名はジャーブラ。
あぁ、
とりあえず、、
何だ。
モンスターとか倒せばいんかな?
「助けてー、」
馬車で引かれた荷台の檻の中に、
鎖に繋がれた少女が入っている。
あぁあ、
とんでもねえ世界に来ちまったな。
助けてーって言ってるのを見過ごす訳にはいかねえわな、、
「止まれー!!」
馬車に飛び出した俺は案の定、空を舞った。
だが、無事着地した。
何だこりゃ、、
これが、ブラジャーの力か、、
どこも痛くねえよ。
「おい、てめえ、、」
柄の悪そうなあんちゃんが馬車から降りてくる。
「てめえ、どこのもんだ。」
容姿は猪の様な顔をしているが、
人間の様に手足があり、立っている。
「俺か?俺は、、んー。
名前。名前か、、
んー。」
猪「お前、面白そうなもん持ってんじゃねえか、
それよこせよ。」
「駄目に決まってんだろボケ!!
こりゃ俺の大切なもんだ。」
ブラジャーを獲られない様に顔に着ける。
猪「はははは、、
馬鹿かお前。
それじゃ、前が見えねえだろうがよ!!」
短剣の様な物で切りつけられるが、
ブラジャー越しに見事にかわす。
猪「なん、、だと、、」
「なんじゃこりゃあはああ!!!」
ブラジャーからはまだいい香りが漂う。
「匂いも付属で付けてくれたのか!
最高だな。あの神様は、、」
猪「ごちゃごちゃうるせーんだよ!!」
当たり前の様に同じような振りで来た攻撃を、
見切ったかのようにかわし、反撃を食らわす。
「刃物は危ないでしょうがあぁあ!!」
猪は地面へとめり込み、気絶する。
「俺、つええな、、」
荷台の檻の少女は酷く怯えていた。
「大丈夫だよ、、今助けてますからねー、、」
少女「助けてー!!!
誰かー!!!」
「えぇえ、、俺。助けようとしてるのに、、
俺から逃げようとしてる!!?」
次第に人が集まって来て、変な雰囲気になった。
檻と鎖を壊すと、少女は走って行った。
「はあ、、なんで、、」
すると、肩を叩かれる。
「はい??」
振り返ると。がたいのいい男が立っていた。
男「君は何をしているんだい?」
「いや、、少女を助けようと、、」
男「一緒に来てくれるかい??」
男の笑っていない笑顔は俺を引きずる。
「助けてー」
「はぁ、、こいつと相部屋か。」
異臭のする牢は沢山の奴がいる。
「治安わりいな、、
おぃ!起きろ!おい!」
八つ当たりに猪の顔を叩く。
「おい!てめえ!!」
猪は壁へと飛ぶ。
「ありゃりゃ、、」
穴の空いた壁は牢を広くした。
猪「うぅ、う、、」
これは、外さねえと駄目だな。
顔からブラジャーを取り、
首へとかける。
「おい、お前。」
猪「ひぃい、、
もう、勘弁して下さい。
私が悪かったです、、」
「まあ、いんだけどさ、、
お前のせいで、俺まで捕まっちまったじゃねえか、、」
猪「ここは、何処ですかい、、」
「わかんねんだ。
お前もわからねえのかよ、、」
隅で小さくなっている奴等に話を聞く。
「おい、お前ら、何か分かるか?」
蜥蜴の様なそいつらはびびって話が出来ないようだ。
呆れかけた時、奥から声がした。
「ここは、王都の牢獄。
罪人を入れて、処刑したり、拷問するんだ。」
「まじか、、
俺、罪人になっちまったのか、、
はあ、、」
「ひっひっひ、、
そいつのせいで災難だ。」
「何で分かるんだ?」
「人間様は悪さをしなくても食っていける。
まあ、稀に人間が入れられるが、
お前さんはそうゆうのじゃない。
人間様以外は悪さをしなきゃ食えねえ。
俺らみたいな者は一生こんなんだ。」
「何だそりゃ、、
マジで言ってんのか??」
「蜥蜴達は、頭を縦に振る。」
「お前らは何したんだ。」
蜥蜴「おいら達は、食べ物を盗んだ、
家族が、、腹減らして待ってんだ、、
だけんども、捕まっちまったんだ、、」
「お前は、何した、、」
「俺か、、俺はな、建物が崩れちまって、
庇ったんだが、運悪く通りががった子供が怪我して。
それでこのざまさ。」
「何なんだここは、、
糞みてえな世界だな。」
扉が開く音がして、
俺を捕まえた男が入ってきた。
男「お前。悪かったな。
見てた奴等に話は聞いた。」
側に居る兵士が猪に槍を向け、
入り口から遠ざけようとする。
「やめろ。
んな事しなくも逃げやしねえよ。」
男「せっかく出れるのに、
厄介事を増やすんじゃない。」
男は呆れた様に言う。
「いや、、そもそもてめえが原因だろうか、、」
禍禍しいオーラに空気がピりつく。
男「あぁ、それは、悪かった、、」
「そうだよな。。こりゃ冤罪ってもんだぜ??
素直に良かったって、、出る訳にはいかねえよな?」
男「何が望みだ、、」
くくく、、上手く交渉に持って行けたぜ。
「こいつと、その蜥蜴。後奥の奴をよこせ。
それと、、職を探してるんだ。
斡旋してくれねえか??」
男は深くため息をすると、答えた。
「斡旋は可能だ。
俺の出来る限り手を尽くそう。
だが、こいつらを出す事は出来ねえ。
何せ。犯罪者だからな、、」
まあ、そうくるよな。
「じゃあよ、、この建物全部壊して、
こいつら逃がしたらどうなる??」
男「脅しか?
お前にそれが、出来るのか?」
「可能だ。」
男は再びため息をする。
「こいつらをどうする。」
「そうだな、、パーティーにでも加えるかな。」
男は腹を抱え笑う。
「はっはははは、
そんな事をしてどうする。」
「馬鹿だな。
世界を救うのさ。
こんな歪んだ世界。
俺が変えてやるよ。」
男「馬鹿な。
そんなこと、、」
男は俺の目を見るとあきれ果てた。
「こいつらを王都には入れない。
仕事は手紙で送る。
仕事以外で俺の名前は出さない事。
守れるか?」
「あぁ、、」
「こいつは俺が買った事にする。
金は報酬金から天引きするぞ。
いいな?」
「了解。」
猪「旦那ァ、、」
蜥蜴「旦那ァ、」
「くくく、、、
おもしれえ、人間様も居たもんだ。」
男「馬車を用意する。
それまで待ってろ。
それに、この壁代も払えよ??
行くとこ決まってんのか?」
「いや、、そもそもこの世界ははじめてだ。」
男「そうか、、
じゃあ、ガンテって町がいいぜ」
「ガンテか、、
そこまで送ってくれるんだろ?」
男「はいよ。
手配しとくよ。」
「ありがとうな。
いろいろ。」
男「こちらこそ。
お前は変わった奴だが、、
まあ、良い奴だ。
申し遅れた。
俺はフォック。」
「俺は、、ジャーブラだ。」
これが、フォックとのはじめての出逢いだった。
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