第17回 (岩盤の)崩壊

『『緊急警報!緊急警報!!ただ今セルゲイの街目掛けて超巨大魔獣が接近中!住民の皆さんは街から所定の避難所への移動を願います!!緊急警報、緊急警報!!セルゲイの街に超巨大魔獣が接近中!!!』』


「・・・魔物と魔獣は何が違うんだ?」

「太古の昔は何か区分があったようじゃが今はただ語呂の良さで使い分ける程度じゃ!それよりワシらも街の外へ避難を!」

「何故逃げる必要がある?向こうさんから来てくださるなど重畳というものだ。」

「どれだけ自信があるのじゃ貴様は!」

「えっえっ、ハヤトあんなのと戦えるのか!?」

「わたしとハヤトなら戦えるわよ?もしルリコちゃんも興味あるなら見に来る?」

「・・・見たい!」


ルリコは恐怖より好奇心が勝ったようで俺たちの戦いに参加したいという。

なかなか素質のあるやつのようだ。


「奴が街に到達する前に速攻で倒すぞ、俺とミサキは変身してから行く!」

「変身??」

「行くぞ!!」


俺たちは海沿いの通りに出ると同時に【ゼロムドライバー】を展開、レイドカードをスキャニングする!!



「「変身ッ!!」」


『『カメェェンレイダァァアア』』

『ゼロォムッ!ウィィンドオスタァイルッ!!』

『ナァァガァ!フリィィズゥスタァイルッ!!』


俺を翡翠色のエフェクトを巻き込んだ竜巻が覆い尽くし、ミサキはダイヤモンドダストに包まれていき・・・お互いに変身が完了と同時にマフラーを首に巻きつけた。


「うわああああああ!?二人が魔人族みたいになったぞ!?!?」

「それは初めて聞くワードだが今はそれどころじゃない、はあっ!」


俺は一飛びでゼロムキャリアーの荷台に吸い込まれると後部のまるで大型連発拳銃マグナムのシリンダーのような部分が横に回転していく。そしてコクピット部が左右に開いていくと・・・そこには後部が青い装備に換装されたゼロムストライカーに俺が座っていた。

これぞ海上特化装備【ゼロムマリンガー】である。


「二人とも乗れ!一気にやつの横に付ける。」

「了解!」

「なんだコレかっこいい!!よぉし、オレも覚悟決めたぞ!」


マリンガーの左右にナーガとルリコが乗ったのを確認すると更にブーストのカードをスキャン、大海原へと舵を切った。


『ブゥウステッドォォオッ!!』



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「すごいすごい!この鉄の馬海の上を走ってる!!」

「正確には水中翼船のように航行してるワケだが・・・まあ知らないだろうな。」

「二人とも見えてきたよ!アレがそうじゃない?」


凄まじいスピードで会場を疾走するゼロムマリンダーの行先に青い島のようなものが見えてくる。

・・・いや、あれが目標の【バイトシャーク】かもしれない。


「アレがバイトシャーク???オレの知ってるやつの数倍はデカいしあれじゃ島鯨と変わらないよ!」

「ルリコは物知りなんだな、そんな生物もいるのか。」

「よーし、じゃあ足場作ってくるね!・・・凍り付け。」


ナーガが飛び降り、海面につま先が触れた瞬間周囲の海面が凍りついていく!

仮面レイダーナーガフリーズスタイルの能力は【絶対零度】。ただその場にいるだけで彼女を中心に大気すら凍りついていくのである。

故に爬虫類・植物系怪人にとっては天敵と言えるほど相性がいい。アレからしばらく経つが世界樹で凍らせたエリアボスは未だ氷漬けになったままであろう。

ちなみに意識して解凍してやれば溶けさせることも自由自在なんだとか。


『・・・!!』


一気に周囲の海面が凍結していき、マリンダーを乗せられるようになった頃にはやつのすぐ近くまで氷が押し寄せて行くとバイトシャークはもがき始め・・・少し潜るとこちら目掛けその巨体を飛ばしてきたのだ!


「うお、なんて思いきったことすんだこいつ!」

「いや、アイツもある程度魔力を使う術があるんだろう。空中で軌道を変えるとか平気でやりそうだ、ミサキ注意しろよ!」

「はいよぉ、凍れ凍れ!」


ナーガがいつの間にか取り出した剣を振るうと剣閃が氷の刃となって飛んでいく!・・・が流石にサイズ差がありすぎるのか小さな切り傷が付く程度か。そのまま彼女が元いた場所に突っ込んで来ると氷を破壊しそのまま海中に沈んでしまう。


「あちゃあダメっぽいな、フリーズとは相性悪いかもしれない~。」

「それなら俺がやるさ。」と雷の紋様が刻まれたレイドカードをスキャニングする!


『モォォドチェェンジ!サンダァァアアアスタァァイルゥッ!!』


雲もない大空から一条の雷が俺に落ちるとウィンドスタイルのエフェクトがが剥がれ落ち、代わりに黄色い稲妻のようなエフェクトと金色に輝くマフラーと古代日本で【雷獣】と呼ばれた妖怪をモチーフとした後方へ伸びる三本角の仮面が装着された。これが仮面レイダーZEROMの【サンダースタイル】である。


「オレも協力するぞ、弱体化デバフ魔法は得意なんだ!減速呪法・強グラビテーション!!」


ルリコが唱えた瞬間バイトシャークの周囲に紫の光のリングが広がってたちまち奴の動きが鈍っていく、もしや重力操作にも似た魔法なのかもしれない。

俺は好都合と拳を思い切り氷の地面に叩きつけるとそこから可視化するほどの電撃が走っていき巨大ザメを激しく感電させた!


「では・・・トドメだ。」


次のカードは・・・【ファイナルアタック】だ。


『ファアイナルゥアタァァァックッ!!!』

「ゼロ・クラッシャー【イカヅチ】!!」


高く飛んだ俺とゼロムマリンダーは空中で更なる稲妻をその身に浴びると黄金色きんいろに発光しながらそのエフェクトを脚へと集めていき、更には帯電したバイクが変形して俺の脚へと融合し右脚だけ大型ロボットの脚部のような形となりそのまま加速。

バイトシャークへと殺到すると周囲の凍りついた海面を砕きながら海中へとドンドン押し込んでいき・・・最後には海底の岩盤が砕ける程の破壊エネルギーを炸裂させた!!


結果、水爆実験かとも思えるほどの大爆発を起こし・・・俺は元に戻ったゼロムマリンダーへ乗って悠々と二人の元へ帰還するのだった。

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