第2話【food fight-タビマエノショウガイ-】(1)
時刻は22時過ぎ、場所は
遅めの夕飯を済ませたねねと
「前から疑問だったのだけれど、
「お
「お金の工面は? なんかバイトとかしてたっけ」
「最終学歴が
「ぐっ。でも、じゃあ。同じ条件でもちゃんと働いているあたしの勝ちー、とか言ってみたり」
「それって過去形だよねぇー。ここに来る前にじひょー置いてきたから、ねねちゃんもえーかと一緒の
「辞表じゃなく正確には退職願いね。つっても、色んな手順を
膜間によってねねの居室にも人払いの魔術式施されていたようで、どんなに短く見積もったとしても明日の朝方頃までは
ちなみにカーペット人間に関しては未だ魔術が解けておらず、解術の方法が分からなかったのでそのまま
「いや、別に家があるないはどうでもよくて、これからどうするかについてなんだけど。ここに留まり続けるよりも、なるべく早いうちに遠出して身を隠すべきよね。その際、水汽永渦さんは旅費に
「お金はねー、今329円とあとファミレスの割引チケットぐらいしか持ってないかな!」
「
「ありがとねねちゃん!
物騒極まる返済方法についてはあえて深く掘り下げず、CMに入ったタイミングでねねはTVの電源を切り、横に座った永渦の方を見る。
「さしあたっては、あたし達を知っている人――
「誰よだれよ、えーかも知ってる人かな?」
「
いずれも緑夜叉村出身の魔術師である。
ねねが前者を訪ねるのを最善としたのは、彼女がいわゆる“
現実に為る前の不確かな未来を視ることの出来る緋崎へと助言を請えば、先の展望は大いに明るくなるのは間違いないだろう。
但し、前述ねねが言った通り現在の彼女は行方が知れず、且つ死んでいなければ齢80半ばを超える老女である。
一方、もう一人の刑部だが、年齢に関してはねねより一回り上とはいえ、老衰の心配はなかった。
ねねにとって彼女は面倒見の良いお姉さんであり、そして魔力を込めた自作品の数々を操る――鎧に特化した
聞けば京都府と滋賀県の境目の山奥で、
ねねと同様に緑夜叉村の生存者たる刑部へと刺客が送られていたのならば、それが事前であれ事後であれ、何らかの情報共有は期待できるところである。
(牢庫姉様には、膜間のおじさんが言ってた
考えを巡らせながら、ねねは明日の予定について永渦へと伝えようとした矢先である。
ピンポーンッ。
ピンポーンッ。
人が訪ねてくるには遅すぎる夜更け間際に――玄関のチャイムが二度、鳴った。
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