第3話「よろしくお願いします」
俺は、次の日の放課後、生徒会にいた。
「新生生徒会、今日から張り切っていこー‼︎」
彼女は、腕を突き上げ嬉しそうに言った。
それにしてもなんでコイツこんな嬉しそうなんだよ。
新生なんて言ったって俺が入っただけなのに……。
まぁ、嬉しそうならそれに越した事はないしな。
皐月もどこか嬉しそうだ。
「それで、生徒会役員ってこれで全員なのか?」
「うん、そうだよ」
「それで足りるのか?」
生徒会についてはあまり詳しくないが、俺の知っているアニメなんかの生徒会は4〜5人はいたような気がする。
少数精鋭の可能性もあるが、友稀や皐月と違って俺は優秀じゃないからな、使えないからとそのまま生徒会クビなんてことになるかもしれな……。
あれ? なんで俺クビになることちょっと嫌がってるの? どうしてだろうか。
まぁ、大体の予想はできるが……。
多分俺は皐月の前でクビになるなんて恥ずかしい事はできないのだろう。
可愛い子の前でイキってしまう、男はいつになっても単純な生き物だ。
「今は、まだ忙しくないから大丈夫だよ」
「それって、忙しくなったら足りたいって事だよな」
「それは……追々考えるとして今は、取り敢えず仕事を覚えることから頑張ってね‼︎」
「そうゆうことで、真叶には今日からいなみんに教育係についてもらって、生徒会の仕事を手取り足取り教えてもらうから」
いなみんって誰のこと言ってんだ? 確か呪術廻戦にも似たような人がいた気がするが……。
「いなみんってだれのことだ?」
「いなみんって言うのはね、伊波 皐月の伊波からとってるの、可愛いでしょ‼︎」
可愛いと言うか、すげぇ恥ずかしいな。
ご当地キャラとかにいそうな名前だ。
それにしても俺もいなみんと呼んだ方がいいのだろうか? 一応聞いてみるか。
「ねぇ、いなみん俺はなんて呼べばい……」
「やめてください」
すっげぇ睨まれた、怖すぎじゃない。
まぁ、今の反応を見れば嫌がってる事はよくわかるけど。
「会長には、何度も拒否したのですがもう慣れました」
友稀のヤツどんだけ言い続けたんだよ、ある意味すげぇよ。
今度から彼女には、尊敬の意を込めて会長様と呼ぶ事としよう。
「じゃ、俺は何とお呼びすればいいですか?」
「普通に皐月と呼んでください。それに喋り方ももっと普通で大丈夫です。これからは生徒会役員の仲間なのですから」
たしかにこれからは、生徒会の仲間なのだから堅苦しいのも疲れるだけだな。
「そうだな、それじゃ俺の事は、真叶って呼んでくれ皐月」
俺がそう言うと皐月の顔は、耳まで赤く染められていた。
「どうしたんだ、顔が真っ赤だぞ、体調でも悪いのか?」
「いえ、違うのです。べつに、真叶って名前で呼べるとか、皐月って呼んでくれたとか、そんなの恋人同士みたいじゃないかとか、なんてそんな事を思っていたわけでは……」
彼女の俯きながら1人ボソボソと喋っているが、俺にはよく聞こえなかった。
「取り敢えず今日からよろしく」
「あ、はい、よろしくお願いします」
こんな感じでこれから大丈夫だろうか……。
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