたいに言うのはやめてくれないかな!? 変態なのはおにーさんなんだからね!?」
などとあまりに酷い惨状を前に、朝から2人で頭を抱えていると、
コンコン。
ノックがして、フィオナが顔を出した。
「おはようございます、勇者様、アリスベルさん――うぐっ!?」
フィオナは部屋の惨状を見るなり絶句した。
「実はこれには深いわけがありましてですね」
「おにーさんがどーしよーもない変態だったの! アタシ被害者だから!」
「あ、アリスベル……」
「おおむねだいたいのことは察しました。そのドレスはアリスベルさんに差し上げます。さすがにそこまでべたべたに汚れていると再利用はその、若干ためらいますので」
「はい、すみませんでした」
「それとすぐに朝風呂を用意いたしますので、汗その他もろもろを流していってください。上がったら朝食にしましょう」
「なにからなにまでありがとうございます」
俺とアリスベルはフィオナのご厚意に甘えさせてもらい、朝からお風呂に入って色々流してさっぱりした。
ちなみに一緒に入るんだとばかり思っていたら別風呂だったので残念だった。
フィオナ曰く、
「お二人が一緒に入ると、朝食がいつになるかわかりませんので」
とのこと。
おかしいな?
俺はフィオナから生涯の忠誠を誓う主だと思ってもらったはずなんだけど、いまいち信用されてないような……。
その後、朝食を食べさせてもらい、一服した後アリスベルの家まで馬車で送迎してもらったのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます