工房都市デルムト
帝国一の工業都市と知らしめるデルムト。
元々この地一帯に繫殖していた人間種のデルム民族が各集落の工房を集約していた為機工系工房特化の街となった。
多種多様な工房がひしめく街並み、出荷用に整備された運河が街の中心から放射線状を描き伸び、それを補う様に石畳の道が毛細血管の様に隅々迄伸びている。
街の外には普通の村街にある様な城壁は無く変わりに街中の工房から集められた灼熱の蒸気が分厚く囲み街門以外からの侵入者を拒む。人間種の中でもとりわけ魔法が苦手な民族が発展させた都にも関わらず皮肉かな、霧に守られた魔法都市にしか見えない。
中心にある時計塔は市民であれば自由に改修出来き長年多様な工房が自身の腕前を見せつける様に改修という名の魔改造を施す事でこの街の住人を良く表したモニュメントとなっている。
デルムトは本日も至る所から鉄を打つ音、削る音、蒸気の噴出、自慢の品を宣伝する啖呵、観光客や買い付け人達の忙しい足音で活気に満ち溢れている。
エマとアンも2人で久々のお出かけであったからなのか、はたまた喧噪にあてられ己のペースを狂わされたのか時計塔が14時の鐘を鳴らす頃にはくたびれていた。
「とりあえずそこの喫茶店でランチにしましょう」
アンは時計塔広場正面にある喫茶店を提案し、既に足は向い始めてる。
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