第27話 降臨管理者

 買って来たお酒をせっせと日本酒専用冷蔵庫に詰め込んだ。ちょっと手がプルプルしているけど……


 あれ? そう言えば『テッサロサ』のベータテストの最中だったよね? 


 忘れてました〜〜! テヘペロ!


「フグミ〜ン、ベータテストはどう?」


「順調です」


 はぁ!? 順調だぁ〜〜?? 


 全国の酒屋さん及び酒蔵さんが苦境に喘いでいるのに順調だぁ〜〜??


 ブチっと来ちゃったもんね!!


「イケメンコレクションを将軍とし、全都市を強襲! 攻城戦イベント発動!!」


 ふふふ……私のイケメン達がのほほんと楽しんでいるお気楽極楽な人々を苦しめちゃうのだ!

 

「休憩したらまたお酒を取りに行くからさ〜 どんな感じでみんな遊んでいるか見学させて〜」


「了解しました」


 私は水分補給として1升瓶を1本だけ空にした。手のプルプルも収まり余韻に浸っていたら、75インチワイドモニターに攻城戦の様子が写し出された。


 フフフ……圧倒的じゃないか我が軍は!!


 都市の城壁にイケメン軍が取り付き、今にも都市は陥落しそうな感じだ。


 しかし……


「げえっ!?」



 金髪碧眼の異世界テンプレ美人エルフが颯爽と現れ、私がよく指名するイケメン将軍『まあ君』を無慈悲に突き殺してしまったじゃ〜あ〜りませんか!


 ちょっとカッコいいじゃん……


 い、いや違う! 私のイケメン達がこんなに簡単に負けていいはずがない!! 


 グギギギギィーーーー!! 許すまじぃぃ!!


「これを6連発! しかも徐々に強くするのよ!」


 怒涛の6連発よ! 1升瓶6本がどれだけ重いか味わうがいい! 更には最初はただ風邪だとか言っていたのに、実は恐ろしい病でしたとかいう感じの訳が分からん作戦だ。


 そう考えた時、私に孔明が乗り移ったぁぁ!!


 と思う……違う人かもしれない。


「わざと敗走し伏兵で一網打尽よ。伏兵隊の隊長は私が厳選したイケメンベスト10でいくわ!」


 これぞ十イケメン埋伏の計! 


 伏兵隊長が率いているのは超醜い豚オークの群れにしてあげよう。美少女エルフが醜いオークに囚われて……


 グヘヘへへ…… 死すべし!!


「アドミニストレータ。そろそろ酒屋に行かないとシフトチェンジ時間です」


「なんですとぉぉ!?」


 マズい……午後から店番はお兄さんから店主の爺ちゃんに代わるのだ! こんなお遊びをしている場合じゃなかった。

 

 3秒でお化粧を整えて酒屋へと向かった。


 




 

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