第6話 されど冷たくはなれない

 今は本当は何周目なのだろう、ときどきそう思うことがある。

夢を見た。

 これは一周目、そして初めて彼と出会った時の記憶だ。私は後ろから声をかける

思い出したくない。

 彼は振り返り私を見下げる「あんた、誰だ?」

覚めて欲しい。

 一目惚れをしたのは私だった。

 彼は私の顔を見て声を上げた「ってお前怪我してんじゃねーか、おいおい顔に傷ばっか

 つくって可愛い顔が台無しだぜ?ほら、うち来いよ手当てすっから」

やめて、優しくしないで。

 同年代から石を投げられ大人からは煙たがられる、そんな私に初めて優しくしてくれたの

 が文くんだった。こんな醜い私を。だから、彼はいなくなった

お願い。

 私はまた人を消してしまった、初めてできた好きな人も消してしまった。その事実だけが

 重くのしかかる。私の両腕にはそんな罪ばかりが重なって積まれていく

もう、何も奪わないで。


「、、、お、、い、、おい、、起きろ、起きろ理科」

 声が聞こえる、きっと外で数子が呼んでいるんだろう、このまま終わりにしようかな。

もう疲れちゃったなお姉さん。


君と幸せになりたかったなぁ


・・・目が覚める、それは6周目の合図だった。

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