第2話【food fight-タビマエノショウガイ-】(7)
時に、魔術を行使するにあたり必須な行動があるのをご存じだろうか。
体内から体外へ、己の魔力を魔術として
俳句における五・七・五や、詩における三行詩(起・承・転結)などとは異なり、詠唱の内容・文言に関しては特に決まり事がなく、術者の
たとえば
「……タァンス、
腰から下げた大振りの駒――ディアボロに絡んだ糸をするすると
「どの子じゃわからんっ、あの子が欲しい~」
誰しもが一度は耳にしたことはあるだろう“花いちもんめ”の関西バージョン。
「あの子じゃわからんっ、この子が欲しい~」
唱え終わるまでには十数秒の時間が必要となるも、
「この子じゃわからんっ、相談しっましょ――――そうしましょ!!!」
先程
狙いは頭部。
相手が自分を殺す気が無いとはいえ、素手相手の
否、ねねは己の全力を以てしても、地べたに座り込み食事の最中である大柄の男には
そして、
ドンッ!!!
乗用車同士の
ねねが出し得る
――が、しかし。
「……痛いじゃないですか。驚いて思わず
わずかに血を流す程度の傷しか、彼は負っていなかった。
「っ!? ……う、噓でしょ――?」
信じられない出来事に、
「ところがどっこい、現実ですよ。いやはや見事なものです。魔術師同士の戦闘において、
ディアボロを額に受けのけぞったことで中断されていた食事を、
「ハァ……ハァ……こっ、こんなん無理ゲーじゃん……かっ……」
追い込まれたが故に後先を考えない、自分が殺人を犯してしまうかもしれない覚悟で行使した魔術をもってしても、ほぼ無傷である
呼吸が荒くなり、こころなしか
だが、彼女はこの時はまだ気が付いていなかった。
当初、彼女は精神的な問題から呼吸が乱れているのかと思った。
(ちょっと待って……なんか身体、めっちゃ
予兆無しに、彼女は
(まさか……既に何かされていた……?)
「良い具合に繋がったみたいですね。どうですしんどいでしょう?」
「ハァ……ハァ……んっ……ぐぅ……」
玉のような汗をしとどに流しながら、ねねは応じる事が出来ない。
「楽になりたいなら早く
「ふぅ……ふぅ……なんの……これぐ、らいで…………ごふっ!」
(もしかしてあたしってば、
食物の
ひとつは己に向けられた攻撃の威力を
そしてもうひとつは、自身の体調を望んだ対象へと
まんまと術中に
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