第14話 ドSのPT

優子が目を覚まして一日が過ぎた。

優子は退院に向けたリハビリのため

病室をリハビリ病棟へ移すのであった。

いろいろな事があり、優子は個室で

のんびり過ごしている。だが、

ずっと寝たきりであった優子は下肢筋力かしきんりょくが低下し

自立して歩行する事ができなくなっていた。


橋下はしもとさーん、リハビリの時間ですよ。」

今日はリハビリ初日、優子を車椅子に乗せ

PT《理学療法士》はリハビリ室へ連れていく。

「今日からみっちりリハビリしてもらいますね。」

どうやら スパルタなPTに優子は当たったようだ。


「絶対あの先生ドSだわ!」

休憩を挟みながら 一時間みっちりとリハビリをさせられて

疲労困憊ひろうこんぱいの優子は

自分の病室に車椅子を押し帰って行く。

腕の筋力も落ちて車椅子を手で漕ぐのも必死な優子だったが、

ドSのPTに放置され 自分で病室に帰るハメになった。

「これも訓練ね・・・、あのドSめ。あ~あ、ゆうこは楽だったな。」


ぼやきながら車椅子を手押しする優子をそっと背中から押す手、

「お疲れ、ゆうこ。」

「あっ、陽太。来てくれたの?」

「ああ、昨日の今日だしね。」

陽太に押されながら 病室に優子は帰って行く。

優子は陽太と付き合っていた時の事を

そして、陽太を好きだったという事実を

今はしっかりと思い出せていた。


優子と陽太は楽しいひと時を過ごすと

陽太がふいに

「優子が退院したら俺達一緒に暮らさないか?」

と、嬉しい提案をする。

「えっ。」

優子は少し沈黙したのち、

「一緒に暮らしたい。でも その前にはっきりしないと

いけない事があるから 少し待ってくれる?」

陽太は全てを悟るように 優しくうなずいた。


その日それは突然にやってくる。












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