第14話 ギルド長お姉さん
商業ギルドの建物が完成した。レンガ造りの2階建てだ。村の建物は全て木造なのでとても豪華で目立つ。
商業ギルドの横にはシャルロットの宿が出来た。こちらは木造の2階建てね。部屋は20部屋あり、小さな食堂もある。シャルロットは寝具作りをしている。貰った糸車で糸を作る事から始めていた。タラオが素材を沢山提供してくれるそうだ。
タラオと言えばついに自宅警備員を卒業した。スキル『パンイチ』がLV5になったのね。次はモンクをやるって言っていたけど予定を変えたみたい。
タラオはフィジカルトレーナーにジョブチェンジした。冒険者を鍛える事にしたそうだ。
私は商業ギルドの開設をやらないといけない。何をすればいいのか分からなくて不安だったけどタラオが解決してくれた。
商業ギルドのスタッフをタラオが派遣してくれた。みんな元冒険者ね。冒険者よりも事務方の方が合っている人をタラオが厳選して回してくれたの。これで一気に物事が進み出した。要所で私の決裁が必要な事はあるけどそれ程多くはない。ちょっとしたアイデアを出す程度の仕事しかないの。
タラオは自分の立場を利用して着々と力を増している。町長と肩を並べる実力者と言えるわね。
商業ギルドのすぐ近くに治療ギルドも完成した。ここの所長も私は兼務している。商業ギルドよりもこちらにいる事の方が多いのが現状ね。
ここのスタッフもタラオの手配によるものだ。ちなみに宿屋のスタッフもタラオの手配だ。
タラオの社会人としての実力が窺い知れる。迅速に適材適所で人材を送り込んでくる。
私の生活は今までとあまり変化は無い。けれど自分の周辺は凄い勢い発展している。
「大事なのはレベルを上げる事だ。今までと変わらない」
タラオはいつもそう言う。まず私達は魔王を倒さないといけないんだから当然なんだけど、つい日々の生活に追われて忘れてしまう。
宿屋の運営に夢中になっているシャルロットを誘って初心者ダンジョンに行く事にした。シャルロットはまだ初心者ダンジョンすらクリアしていない。
私はランサーとして前衛をやる。シャルロットは黒魔術師で後衛ね。タラオも誘ったら来てくれた。シーフとして斥候役をやるそうだ。
初心者ダンジョンに入ってしばらく進むとタラオが当然ガッツポーズをした。
「俺にも敵の位置が分かるぞ!」
やっと『索敵』のスキルが生えたようね。タラオは最近絶好調なんだって。いろんなスキルをゲットしているみたいだ。
戦闘は好きじゃないと言っていたシャルロットだけど役割はきっちりと果たしている。複数の敵が現れた際に敵を『スリープ』の魔法で眠らせてくれるから楽に戦い進めた。眠っている敵を倒すのはシャルロットに任せた。タラオのアドバイスを受け、敵の急所をゴブリンナイフで攻撃して倒している。
私はランサーってジョブが気に入った。使っているのは薙刀だけどね。自分に合っている気がする。
「ランサーを極めようかな」
「ランサーと白魔術師を極めるとホーリーランサーってジョブになれるぞ。強力な中衛ジョブだ」
シャルロットは後衛がいいと言っているし、私が中衛ならちょうどいいな。
「そうなると俺は盾役をやった方がいいな」
タラオが盾役。私は中衛。シャルロットは後衛。これでバランスは取れる。
「3人パーティーは冒険の基本だ。ここから人数を6人まで増やすぞ」
良いメンバーを揃えるには自分達の実力も上げないといけない。まずはここからね。
ボスをサクッと倒してシャルロットが宝箱を開けた。そして『浄化』のスキルを得た。
私も欲しいと思っていたスキルだ。
「シャルロットおめでとう! 宿屋の運営にも役に立つし冒険にも必要だから当たりね」
「んん? そうなのか? アンデッドを倒すスキルのはずだが?」
「『浄化』といえば体や物を綺麗にするスキルよ。勿論、アンデッドにも使えるけどラノベでは前者が多いわね」
試しにシャルロットにスキルを使って貰った。血で汚れたゴブリンナイフがピカピカになったよ。
「すげ〜〜 欲しいなそのスキル……」
「商業ギルドに入っている情報によると色んなお店がオープンする中に本屋さんがあったわよ」
迷宮都市に移行するにあたり大量の出店希望が商業ギルドに来ている。
「スキル書を安く買えると嬉しいな」
確かにそうだけど……ゲームの常識とこの世界の常識との間にかなりの隔たりがある。私は商業ギルドの長として都市の経済面を考えないといけない。
「ねえタラオ。冒険者ギルドと商業ギルドで相談してスキル書の価格を設定し直さない?」
「ふむ……確かにその必要があるかもな。『浄化』のスキル書なんて昔は捨ててた気がするぞ」
「適切な価格で流通する様にすれば冒険者も商人も安心出来るわ。何よりスキル書を集める仕組みが必要ね」
私達が欲しいスキル書があれば優先的に手に入れる事も出来る。ズルっぽいけど役得よ!
「さすが商業ギルド長だな」
タラオはニヤリと笑った。
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