第2話【food fight-タビマエノショウガイ-】(3)
半ば流れで自宅へと
「おお。あんがとさん。関西に来たんは初やけん、なまらこわかったっとからあずましいだべよ」
両手で
(んーと、慣れない土地に来たから疲れてて助かったよありがとう……って意味かな?)
兎にも角にも鈍りというか、様々な地方の方言が
彼の口調、
「どうぞお構いなく。よろしければお茶請けも持ってきましょうか」
未だ相手の意図が分からずにいるねねは、判別するに向こうはこちらに対してあくまで話し合いをする為に来たことを感じていたので、彼女としても無用な荒事は避けるべく相手の鼻につかない程度に下手に出る。
「あいや、えぇんで。おらぁ今
そう言って
「あぁあっ! みかんだ! ねねちゃんっ、みかんがたくさんいっぱいあるよ! おいしそうだよっ! えーかも食べたいよ!」
一応は警戒していたからか、
「(子供かお前は)お客様の物なんだから、勝手に取っちゃ駄目だよ
呆れつつ永渦を制するねねを尻目に、
不思議なことに、彼の
「無礼を承知でお許しいただきたい。普段の私の口調といえば、さぞや聞き取りずらく聞き苦しい其れであったでしょうから。改めてになりますが私の名は
「は、はぁ……。初めまして、
「みずきえーかだよ! よろしくっ!」
自己紹介に対して、自己紹介を返す二人の少女。
永渦は何も気にしていないようであるが、反面ねねはこの異様な光景に面食らわざるを得なかった。
先ほどまでの方言・訛りの全てが失われている。
食事を契機に、まるで人格が切り替わったかのような、
「私たち……いえ、私よりも先だって貴方へと接触した
つらつらと淀みのない標準語にて詫びと前置きを入れる
さながら
元をただせば、ねねが膜間とのやり取りをしっかりと覚えていたならば――あるいは
「私の主である
「がらんはじめ……」
ねねの隣に座っていた永渦が、ぼそりと呟いた。
「とはいえ、現存する魔術師を一人残らず虐殺に処すという訳では勿論ございません。要は各個人が持つ魔術という概念を取り払うことを――っ!」
「やめろまだ殺すなッ!!」
ねねが叫んだことにより寸での所で止まるに至った永渦だったが、彼女の持つ
「……ごめん、ちこっと頭に血が上っちゃったみたい。そうだよね、まだ殺しちゃ駄目だよね」
あたしの師匠の仇についてもっとちゃあんと詳しく訊いておかないとねと、永渦は冷たく言い放った。
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