【それでも俺は】積年の腰痛が原因で国とパーティを追放された勇者、行き倒れていたところを美少女エルフ整体師にゴキャァ!と整体してもらい完治する。「ありがとう、これで俺はまた戦える――!」【世界を救う】
第19話 「えっ!? 冗談だったのにまさかの図星!?」
第19話 「えっ!? 冗談だったのにまさかの図星!?」
宿を出発した俺とアリスベルとフィオナ、つまりは臨時パーティの面々は徒歩で森に踏み入った。
最初はフィオナの先導でグレートタイガーが根城にしているという森の奥に向かって進んでいたんだけど、
「おっ、グレートタイガーの気配をとらえたぞ。ここから3キロの地点だ。数は……全部で42体か、フィオナに聞いてた通りかなり大きな群れだな」
途中で俺の勇者スキル『勇者スカウター』が、グレートタイガーの居場所や数を正確に察知した。
「そんなにはっきりとわかるものなのですか?」
フィオナが驚いた顔を向けてくる。
「こう見えて俺は勇者だからな」
「ふふん、おにーさんはすごいんだから」
そしてなぜか自慢げに言うアリスベル。
あれか?
彼氏を自慢する女の子のマウント合戦ってやつか?
いやーアリスベルから彼氏と思われてるなんて照れるなぁ、ふふふ。
でもなんとなく、頑張った子供を褒める母親みたいな感じがしなくもないような……。
アリスベルは俺を勇者っていうより自分の患者だって捉えてるみたいだし、つまり異性としての感覚が少し薄いのかもしれないんだよな。
先生=親と考えたら、患者は子供みたいなもんだろうし。
よし、ここはグレートタイガーの群れをボッコボコのギッタギタに完全粉砕して、俺の強くてカッコいいところをアリスベルにガッツリアピールするとしよう。
本当はこういう利己的な行動は勇者としてはNGなんだけど、今の俺は追放されて勇者じゃなくなっちゃったからな。
少しくらいは構わないだろう。
ってなわけでグレートタイガーどもよ、恨むなら俺じゃなくて俺を追放したセントふぃりぃあ王国の偉い奴らを恨むんだな!
俺は魔王を倒した時と同等か、下手したらそれ以上に気合を入れてこの件に臨むことにした。
「さてと、そろそろ向こうも気付く頃合いだ。打ち合わせ通りにフィオナはアリスベルについててやってくれ。あいつらは俺が一人で討伐する。ただし見えるところにいて欲しい」
「かしこまりました。もしも加勢が必要な時はすぐに指示をください」
「そのへんは心配しなくても大丈夫。あとそっちも何か問題が起こったらすぐに知らせてくれな、助けに行くから」
「了解しました」
「アリスベルも勝手に俺が見えないところに行っちゃだめだぞ? 姿が見えないと心配になっちゃうからな」
「とかなんとか言って内心では『俺のカッコいい活躍を見せつけてやるぜ、俺がんばっちゃうからな~。ちゃんと見てるんだぞ、惚れなおさせてやるから』とかなんとか思ってるんでしょ?」
「…………」
「えっ!? 冗談だったのにまさかの図星!?」
「ソ、ソンナコトナイデスヨ」
「なんで視線を逸らすし……あのね、おにーさんがいくら強くても慢心はだめなんだからね。絶対死んじゃダメなんだからね? 約束だよ?」
「もちろん約束するさ、俺は絶対に死なないから」
「うん、ならいい」
「ふぅやれやれアリスベルにこんなに心配してもらえるなんて、俺は今、人生最高の幸せを感じているよ」
「全然わかってないし……アタシ本気で心配してるのに……」
アリスベルが少しだけむくれたようにほっぺを膨らませた。
その言葉通り、アリスベルは本気で心配してくれているんだろう。
でもAランクのグレートタイガー程度が相手なら、心配する必要はまったくのゼロ、楽勝もいいとこなんだよな。
「じゃあま、そういうことだから、ちゃちゃっと討伐してくるよ」
俺は『破邪の聖剣』をスラリと抜くと、勇者の力を一気に解放した。
魔王をも討伐したSSSランクの猛烈な力が、俺の中にぐんぐんと湧き上がってくる――!
さらには俺の力に反応して、『破邪の聖剣』が美しい白銀のオーラを
完全に臨戦態勢となった俺は、俺の接近を感じとって少し開けた場所で待ち伏せしていたグレートタイガーの群れに、容赦なく襲いかかった。
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