第31話 聖龍お姉さん
各都市は必死になって強化に励んだ。その中でもクランの存在は脚光を集めた。正規の守備軍とは違う冒険者ならではの戦い方は敵軍を大いに苦しめた。結果として6度の敵侵攻に対して全ての都市が耐え抜いた。
その後、オークのスタンピードが発生した。
「ここでようやく定期イベントか」
タラオがボソッと呟いた。
もうオークなんて敵じゃない。今の守備兵や冒険者にとってはゴブリンと同等の強さに感じるでしょうね。美味しい焼肉が来た程度にしか思わないでしょうね。
でもいいタイミング。ちょうど例のブツが無くなったの。私は嬉々としてオーク狩りへと赴いた。
そして私とシャルロットは秘薬を作り出した。夜のお悩みを持つ奥様達に頼まれ、効果がマシマシになった薬を作ったの。凄いバカ売れするし、夫婦円満、出生率もマシマシで良い事だらけね。
散発的にイベントが発生するけど、戦力が整った都市にとってはご褒美イベントになっている。
そんな中、ついに魔王が居るっぽいダンジョンを発見した。
そのダンジョンは第1層から強力な悪魔タイプの魔物が居た。タラオがほぼ間違いなく魔王のダンジョンだと言っている。
私達のクラン『ワンダーランド』はじっくりと戦力を整えながら攻略する事にした。
先のクエストで得たクランの拠点はとても豪華だ。もうお城レベルと言ってもいいくらいね。メンバーには広い個室があり、様々な施設もある。まるでシャルロットの経営する最高級ホテル並みね。
シャルロット専用の工房も併設されている。シャルロットはそこで魔王対策の聖属性が付与してある装備を作ってメンバーに配っている。現時点での最高装備ね。
私はメインのホーリーランサーではなく、白魔術師で参戦する事にした。私がホーリーランサーをやると敵のターゲットが不安定になりやすい。シャルロットが戦闘に参加出来ないのと同じ理由ね。
私達2人は強力過ぎるのだ。
タラオは器用貧乏の代名詞、魔法剣士として参戦する。LVはクランメンバーに合わせてあるから心配ない。『テッサロサ』をよく知っているタラオが中衛としてパーティーを支援すると驚く程に安定感が増す。パーティー全体を把握する能力に長けているのが分かる。冒険者ギルドでもそうだけどタラオの管理能力は凄い。でもほとんど目立たないんだよね。
私達のクランはタラオの凄さにみんな気付いているけど、ラノベで支援役がパーティーをクビになるのが何となくだけど分かった。
少しずつではあるけれど私達3人とクランメンバーとの実力差が縮まってきた。私達が伸び悩んでいるというよりもクランメンバーの頑張りね。大小様々なクランが立ち上がり切磋琢磨しているって感じかな。良い刺激になっているみたいね。
シャルロットがたっぷり時間を使って私の装備を作ってくれた。薙刀を愛用している私にぴったりの武器『聖龍円月刀』だ。聖属性が付与してあり、槍より少し短い柄に幅の広い刀が付いている。刀と言ってもほとんど槍に近いので槍スキルに対応している武器だ。防具は軽量の皮鎧『聖龍鎧』だ。
いずれも大迷宮都市50層にいる竜種から得た素材を使って作ってある。
白魔術師として参加する魔王戦では出番が無いけど3人パーティーの時にはこの装備で行く。最高の使い心地ね。
タラオによると生産職がある『テッサロサ』みたいなゲームの装備品は、敵や宝箱のドロップ品より職人が作った品の方が性能が高いらしい。
ただそのゲームのエンドコンテンツで得られる装備品は例外でかなり強力なんだって。と言っても職人が作る装備品とは少しの差しか無いそうだけど。
私とタラオはシャルロットの作ってくれた装備品の一択だけどね。
強力な装備品を入手した事は何度もあるけど、必ずシャルロットはそれを超える装備を作ってくれる。それは私達に合うように作られたオーダーメイド品だから絶対の安心感があるんだよね。
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