第2話【food fight-タビマエノショウガイ-】(4)
かつての故郷であった
物心つかぬうちに母親を亡くした永渦には、二人の父親がいた。
血の繋がった
血よりも濃い縁にて繋がりを持つ、
両者はいずれも11年前の儀式の際に命を落としている。
前者は番人としての任務の最中にて、後者は守護者としての責務の半ばにて。
双方共に、かけがえのない命を散らしている。
故に永渦には――彼女にとっては人生における目的の大半を占めている――自身の手で殺めるべき二人の
その内の一人である
一切の消息が掴めずにいた
+―+―+―+―+―+―+―+―+―+―+―+―+―+―+―+―+―+―+
永渦が
ねねの自宅には既に
「じゃあおやすみ、また明日ね」
「うん。おやすみねねちゃん」
(事を先送りにしまったけれど、本当に良かったのかな)
すぐ横から永渦の寝息が聞こえてくる真っ暗な寝室で目を開けたまま、ねねはそんな風に自問自答をした。
あの時、争いには発展しなかったとはいえ、永渦が
ねね自身、
その反面、イレギュラーとはいえ死んでいてもおかしくはない膜間との初衝突を経験した身としては、そう易々と相手の言うがままに従ってしまう危険性も重々理解してはいるつもりだ。
あるなしの可能性の話は一旦置いて、ねねは今一度状況を改めて整理することにした。
まずは自分の願望というか本音について。
少なくとも
対する
主である
しかしながら、はらわたが煮えくり返っているであろう永渦は、
「三者三様、これでは
(決闘ねぇ……西部劇でもあるまいし。でもなぁ。じゃんけんとか椅子取りゲームとかって意味合いじゃあ、絶対無いんだろうなぁ)
魔術師同士の争いは、言わずもがな腕力だけでは済まない暴力性を伴う事を常としている。
(まんまと乗せられてしまった感が否めないね。この子はともかく、あの人の魔術の特性も全く分からない状況なのに。はてさてどうしたものか……)
楽観主義を貫くつもりはさらさら無かったにせよ、
(一応最低限の準備はしてから行こう。薬局、何時から開いてるんだっけな)
購入する商品を吟味している内に、程なくして、ねねは眠りに落ちていく。
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