第3話 収束


大急ぎで謁見の間に向かった私が見たのは対物理、対魔法処理のされた重厚な扉が斬り払われ多くの騎士が運び出される光景だった。


「ま、まさか陛下の御前にまで刃が届いたのか」

急いで飛び込み謁見の間で待機していた見知りの騎士に陛下の状況の確認などの説明を受けることができた。


陛下が無傷なことを一番に確認した後、聴取したの部屋で起こった出来事は驚愕するしかない出来事だった。

城内で戦った騎士団のほぼすべてを殺すことなく突破し(明らかに手心を加えていたということなのだろう)この重厚な扉をもあっさりと切り裂いて謁見の間に突入した侵入者は陛下に仲間の解放を求め、妨害のため攻撃した騎士団を撃退し、駆け付けたわが国で最強と言ってもいいエル将軍と戦い大けがを負わせた後、更に陛下へ刃を向け再び解放を求めたそうだ。

そこに王太子殿下が監禁していたのだろうエルフの仲間。(正確には勇者の仲間ということだ。)に剣を向けながら登場したそうだ。

更に、殿下は侵入者に武装解除を求め拒否されると先ほど傷を負い突破された将軍が回復されたのを確認したうえで侵入者を殺害するように指示を出したそうだ。


陛下を人質に取られ動けない将軍がにらみ合うことになった状況で、殿下は何と陛下を犠牲にすることを宣言し、将軍に侵入者を殺すよう命令したという。

「国の繁栄のために死ね」とは国是ではあるがさすがに驚かざる得ない行動だ。


苦渋の選択のような発言ではあったようだが結局の所、王太子が独断専行した挙句敵とした存在の力を読み誤ったうえ(勇者の仲間であることを承知の上)に明らかに手加減された反攻を受けそのとばっちりを父たる陛下が受けたのに尻拭いとして陛下の命を対価をしようとしているのだ。

王太子として政務の補助を行ってきた殿下は無能とは程遠いという評価を受けてきたがこの度の事件は重大な影響を及ぼすのではと考えざる得なかった。


運がよかったというべきかその緊迫する場面にエルフたちと面識がある殿下の末の王子が仲介に入る形で収集したということになったようだが。


仲介とは適切でなく、実際のところ王子は勇者を監禁していたことを周知され引くに引けなくなった殿下の逃げ道を作り勇者にはただひたすらお願いすることで矛を収めてもらったような状況だったらしい。

勇者を解放する過程でその力の一端を見せられたり殿下が魔法による一撃を受けたりしたようだが命にかかわるようなものでなくけじめということだったのだろう。


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