第10話 携帯電話

いつものように病院から帰ってきたゆうこ。

今日は陽太が一日病院にお見舞いに来てくれていたので

ずっと横で、様子を見ていた。

いつも優子の手を握り優しく話かけてくれる。

陽太はいい人だ。


家に帰ると斗真が先に家に帰っていた。

「おかえり、ゆうこちゃん。どこ行ってたの?」

「えっ ちょっとその辺をブラブラと・・・

何か思い出せるかなって。」

「そっか。」


プルルルル。

携帯電話が鳴る、斗真は電話を取るとその相手と話を

し始めた。

「あ すいません。明日には振り込みに行きますので。」

「はい、はい、わかっています。」

「ええ、俺は代理の者で・・・。」

「はい、それでは。」

よく見るとそれは見覚えのある携帯だった。

電話を切った斗真にゆうこが問いかける。

「それ 私の携帯?」

斗真は微笑み、

「そうだよ、この部屋に忘れて行ってたから

俺がずっと持ってたんだ。」

「あ~そうか、どうせ今の私じゃ触れないもんね。

でも電話大丈夫何かあった?」


心配しているゆうこの頭をなでるような仕草をし

そっとソファーに座る斗真は照れ笑いしながら

「家賃を払うの忘れてたみたいで、催促されちゃった

ごめんね。」

ゆうこは安心した。







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