第11話 発覚

私がこの身体になってかれこれ1か月が経ちました。

今日は斗真は仕事です。

病院にしか行く所がないし 物にも触れないので

何もできなくて暇です。


今日はお昼近くまで寝ていたゆうこ。

目が覚めると斗真はすでに仕事に行ってしまったみたいで

書き置きがあった。

(気持ち良さそうに寝てたので、起こさず行きます。)

だって。


しかし、斗真は綺麗好きだなってつくづく思う。

毎日掃除機かけたり こまめに洗濯したり・・・

何もできない私はぐうたら主婦みたいです。

ほら 洗面所にしても綺麗。

あ、私の歯ブラシがない。斗真捨てたな・・・

「今度、怒ってやろう。」


ゆうこは暇を持て余していたので、部屋の中を

いろいろと物色していた。

浴室に入るとカビ一つもなくピカピカにされているし

シャンプー・リンスもラベルを前にして綺麗に

並べられている。

「やるね、完璧だよ斗真君。」

独り言を楽しそうに言うゆうこ。


ふと見ると浴室の点検口の蓋が少しだけズレている。

ふと疑問に思ったゆうこはすり抜け天井の中を覗いた。

「えっ。」

ゆうこの全身に寒気が走る。


そこには毛布にランプ、そして少量のゴミと煙草の燃えカス

生活した痕跡があったのだ。

「本当に私にはストーカーがいる。」


脳裏に記憶がわずかながら蘇る・・・

そう あの日、誰かに話し掛けられた後

追いかけられて・・・後ろから強い衝撃があって。


複雑な感情が入り混じった混乱気味のゆうこは

しばらくその場から動けないでいた。






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