第10話 ご家族紹介デッキ

 横たわるかつて人間だった物を視界に捉え得ながら眼球だけを動かす

物が散乱し散らかっている部屋、腐敗臭、壁に向けて筆を振るったように飛び散った体液、所々に飛び散る白いものが骨だと気づくまでには時間がかかった。バケツをひっくり返したような血の池、僕は自然と足が進む


「フーくん」


 後ろから姉貴が呼ぶ

足を止める、姉貴はキッチンを指さしていた。視線を動かすそこにはバケツと筆が隠すように置いてあった。人差し指を口に当て「しー」っとニコッといつもの笑顔を僕に向ける、どうやらさっきまでの涙は引っ込んだらしい


「フーくん、夕飯何食べよっか?」

「この分だと片付けに時間かかりそうだし外食にしよっか久しぶりに」

「いいねー、お姉ちゃん奢っちゃうよぉ、なんでも好きな物を言いなさい」

「回らない寿司がいい」

「いいねー、いこうじゃないか、ちょうどお姉ちゃんもお寿司の気分だったんだ」

「それじゃあ善は急げ早速いこうか」


僕たちは回れ右して塵芥どもに背を向ける


「「「ちょっと待てい」」」


 姉弟だから、とかそう言うことではないが二人同時にため息を着き振り返る。

 そこにはまるでゾンビ映画のゾンビみたいな格好をした塵芥どもがいた


「あのさぁ、姉貴が帰ってくるたびにそうやって死んだふりするのやめない?今回なんか雑だし」


「仕方ないだろ?いきなり帰ってきたんだから、父さんたちだって必死なんだよ」

 

「兄貴もいちいち乗っかるなよ」


「俺は家族が喜ぶのなら冬の海にでも飛び込むのさ」


「うふふ、久々に家族全員揃ったわね!」


こんな殺伐とした部屋で揃いたくなかったなぁ。

と、まあこんな感じでこれが主な僕の家族だ、自分が正常かと聞かれたらそんなことはないけれど変わり者の集まりって感じ。

「あー疲れたー、いきなり帰ってくるんだもんなぁ体中血糊でベタベタだよ」

「すぐご飯にするからね」

「母さんその手でご飯つぐのやめろよ?」

「おい文、俺今から風呂入ってくるからバスタオル用意しとけ」

「自分で用意しろバカ」

2階の方から姉貴が叫ぶ

「ちょっと父さん!?なんで私の部屋にスーツ置いてんのよ」

父さんが叫ぶ

「めんごー」

親の、と言うかお父さんの使う若干古い若者の言葉ほど神経を逆撫でするものはない、おまけに姉貴は一応まだ大学2回生で思春期が抜けていない、こりゃ父さん終わったな

嵐の予感を感じ取った僕は姉貴が降りてくる前に母さんの手伝いに入った

「母さん」

「何?」

「なんで姉貴がどこに行ってるか最後まで黙ってたんだよ」

「んーっとねぇ、ヒ・ミ・ツ、てへ!」

「年相応の受け答えしろよ、あんた40だぞ」

おもいっきりゲンコツが僕の頭に降って来た。わー目の前におほしさまだー

「まだ34じゃ、ピチピチやろがい」

「え、」

「は?」

「はい」


 まあ、こんなところだろうこれ以上の記は本編と逸脱するので割愛する。

これからの話に姉貴が登場する回数は少なくはないがそれはまた別のお話




























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