第10話 スキル上げおっさん
スキルが上がった影響で木工作業がとても捗るので楽しい。少しずつ家が暮らしやすくなっていくのも地味に嬉しいな。
しかし、アリス持つ収納スキルは便利だ。あれが無ければこんなに大量の木材を運べなかった。
ゲームでもアイテム枠(アリスはストレージと呼ぶ)は重要だった。
エクストラハードモードはジョブの追加とスキルの追加がされている。『収納』のスキルなんて今までは無かったんだ。アイテム枠があって当たり前だと思っていた。
かなり『収納』スキルが欲しい。
スキルを得る方法は訓練して生える、スキル書で生やす、ジョブの固有スキルとして生える(ジョブチェンジをすると固有スキルが生える)の3通りがある。ダンジョンを初回クリアした際に得られる宝箱から出るスキル書が1番手っ取り早い。だが、村の周辺には最初に行った初心者ダンジョンしかない。
ダンジョンは村の発展と共に村の周辺に配置される。場合によっては村の中に配置される時もある。村の中に配置されると移動時間の短縮になるから重宝する。当然、ダンジョンのある村は更に栄えていく。有力な都市へと進展する可能性が高まるんだ。
アリスの活躍のおかげでダンジョン都市の可能性が見えてきたのだが……
アリスがBL好きだと言っていたのが気になる。
普通の子だと思っていたんだがな……
これまでのゲーム人生において、いや……仕事でも……どれだけBLに悩まされたか。
余程のことがなければBL(ブラックリスト)に加える事はしないんだが、どんなMMOでも数人は必ずリスト入りする。
最も嫌なのは粘着。所謂、ストーカー行為だ。
せっかく集まったパーティーにBLしているヤツが混じっている時は最悪だ。ワザと失敗する、異常な行動をする、更には暴言を吐く。本当にブラックで迷惑なヤツらだ。ヤツらを好きになれる要素があるのか? 全くの理解不能だ。
「これだから最近の若いもんは……」
だが、人の趣味に口出し無用。現実世界の仕事で多くの人と関わってきた経験から得た教訓だな。
絶対中立都市から大量の物資が頻繁に村へと運び込まれている。村のバージョンアップが始まる兆しだ。絶対中立都市はシステム側だから基本的に運搬や建築に関わる人はモブキャラだ。
しかし、BL入りするヤツらはモブキャラに上手く溶け込んで村に侵入してくるから厄介だ。
そんな頭があるならまともにプレイして欲しいもんだがヤツらは嫌がらせする事を快楽としている。話し合いなど全く通じない。
村のバージョンアップ時は最も警戒しなければならないタイミング。この件でアリスの協力を得られないのは非常に痛いな……まさかおかしなヤツらを招き入れる事は無いだろうが警戒は必要だ。
『パンイチ』がLV4になり菓子パンが出せるようになった。なぜか栄養ドリンクもセットで出る。朝一はこれに限るからな。
「やっぱりこれを飲むと仕事が捗るぜ」
浮かれて家作りに励んでいる時に事件は勃発した。
「村の外で出会った人なんだけど転生者みたいだから連れて来たの」
アリスが銀髪赤眼の女性を連れて来たんだ……身なりは酷くボロボロだ。
まさか……イカれたヤツか? 警戒をMAXにする。最悪、殺し合いも有り得る。
「私はシャルロットという名前みたいです。村に入るお金が無くて彷徨っていたのをアリスさんに助けてもらいました」
「そうか……災難だったな」
アリスがシャルロットを自室に連れていった。着替えさせるらしい。参ったな……嫌な予感がする。
「シャルロットもここで一緒に住んだら駄目かな?」
やっぱりな……そうなると思ったよ。
シャルロットはゲームの知識もラノベの知識も無いそうだ。それではこのエクストラハードモードの世界で暮らすのは厳しいな。今のところおかしな様子は見当たらない。普通の女性だ。だが豹変する可能性もある。しばらく様子を見るか……
「構わないがそれなりの貢献はしてもらうぞ」
アリスとシャルロットは手を取り合い喜んでいるが、俺は絶対に警戒を緩めない。
ヤツらは最初だけはまともだ。見分けがつかない。だが、しばらくすると徐々にボロが出てくる。まあ、最初からイカれたヤツもいるがそんなヤツはすぐに消される。
頭が良くてイカれた奴が最も厄介なんだ。
しかし、家作りばかりやっている訳にはいかなくなった。自分を鍛えておかないといざという時に負けたら意味が無い。
『パンイチ』がLV4なのがもどかしい……
ジョブの『自宅警備員』から早く他のジョブに転職したいんだが、1日1回しか使えないスキルの『パンイチ』のスキルレベルを5まで上げるのに時間が掛かっている。
次のジョブはモンクで確定だな。素手でも強いと寝込みを襲われた時にも対応が出来る。俺はソロ志向だからパーティーでの強さよりソロで強いジョブを選ぶ必要がある。
モンクの次はアリスと同じ白魔術師だな。回復魔法あると生存率が上がる。それからシーフだ。ダンジョンにある罠の解除や宝箱を開けるのも自分でやる必要があるからな。
ジョブチェンジをドンドンして基本的なスキルを習得する必要がある。特にソロ志向の俺は1人で全ての事をこなさないといけないからな。
シャルロットの種族は俺と同じ人族で年齢は20歳。ジョブは黒魔術師。
黒魔術師は状態異常魔法を得意とするジョブで火や氷といった属性攻撃魔法も使える。強力なジョブではあるが近接戦闘が弱い。
シャルロットへの助言は様子を見てからだ。BL対象になるような人物を助けるのは御免だからな。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます