第12話 日記


「僕は気づいてしまったんだ」

「何に」

「風に舞い上がったスカートの中には「体操ズボンだろ」

今世紀最大に顔を剥れ上がらせた因幡が面白くって僕は吹き出した

「初対面の時から思っていたのだが君にはロマンがない」

「だけど?」

「君には僕がいる」

「「いえーい」」

僕らはそれはもう乾き切ったハイタッチをした

「朝から厳ついなぁ」

僕らの横に腰掛けたマスターは心底うんざりした顔を貼り付け見下ろしてくる

もちろん理科さんもいる僕の後ろに

「文くん、でも私今体操ズボン履いてないよ?」

「「!」」

「おい聞いたか絶好のパンチラチャンスじゃあないか、俺は1時間後に桃源郷を拝めるって占うぜ」

こいつキャラ変わりすぎだろ見失ってすらいないじゃないか

理科さんはいつものごとくしれっとした顔をして僕を抱きしめる、最近わかってきたけれど理科さんは耳に近付いて話しかけてくる時きまって腕に力が入るのだ、つまりはそう幸せである

その距離はおそらく一センチにも満たないんじゃないかと思うほど吐息がこだまする距離

僕の耳にかかる

「だってズボンなんか履いちゃったら座りにくいでしょ?」


「正直な話別に僕は占い師になりたかった訳じゃないんだ」

「というと?」

「親がちょっと偏ってるタイプでね、」

「なるほど」

「まあそのおかげもあって今こうしてど田舎で君たちに会えたわけだけど」

「そうかい」

「まあ理科さんには会いたくなかったけど」

自称占い師の彼は初対面の理科さんに対して「ループ少女だ!」などと意味の分からないことを喚きマスターにボコボコにされた過去を持っている

正直僕はよくわかっていない

ついでに言うとこいつと二人で一向にこない電車を待ち続けている理由もよく分からない

「そういえば夏だったかな君はこの駅で熱中症になったんだよね」

「そういえばそうだったね、なんで知ってんの」

「その時は理科さんと一緒だったみたいだし今回は僕と一緒だ、この意味がわかるかい」

電車来ないな、こういう時は全く関係ないことを考えることで暇を潰すとするか。

 プリキュア面白かったなぁ、あからさまに無理のある変身シーンとかローラが海に帰るシーンとか泣けてきたもんなぁあーあ何で一年で終わっちゃうんだろうなぁ

「おいおーい聞いているのかい」

「うるせーお前に俺の何がわかる」

「少なくとも今キレられた理由は何一つ分からないよ」







































  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る