第7話
東郷が、船に乗り込んで3日が経った。
彼らはその間に四度、海ゴブリンの群と遭遇し、戦闘を行っていた。
この3日で東郷が出来るようになった事と言えば、甲板掃除と海ゴブリンの討伐証明である嘴の剥ぎ取り、後はがむしゃらに戦闘をする事位である。
「うへぇ…」
海ゴブリンの死体が放つ生臭い臭いに顔をしかめながら、東郷は剥ぎ取りを行っていた。
海ゴブリンの嘴の付け根にナイフで切りたい形に傷を付ける。
そして嘴の頂点の傷を着けた所に鉈を当て、その鉈の背中を角材で叩く。
するとパカリと綺麗に嘴が割れる。
この嘴を冒険者ギルドに持ち込めば、報償金がもらえるという事らしかった。
そうやって嘴を剥ぎ取った後の死骸を海に放り込む迄が東郷に与えられた仕事だった。
「よう、新入り。ちっとは剥ぎ取りに馴れたか?」
作業中の東郷に声をかける者が居た。
先程の戦闘中に東郷を救ったネコミミカリビアン海賊スタイルの冒険者、ライオネル。彼は新人の教育担当者でもあった。
「臭いと山積みの死骸にはまだ慣れないです、ライオネルさん。」
「あー、今回は異常な多さだったからなぁ。臭いも特にヒデぇ。」
「そんなに海ゴブリンの襲撃、今回そんなに多かったんですか?」
「多い何てもンじゃねぇよ。十匹位の海ゴブリンの群を船で追って狩るのが、海ゴブリンの討伐依頼だ。奴らはこんな風に船に襲撃かけねぇ。群れを船で追っかけ回して退治してくのが普通のやり方だ。一回の戦闘でこんなに近く出てくんのもおかしいんだよ。」
そう言って、ライオネルは海ゴブリンの死骸の山に視線をやる。その先には異臭を放つ山盛りの海ゴブリンの死骸の山が有った。
「…まぁ異常の原因はさっぱり解りませんが、俺に出来るのは一匹一匹剥ぎ取りするだけだってのは解ります。」
「ははっ、そんなん俺にもサッパリだよ。じゃ、俺は船の補修にまわるから。すまんが剥ぎ取りは頼むぞ。」
「はぁい。」
そう答えて、東郷は海ゴブリンの死骸の山へ向かい嘴を剥ぎ取る作業へ戻った。
「島が見えたぞぉぉぉ!!!」
「「「YEAAAAA!!!」」」
二日後、彼らは帰りついた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます