第26話 舞踏会
その日の午後。
俺とアリスベルが布団の中で怠惰に乳繰り合っていると、フィオナがやってきた。
「昨晩、帰ってすぐに勇者様の活躍と人となりを報告しましたところ、ぜひとも迎賓館にて歓迎パーティを開催したいという話になりました。勇者様とアリスベルさんをぜひ主賓としてお招きしたいのですがいかがでしょうか?」
「もちろん俺が断る理由はないよ。偉い人にコネクションがあった方が魔獣の情報とかも手に入りやすいしな」
俺の二つ返事のあと話はとんとん拍子に進み。
歓迎会に先立ってまずはエルフ自治政府の行政長官や、エルフ自治領の統括騎士団長、他にもエルフ自治領の要職の方々と面会した俺は、エルフ自治領に来てからの活躍ぶりを高く評価され、高官たちからいい感じに気に入ってもらえることに成功した。
もちろんグレートタイガーとギガントグリズリーの討伐報酬もしっかりと受け取った。
高ランク魔獣を多数討伐したこともあって結構な高額になったんだけど、グレートタイガーは爪、牙、骨、毛皮が稀少素材として取引されているので、差し引きすればそこまででもなかったと思う。
ただまぁバラして売るのはかなりの労力と手間暇がいるので、一括で報酬をもらったほうが手っ取り早いのは間違いなかった。
そんなこんながあるうちに日付けは進み。
討伐からちょうど1週間後の夕方に、迎賓館にて勇者歓迎セレモニーと銘打った舞踏会が開かれたのだった。
舞踏会に参加するにあたって俺は礼服を、アリスベルは綺麗なドレスを用意してもらった。
「勇者様、ミライト商会会頭ハリス=ミライトが娘、マリアンヌと申します。私と一曲踊ってはいただけませんでしょうか?」
「喜んでレディ・マリアンヌ」
ついて早々はちきれんばかりの巨乳を、これでもかと見せつけるように胸元が大きく開いた美女のエルフからお誘いを受けた俺は、その手を取ると優雅にダンスを踊り始めた。
俺は勇者なので踊りもお手の物なのだ。
ダンスの途中でマリアンヌが密着するように身体を寄せてきて、マリアンヌの誇る柔らかい感触がぎゅむっと俺の身体へと押し付けられる。
視線を下にやると、大きく開いた胸元からマリアンヌの巨乳が零れ落ちそうになっていた。
マリアンヌからの積極的すぎるアピールだった。
舞踏会のダンスには年頃の男女のお見合い的な意味合いもあるので、こういった自分の魅力をアピールする・されるといったことは、男女問わずよくあることなのだ。
べ、別に女の子とこういう合法的な身体的接触がしたいからダンスを覚えたわけじゃないんだからね!?
勇者をやってると偉い人からパーティに呼ばれることが多かったから、必要に駆られて仕方なく、あくまで不承不承、やむにやまれず、勇者としての品格を正しく保つために最低限のマナーとしてダンスを覚えたんだからね!?
ほんとなんだからね!?
勘違いしないでよねっ!?
素晴らしい巨乳をもったマリアンヌとの魅惑のダンスが踊り終わると、次から次へと女性陣がダンスを申し込んできた。
もちろんその相手は皆、うら若き妙齢の女の子たちだ。
無下に断るのはこれは大変に失礼なことなので、俺が綺麗な女の子たちの申し出を順番に受けては楽しくダンスを踊っていると、アリスベルが隅っこで小さくなって壁にもたれかかっているのが視界に映った。
俺はダンスを適当なところで切り上げると、残念がる女の子たちにごめんなさいをしながら、アリスベルのところへと向かったのだった。
「よっ、アリスベル。そんなすみっこで小さくなってどうしたんだ? 今日は俺とアリスベルが主賓の歓迎セレモニーなんだぞ?」
「あ、おにーさん……」
アリスベルは心ここにあらずで、俺が目の前に来てやっと気づいたみたいだった。
「どうしたんだよ、元気なさそうだな。お腹でも痛いのか?」
「うーうん、身体は元気だよ。ただなんかちょっとアタシって浮いてるなーって思ってただけ」
「そうだな、たしかにちょっと浮いてるな」
「やっぱり? だよね、だと思った……はぁ……」
アリスベルが小さくため息をついた。
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