第15話 破綻
時刻は19時、リハビリに疲れて眠りにつく
優子の病室の扉が開く。
斗真だった。
人の気配で目が覚めた優子は
そっと座った斗真に 気付き話しかける。
「斗真・・・。」
斗真はニコっと笑うと
「意識が戻ったんだね、良かった。」
「うん、ありがとう。」
いつもと同じように二人は会話を交わす。
斗真はひどく汗を掻いているようだった、
「病室変わったんだね、焦ったよ。
このまま いなくなったと思って辛かった。」
「ごめんね、教えようにも連絡手段がなかったから。」
「とにかく また会えて良かった。」
斗真は優子の手を握ろうとした。
・・が、その握った手を優子はスッと離した。
「私ね、記憶が戻ったの。私は陽太と付き合ってた。
でも 斗真と付き合ってた記憶がないの。どうして?
私達は本当に付き合ってたの?」
と、斗真に詰め寄る。
斗真は取り乱しながら
「本当に分からないの?俺達、
ずっと一緒に暮らしていたじゃないか、付き合ってただろ?」
優子に反論する。
「でも、私は斗真の事、何一つ思い出せないし、
昨日お母さんだって、同棲してた事なんか知らないって言ってたよ。」
優子は涙ながらに斗真に問いただす。
優子の様子を見た斗真は
「ふぅー。」
と大きく深呼吸すると、
「たぶん、優子ちゃんはまだ記憶が全部戻ってないんだよ、
また明日来るから その時にもう一回話しよ。」
そう言うと椅子から立ち、その場を後にした。
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