第1話「生徒会へようこそ」
俺は今朝、友稀に言われたように、生徒会へと向かっていた。
帰りのSHRも早々に済ませ、部活動へと向かう者や放課後の遊ぶ予定などを話している生徒達の間をかき分け俺は教室から出た。
我が校の校舎は、中庭を覆うように口のような形になっている。
昼休みなどには中庭でリア充達が、楽しそうに会話をし、食後の運動にとバトミントンなどをして遊んでいる。
俺は中庭などでは飯を食べない、家の教育方針でご飯の時は、静かに感謝して食べろと言われている。
小さい時からそう教えられていた俺は、静かに食事する事が身に染み付いている。
だからけっして俺が、一人ぼっちで喋る相手がいないわけではないのだ
そんな事を考えていると生徒会は、もう目の前にあった。
生徒会は特別棟の4階にあり本校舎と距離が離れているため放課後と言ってもとても清閑な雰囲気であった。
「ついたか」
俺は生徒会室の扉を叩いた。
コンコンと、戸を叩いた。
少しまっていると、中から女性の声が聞こえた。
「どうぞ」
中から聞こえてきたのは、友稀の声ではなかった。
俺は生徒会役員を友稀以外知らないので、もし中に入った時。
「え、誰この人。」
「何しにきたの」
こんな言葉を言われた時には、かなり凹む。
まぁ友稀の名前を出せば大丈夫だろう。
「失礼します」
俺は戸を開けて一歩踏み出した。
その教室は普通の教室となんら変わりのない教室だった。
しかし俺はその教室の一部に目を惹かれた。
そこに一人の少女が立っていのだ。
俺は彼女の事を知っている。
孤高の花とは、彼女のいつも1人でいる孤高さと花のような美しさを表して生まれた言葉なのだ。
腰まである絹のような黒髪に、透き通るように白い肌、慎ましくも確かな2つの膨らみに引き締まった身体。
きっと一目見れば、誰もが彼女に目を奪われるのだろう。
そんなギャルゲーみたいな人いるのかと思うだろうが、いるのだから仕方がない。
彼女は、こちらを向き一礼した。
「2年E組の
彼女は、微笑みながらそう言った。
その微笑みは、彼女のイメージとは遠く離れておりとても孤高などとは思えなかった。
それにしても、なぜ俺の名前を知っているのだろうか、こう言ってもなんだが、俺は学校ではあまり目立たないように過ごしているし、彼女とのクラスも遠くあまり見かける事もない……まぁ聞いてみればいいことか。
「どうして、俺の名前を知っているんだ?」
「それは……会長からあなたが来る事を事前に聞いていましたから」
「友稀から聞いていたのか」
「ええ」
そうゆう事か、彼女が俺の事を知っているなどおかしいと思っていたが、あいつから聞いていたのなら納得だ。
「それで、友稀からは俺の事なんて聞いているんだ?」
「会長からは、あなたが来るとしか聞いていません」
「じゃあ、俺が今日呼ばれた理由も知らないんだな?」
「ええ、お役に立てなくてすみません」
彼女はそう言うと少しだけ申し訳なさそうな顔になった。
「いや、皐月は悪くないよ、元々は友稀のヤツが何も言ってないのが悪いんだからな」
現に彼女は何も悪くないのだ、そんな顔をされてはこちらの方が申し訳なくなる。
そう思っていると彼女は、俺の方をぼーっと眺めていた。
「どうしたんだ?」
「いえ、その名前を……」
ん? 名前がどうかしたのだろうか……あ、そう言うことか、急に名前で呼ばれて嫌だったのか。
俺は、同年代の女性は、友稀ぐらいとしか喋る機会がなく、そう言った距離感がわからないのだ。
「すまんな、急に名前で呼んで馴れ馴れしかったな」
「いえ、それは、構わないのですが、その名前を知ってくださっていたので……」
「いや、むしろこの学校で、お前を知らない人はいないだろ」
「そんな事はないと思いますが」
多分、伊波 皐月と言う名前を知らない奴などほんの一部だけだろう。
そう、だから、そんなものは、誤差だ切り捨てても構わない。
なので、この学校で彼女を知らない人はいないと言える。
その後は、会長が来るまで、少しまっていてくださいと、椅子に座らされ友稀がくるのを待っていた。
待っている間は、特に会話もなく静かに時間が過ぎていった。
途中彼女が、こちらを見ては顔をニヤつかせていたように見えたが、気のせいだろ。
時間で言えば15分と言ったところだ、俺は静かに待っていると、廊下の方から足音が聞こえてきた。
その音は、扉の前で止まった。
「ガラガラ」
「おっ、ちゃんときたね真叶」
「ちゃんときたね、じゃねぇよ。人を呼んでおいて待たせんな」
「ごめんごめん、先生に頼まれごとしちゃて」
「まぁ、そんな事だろうとは、思ってたけどな。まぁいい、それで結局なんで俺は、呼ばれたんだ?」
そう言うと友稀は、とても不敵な笑みを浮かべた。
「安積 真叶」あなたには今日から生徒会に入ってもらいます」
「へぇ?」
俺は、今まで出したこともないような、間抜けな声を上げていた。
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